毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「知の巨人」ふたりによる贅沢なブックリスト☆☆☆☆

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)
立花 隆/佐藤 優
文藝春秋(文春新書)(2009/10/17)
¥ 987

最近気になっている立花隆さんと佐藤優さんの対談をまとめた本。そしてサブタイトル「必読の教養書400冊」にあるとおり、膨大なブックリストも載っている。おふたりの名前で検索していたらヒットしたので、これは読まねばと思っていそいそと借りてきた。
簡単に読める本ではないが(対談なのに!)、文句なしに面白かった。知的興奮を与えてくれる本だ。


◆目次◆
第1章 読書が人類の脳を発達させた―狂気の思想、神は存在するか、禅の講話
ブックリスト1 知的欲望に満ちた社会人へ―書斎の本棚から二百冊
第2章 二十世紀とは何だったのか―戦争論アメリカの無知、スターリンの粛清
第3章 ニセものに騙されないために―小沢一郎、官僚は無能だ、ヒトゲノム
第4章 真の教養は解毒剤になる―マルクス、貧困とロスジェネ、勝間和代
第5章 知の全体像をつかむには―東大生・立花隆、神学生・佐藤優、実践読書術十四カ条
ブックリスト2 すぐ役に立つ、すぐ買える―文庫&新書二百冊

文藝春秋に掲載された*1立花隆さんと佐藤優さんの対談が5章にわたってまとめられている。ブックリストは2種類あり、各人がそれぞれ百冊ずつ選んで合計400冊*2。ただ、対談の中にも「リストには入れられなかった」というものが多数出てくるので、丹念に拾っていけば500冊近いのではないだろうか。
本好き、それもしっかりした教養を身につけたい人にとってはこんなにありがたい本はないだろう。

ブックリスト1の選び方について(P11)
立花 二十一世紀を生きるための教養書を書斎の本棚から百冊選べということですが(後略)。
(中略)
立花 …とにかく本書*3の読者層を想定して、選びました。叩き台にしたのは、『東大教師が新入生にすすめる本』(文春新書)と『教養のためのブックガイド』(東京大学出版会)の2冊です。(後略)
佐藤 私は年齢は四十歳から五十歳ぐらいで、「教育」の現場に携わる人を思い浮かべて百冊リストを作りました。「教育」というのは学校教育だけでなく企業や役所での教育を含みます。…念力を入れれば端から端まで全部読み通せる本を基準にしました。

また、ブックリスト2は“立花さんの提案で、書店に今並んでいるものの中から買うという条件がつけられ”(P106・佐藤さん発言)たそうだ。

 

目次を見ればわかるように、テーマはあちこちに飛ぶ。固い本だけではなく、時事問題にからんだものや流行に関する話題もあるので飽きさせない。
立花さんと佐藤さんは当然のことながら立ち位置が違うので、佐藤さんが選んだ本を立花さんがバッサリ切ったり、意見の違いも多々見受けられる。
興味深いのが、それが不穏な雰囲気になったり、対談が暗礁に乗り上げたりしないこと*4。お互いが主張を曲げることなく、それでもうまく着地点が見出されていくのだ。
これが平田オリザさんが『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』で言われていた「対話の基礎体力」ということか、と感動しながら読んだ。

正直言って、これだけの本を読むのは大変だし、仮に読めたとしても教養が手軽に身につくわけはないと思うが、あまりにも知らないことが多いので、少しだけでも自分の守備範囲を広げてみたいと思った。
リストだけではなく、対談の部分にもなるほど、と感激するところがたくさんあります。自分の教養を鍛えたい方はぜひチャレンジしてみてください。

※少しずつ400冊のリストを「ブクログ」の「おすすめ本リスト」カテゴリに登録しています。ブクログの登録に時間がかかることもあり*5なかなか進んでいませんが、よろしければチェックしてみてください。タグは「ぼくらの頭脳の鍛え方」です
私のアクション:立花さんのリストから科学系2冊、佐藤さんのリストから哲学系2冊を読む
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※この本のメモはありません

*1:すべてが一度にこの形で出たのか詳細は不明です。本の終わりに(「文藝春秋」2007年1月号、「文春・夢の図書館」より収録)とあるだけで、まえがき・あとがきなどは一切ありません

*2:立花さんのみ、あとのリストに付録10冊が付いています

*3:初出の「文藝春秋」と思われます

*4:その場に居たわけじゃないので、うまく編集してあるだけかもしれませんが

*5:アマゾンとの連携が悪いようで、すぐ「時間が経ってから検索し直してください」になってしまいます…(最近は特に多発)。原因調査中だそうですが、かなり時間がかかってますね