印象派の起源からポスト印象派まで
家族が借りてきた本。
前にも書いたが(下の関連記事にあります)、せっかくはるばるオルセーに見に行ったら、工事中でメインの印象派の絵がほとんどなかった、という泣ける経験をしたことがある。
オルセーと見ると敵を討ちたくなるのか、ついつい借りてくるらしい。
今のところ具体的にいつ行くかは決まっていないが、行くならこの本を持って行きたい!と思うくらいの良著だった。
◆目次◆
まえがき
プロローグ オルセーでは、革新的なミレー、クールベ、マネ、印象派から見よう!
第1章 0階(地上階)左側 革新的絵画の流れ、バルビゾン派、写実主義から印象派へ
ミレー、コロー、クールベ、マネ、バジール
第2章 5階 モネ、ルノワール、印象派たちが勢揃い「印象派のギャラリー」
マネ、ファンタン=ラトゥール、モネ、シスレー、ピサロ、セザンヌ、モリゾ、ドガ、カイユボット、ルノワール、カサット
第3章 2階 ゴッホの待つ「ポスト印象派・新印象派のギャラリー」
ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ルソー、1900年以前のナビ派ボナールなど
第4章 0階(地上階)右側 伝統的絵画の流れとポスト印象派
アングル、カバネル、クチュール、モロー、シャヴァンヌ、ゴーギャン、ロートレック
エピローグ オルセーの余韻に浸って
あとがき
参考文献
作品リスト
それもそのはず、この本のコンセプトは「オルセーを2時間で回る」に徹底的に絞られているからだ。
全部見ていたら時間がかかって大変だし、意外に印象派以外の作品もたくさんある*1。
それに、どの部屋にどの作品があるかも書いてあるので*2、特に見たい絵をはずさずにすむし、時間配分もしやすくなる。
もちろん地図も付いている。
こんなに旅行者にありがたいガイドブックがあるだろうか。
私は印象派の絵がほぼ全滅という憂き目にあったが、それでもほかにどんな作品があるかとか、どこにどの時代の作品があるかをこの本で知っていれば、もう少し満足のいく鑑賞ができたと思う。
また、解説も非常にニュートラルで興味深い。まんべんなく、美術史的視点から画家たちの性格や人生まで触れることができる。
著者の本業は画商で、いわゆるカルチャーサロンの教室をたくさん持たれているそうだ。この、かゆいところに手が届く内容は、日々生徒さんたちに話をする上で磨かれたのか、と納得。
唯一、残念だったのは、作品写真が全部白黒なこと。せっかく文章に「この色をご覧ください!」と書いてあるのに、白黒ではよくわからない。
さらに、“時間に余裕があればこの作品も”というページがあるのだが、こちらに至っては作品の写真すらない。想像で読むしかない。
美術館ガイドなら、せめて半分だけでもカラーにしてほしかった。値段の関係でむずかしかったのかもしれないが、紙の質もいいし、これでカラーなら今すぐオルセーに行く予定がない人も楽しめる。
著者はおそらく日本にお住まいだと思うが、通い慣れていらっしゃるようでここの階段で移動とか、裏ワザレベルの情報もたくさんある。
また、中にあるレストランの紹介もあり、次に行く時はぜひ寄ってみたくなった。
現在東京・六本木で開催中のオルセー美術館展に来ている絵も一部紹介されている。まだ行かれていない方も、この本で予習していくとさらに楽しめそう。
姉妹編『ルーヴルはやまわり - 2時間で満喫できるルーヴルの名画』もあるそうなので、読んでみたい。
私のアクション:オルセーを再訪してリベンジ!
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※この本のメモはありません