毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

阿川さんの「聞く力」炸裂!☆☆☆

阿川佐和子のガハハのハ
阿川 佐和子
文藝春秋(2001/04)
¥1,476+税
※文庫版あり→『阿川佐和子のガハハのハ―この人に会いたい〈3〉 (文春文庫)
この本を読んでみたきっかけは、実は上原投手。
今年の春に新しく新書が出ていることを知り、地元の図書館で検索してみたら、たまたまこの本がヒットしたのだ。
いつ出版されたものかなど気にせず借りてみたら、何と新人の年でございました…。


◆目次◆
久保純子疲労困憊で青白くなるから紅白じゃなくて青白歌合戦なの
北杜夫―この間の躁のとき、銀座のバーで僕は性に目覚めちゃった
本上まなみ―短大まではすごく薄い人生で、淡々と昆虫のような生活してました
小出義雄高橋尚子シドニーで金メダル取ったら、監督にヒゲ剃ってもらいます
庄司紗矢香宇多田ヒカルさんがお母様と、私の楽屋を訪ねて来てビックリ
三谷幸喜―世田谷区で一番従順な夫である自信があります
栗原はるみ―ダイヤの指輪なんかいらないけど、キッチンを12回作り直しちゃった
井上ひさし―毎日7歳の息子を相手にバルタン星人をやってます
宮本浩次―GLAYと共演したら、体の具合が悪くなっちゃいました
田辺聖子文化功労者は「間違いでした」と電話が来ないか心配で……
上原浩治―僕はグッチでも紙袋でも一緒なんだけどな
藤沢秀行―億を超える借金で、対局の場まで取り立て屋が来てました
PUFFY―由美ちゃんが結婚して、私はご主人にライバル心なの
鳥越俊太郎―本番中に涙を流したのはあの事件が初めてでした
瀬戸内寂聴―色気のあるのは里見●と荒畑寒村。いい男は勝新太郎ショーケン
谷川俊太郎―僕に初めて恋人ができた時、ショックで母は家出しました
小泉武夫―僕は納豆と箸だけはいつも持ち歩いています
マルチナ・ヒンギス―もう一生この男に会えない、と積極的に自分から声をかけます
市川崑―先輩・黒沢明を怒らせた一言
中村玉緒―いいことがあると、携帯でさんまさんに話します
森繁久彌原節子との仲を小津監督に邪魔されたんだ
渡辺淳一―“人違い”でも迫るのは光源氏のやさしさです
※●=弓に享

週刊文春」の連載対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」をまとめたもの。本として出たのは3冊目だそうだ(現在は文庫でシリーズが出ています)。
2001年に出版されているということは、実際の対談はもっと前であります*1
目次のところを見ていただければわかるが、15年ほど前なので、すでに鬼籍に入った方も多い。このタイミングで読むと何だか痛い方もちらほら。


肝心の上原投手は、15年も前にもかかわらず、話す内容が今とほとんど変わらない。ブレていないところに感心した*2。浪人時代の苦労話や、なぜ直接メジャーに行かなかったのかなど、あけすけに話していた。


この「あけすけ」ぶりが、はじめは上原投手だからかと思っていた。ところが、他の人も読み進むうちに「これが聞く力なんじゃないか」と感じるように。
阿川さんの「聞く力」、ものすごい。

PUFFYのお二人がこんなにプライベートのことを話すのは見たことがないし、鳥越俊太郎さんが初恋の人を捜したエピソードもつるつるっとしゃべっている。
この“つるつるっと”がくせ者なのだろう。しゃべる方は「気がつけば服を着ていなかった!」みたいな感じなのではないだろうか。


テレビ番組「サワコの朝」も好きでよく見ているが、あれはもう名人芸の域だと思う。絶妙のタイミングで合いの手が入る。ただ聞いているように見せて、ちゃんと聞きたいポイントをはずさずにうまく誘導するのはすごい。

それに、テレビの特番やエッセイなどで対談の前に資料が全部読めないとか、準備がちゃんとできないとかよく嘆かれていたが、この本を読む限り、下調べは完璧に近い。昔のことも、最近の状況も、きちんと押さえているように感じた。

たとえば上原投手なら、20勝4敗という成績も頭に入っているし、長嶋監督(当時)になかなか名前を覚えてもらえないエピソードや、カバンの代わりに紙袋を使っていた話題などにも触れている。
確かに、そういう情報はきちんと押さえていなければ、阿川さんがよく書かれている「相手に気持ちよくしゃべってもらう」状態にはならない。


ここから何かを学ぶ、というのはそう簡単にはいかないと思うが、阿川さんが前に話されていた「面白がる」のニュアンスが何となくわかったかも、という気がしている。他の本も読んでみたい。


タイトルどおり、とにかく笑いたいという気持ちで読むのもよし、いろんな人の人生を見てみたい人にも、名言コレクターにもお勧めの1冊です。
私のアクション:意識して1日1回は発酵食品を摂る(小泉武夫先生の回を読んで)
※この本のメモはありません

*1:1999年2月から2001年2月に掲載されたもの

*2:成長したら変化するのは当然、という考え方もありますが、私はブレない人の方を評価します