毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

やった人だから書ける本2☆☆☆☆

4901491687勝負に強い人がやっていること
―ここぞという時に結果を出す考え方・行動の仕方 (Nanaブックス)

松本 整
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2007-07-24

価格 ¥ 1,365
by G-Tools
著者は異色の経歴ものち主で、元競輪選手。20年以上トップ選手であり続け、常識を打ち破る45歳でGIレース優勝を飾り引退。現役時代からスポーツジムを作り、多くのアスリートを指導。独自のトレーニング理論を検証するために順天堂大学で研究員となり、特許も取っている。とにかくすごい人だと思う。

なので、その勝負に対する考え方は圧巻だ。競輪選手はただの勝負ではなく、そこに何億ものお金が絡む。勝てば収入が増える、ということももちろんだが、ファンが賭けたお金を背負って走るのでプレッシャーは並大抵ではないだろう。それに勝てる人しか一流選手にはなれないし、それを20年以上も続ける努力は想像を絶する。

だから書いてあることにとても説得力があった。すべてがきれい事じゃないのだ。修羅場をくぐった人にしか言えないことだろう。
たとえば、競輪選手になった人で「強くなりたいか?」と聞かれていいえと言う人などいないだろう。しかし、その「強くなりたい」という言葉の重みが人によって違うのだそうだ。「喉が乾いた」という時、それはショッピングのあとに喫茶店に入って言う「喉が渇いた」なのか、灼熱の砂漠を何時間も歩き疲れて叫ぶ「喉が渇いた!」なのか。成功するにはどれだけ本気で目標を達成したいと思っているかが大前提で、砂漠で喉が渇いた時のような強烈な思いがなければ成功しないのだそうだ。しかも、それはプロとして当然のことなのだと書いてある。

才能と努力の話も面白かった。才能のあるなしはプロになったら関係なし。プロの世界は「才能がある人に負けてもいい」世界ではない。どうやったら自分の能力で勝てるのかを考える方が重要で、才能がないと悩んでも無駄なのだ。
また、努力はやって当たり前の世界であり、そもそも努力しない人はプロにはなれない。ということは「努力しています」というのは「外出の時には服を着ています」というのと同じくらい当然の話。努力はアピールすることではない。

こう書いたら極限の勝負の世界でしか役に立たないと思われるかもしれないが、著者は経営者のアドバイスなどもされているので、普通の人にも役に立つことがたくさん載っている。
迷わず決断できるための行動指針の話で、わかりやすい例として食品会社の話が出てくる。解決すべき課題の優先順位は何なのか、というところで著者は食品会社の最優先するべきポイントは「食べても安全なもの」を作ること、と実に明快だ。先日読んだ「トップアスリートの決断力」のところでも書いたが、トップアスリートは日々瞬時に状況を把握して決断を迫られる場面があるので、普通の人よりずっと判断力があり頭が切れるのだと実感した。

たまたま地元の図書館で借りた本なので普通の書店にあるかどうかわからないが、できれば読んでみてほしい本。勝つための考え方、行動がよくわかります。

以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「勝負哲学」を持つ

勝ち続けるためには順調なときにも、逆境の時にも、どんなときでも、判断の基準となりうる考え方が必要。それを「勝負哲学」として確立する。
著者の勝負哲学は「最後に勝つために全力を尽くす」。勝負に勝つということは、戦い続ける中での1戦1戦での勝敗より、大きく全体をとらえていつどこでどのように勝つかということが重要になる。どんな場面でも、1つ1つの勝負の役目と優先順位を計算し、最終的にたどり着こうとするところは常に勝利であるということが最も重要なポイントとなる。

自分の哲学の見つけ方

自分にとっての心の拠り所というものは悩みを解決する際、判断の基準が必要なときに大事になる。つまり、何かを思い切るためには「何かしらの指針がなければ、正しいと思える決断ができない」、あるいは決断の基準がなければ「常に一貫性を保った判断ができない」といった場合だ。
多くの場合は「本当はこうあるべきだ」と思っていることができない、あるいは本当に正しい判断をすための基準がほしいのだと思う。この場合の正しい判断基準とは
その問題の中で、最も優先順位の高いものは何か?
ということだ。
それにはまず悩んでいる、もしくは解決したい問題が持っている重要課題を明確にし、その中で最も優先順位の高い、最重要ポイントは何かを見つけ出す作業が必要になる。
(中略)
目指すものが本来備えているべきものの中で、最も優先順位の高いポイントを見つけ、そのポイントに沿ったことを自分の物差し、心の拠り所としなければならない。
つまり、あなたにとって重要なことに優先順位をつけ、その中で最も重要なポイントを探し出し、それを追求することで「自分の哲学」ができあがってくる。

常にぶれない心を持つためにも

「最優先課題の明確化」が必要。

どこで勝つかに重点を置く

勝負師であれば、何割勝てるかよりも、どこで勝つかが重要なことを知っている。つまり、どこで勝つかに重点を置くことが勝ち続けるためには必要。

スタイルはあくまで手段

「負けても自分のスタイルだから仕方ありません」というコメントもよく見かけるが、これは裏を返せば「自分のスタイルさえ守っていれば、勝ち負けは二の次」という意味になる。勝負の目的は勝つことのはず。「重要な勝負ではスタイルにとらわれずに結果にこだわる」のが勝負師の条件だ。

成長にはステージがある

スタイルの重要性は目標の到達地点から見て、自分が現在どのあたりに位置するかということで変わってくる。ここでは、現在位置しているところを「ステージ」と呼んでいる。そしてこのステージによってスタイルに対する重要度が変わってくる。

