「ダブルスタンダード期」とは(P24)
社会的には現役の生活をしながら、プライベートでは後半生の準備も始めておく、という「ダブルスタンダード」の価値観を求められる時期。
人生には若い頃の第1基準(スタンダード)と、後半生の第2基準がある。この時期はそのふたつの基準が同時に、同じ優先順位で併存するイメージ。
ダブルスタンダード期の一大イベントとは(P125)
人生の第1山脈「一人前山脈」から第2山脈「ゴールデンタイム山脈」へ移行すること。
この時間感覚のギャップは、都会で忙しく働く人が、休暇を取って地方に行った時に感じるギャップに近い。
(中略)
45歳以上をダブルスタンダードで生きるということは、2つの異なる時間を、どちらも自分にとって違和感のないものにしていくこと。
人生の質を上げる「養生」という価値観(P34)
30代、40代はまだ無理がきくので、つい突っ走りがち。でも、無茶をすると突然ガクッと来てしまう。
後半生を「ゴールデンタイム」として生きるために、最も大切なのは「死なない」こと、つまり「思わぬケガや病気で早く死なない」こと。
そのために大切なのが「養生」。
例)健康のために1日30分歩くことが、人生最大の利益である「生きている時間」を延ばすことになる。
ちょっとした「養生」が、人生の時間を少しずつ積み立てる行為になる。コツコツ積立貯金をする感覚。
幸田露伴が娘・文に伝えたことば(P44)
「家事というのは追われてはいけない、こちらから追って、追って、追いまくるのだ」
仕事をする時、スピード感が出ないのは頭の回転が鈍いからではない(P45)
その仕事全体のデザインができてないことが原因。そして、デザインができていないのは、ゴールが見えていないから。ゴールが見えないのに動き始めてしまうと、途中で迷いが生じる。
(中略)
まず目的地を見極め、次にそこに至る最短コースを描く。時間を節約するためは、こうした「逆算するデザイン力」が重要。
ムダな時間を省くには、「分別ゴミの発想」で(P54)
さまざまな細かい用事をひとつずつその場で処理するのではなく、あらかじめ質ごとに分類し、ある程度たまってから一気に片づける。
時間の使い方で一番よくないのは、質の違う活動を混ぜてしまうこと。
自分の時間に他人を侵入させない(P56)
電話がかかってきたら出てしまう、メールが来たらすぐに返事をするというのは、自分の時間の中にいつでも他人が侵入してくることを許している。他人の侵入を許している限り、自分の時間は守れない。
ムダな時間を省くためには、まず信号のない高速道路をつくる(P57)
今、自分の走りを阻害しているものは何なのかを、まず考えてみる。そして、携帯やメールなど阻害要因がわかったら、それを排除した環境を作る。
外から見ている忙しさと、実際の忙しさは必ずしも一致しない(P86)
忙しいと思われている人の多くは、実はその「見た目の忙しさ」をベールとして活用し、自由に使える時間を確保している。
頭がいい回転に入っている時は、その後の「余熱」も利用する(P89)
そういう状態の時には、最後まで言っても、まだそこで止めない。そこにはまだ「クリエイティブな惰性力」とでも言うべき力が残っているので、その力を使ってもう一踏ん張りする。
次の予定を立てたり、「あれはもっとああすればよかった」といったアイデアを出しておく。
ひと仕事終わった時点で、「じゃあ次の企画はそこからスタート」というところまで進んでおくと、会議を1回省くことができる。
判断力をアップさせるためには(P99)
何を言い、何を言わないか、その優先順位を決める力をふだんから養うことが大切。人は20秒しか話せないとなると、無理をしてでも一番大事なものひとつに意見を絞る。だから、ストップウォッチを使って「15秒で考え」「20秒で発表する」練習をしていると、自然と判断力がついてくる。
スピードがあると量がこなせる(P117)
量がこなせると経験値が高くなるので、物事を判断する力が時間とともに格段にアップする。
「ダブルスタンダード期」の仕事の考え方(P130)
集中力を高め仕事時間をどんどん詰めていくと、確かに生産性は上がるが、今度はそのスピードが止まらなくなり、身体に負担がかかる。若いうちはその負荷に耐えられるだけの体力があるからいいが、45歳を過ぎると負荷に耐えられず、病気になったり、ひどい時は過労死のようなことになってしまう。
3時間かかる仕事を効率化して1時間半で終える。若い時は空いた時間に別の仕事を入れていたが、今はその時間で身体を休めたり、適度な運動をしたり、身体をいたわることに使うようになった。
仕事は集中して行うことで頭の回転の速さを維持し、空いた時間を好きに使うことができれば、仕事のクオリティーを保ちながら上手に休養を取れる。