大きく分けてステージには3段階ある。

  1. スタイルを探す段階
    この段階では、自分に合ったスタイルとは「どのようなものか」を探し出さなければならない。また、そのスタイルをどうやったら認めてもらえるのかを考える段階でもある。
  2. 得意とするスタイルを徹底的に売り出す段階
    ここでは結果の良し悪しを考えずに、徹底してスタイルを貫くことが必要になる。このステージでのポイントはスタイルに徹底的にこだわりながら、実力を上げるという点。ここで、周囲に認められるだけの実力向上が伴わなければ、徹底的にスタイルにこだわるということはリスクに直面する機会が多いだけの無謀な勝負になる。
  3. 果実を手に入れる段階
    スタイルにこだわるよりも結果にこだわるのがこの段階の最大の特徴。つまり、この段階になって初めて勝ちを手に入れる体制ができあがったといえる。しかし、この段階が、期待も責任も最も重い段階となる。
    このステージを確立すれば、さらに新しいスタイルへの挑戦が必要となり、その後、いつかまったく別の新しいスタイルの確立へ、あらたに第1ステージからの挑戦が始まる。
スタイルをステージによって使い分ける

みんなにスタイルを認知させるまでの段階、第2段階のステージではスタイルを貫くことは目的となる。つまり、将来の目的達成というおいしい果実を手に入れるためには、スタイルの確立が必要な時期があるのだ。
売り出し中のこの段階でスタイルを確立できなければ、確立できた場合に比べて勝負しなければならない場面が増えてしまう。孫子の兵法に書かれているように、勝負しないで勝つことが最も有益な作戦である。そのためには、損を承知で勝負をしなければならない時期がある。これが第2段階のステージだ。

しかし、究極の勝負では、スタイルは手段であることに変わりはない。ステージによって重要度が変わるだけだ。このように勝ち続けるためには、「スタイルをステージによって使い分ける」ことが重要である。
逆にいえば、スタイルが確立しているのに必要以上にスタイルにこだわる人はそれ以上伸びないことになる。スタイルへのこだわりはスタイルを確立させるため、そしてスタイルの確立は無駄な勝負を避け、勝利という果実を手に入れるためのもの。
スタイルとは、勝ち続けるための手段として、上手く利用しなければならないツールなのだ。

正しい努力しか実を結ばない

努力には苦労だけ多い努力と、結果が出る努力の二通りある。
レーニングには目的が存在する。もちろんいい結果を出すためなのだが、いい結果を出すためには具体的に何が必要なのかという目的をはっきりさせなければならない。つまり、正確に目的に合ったトレーニングをしなければ結果は出ないということだ。
努力もこれと同じで、自分の目的に合った正しい努力以外はいくら努力しても実を結ぶことはない。
勝ち続けるためには、まず現状を分析する力が必要だ。そして、分析に従って努力する方法を考える(仮説を立てる)ことが第一歩となる。

目標を立てる

何より重要なことは、一番初めに、自分は本当はどうなりたいのかを思い描くことだ。将来、自分はどのようになりたいのかを思い描けなければ、つまり「自分が行きたい到達地点」を想定できなければ、そこに行き着くための道順は決まらない。
たとえば、会社における目標設定で、売り上げが大きくなり、利益を上げていきたいのはどの会社でも同じ。しかし、どのような会社として成長していきたいのかによって戦略は変わってくる。同じように利益を上げることを目的としていても、会社の目指す将来像によって、今打つ手だては変わってくるのだ。

チャンスを手に入れるには

著者の答は「いつチャンスが来ても、つかみ取れるだけの実力を常にキープしておく」ということ。
誰にでも、肉体的にも精神的にも好調、不調がある。体調1つ取っても、いつもベストを維持するのは並大抵ので力ではできない。しかし、いつ何時チャンスが来るか分からないという中では、常につかみ取れるレベルで、いつでも勝てる力をキープしておかなければならない。

極限の自分を観察する

著者はデビュー3年後の今後を決める大事なレースの日、「大変な窮地に追い込まれた」という精神状態になったそうだ。その時に、著者がとった方法はこれ。
自分が緊張したときに、どんな顔をして、どれほど焦っているのか、まったく他人になったつもりで外から観察してやろう。それをこれから遭遇するであろう、もっと大変なときに役立ててやろうと考えた。自分の気持ちと体の変化の感覚を記憶に留めておこうと自分を観察している内に、肩の力がスーッと抜けていくことが分かった。
緊張するときには、緊張する自分を観察してみる。

孤独に耐えられるか?

本当に何かで勝負しようとするのであれば、他人が自分をどう思っているかに囚われてはならない。他人の意見や評価で自分を評価するということでは、勝負所で極限の状態に置かれたら、その精神はひとたまりもないからだ。
極限を体感して生きる過程では、誰が何といおうと、人に何とも割れようとも目指した目標に到達しなければならないときがある。そのための心構えとして、孤独に耐えるということがどうしても必要となるのだ。

モチベーションを上げ続けるには

モチベーション=動機づけ。「動機づけ」の原因、つまり目的が必要。もし「一時の損得」を動機づけの目的としてしまえば、想定する利益を手に入れた瞬間に動機は失われる。物心ついてから人生の終焉を迎えるまでの長い期間にわたって、常に向上し続け、勝ち続けようとする人なら、このような動機づけではうまくいかない。

一般的によく「動機」とされる「ハングリー」という言葉は、精神的に多くを求めているという状態でもある。多くを求めるとは、量のみではなく、質の高い欲求に対しても満たされることを求めている。そしてそれは、最終的に自分がどのような人間になりたいのかというところに帰結する。

  • 自分がどのような人間として人生を歩いていきたいのか?
  • 自分の可能性を最大限に生かしていくには、どのように生きるべきか?

こうして自問自答したのちにできあがったものが、自らが目指す生き方だ。そしてこの目指す生き方の確立が、どのような艱難辛苦の中であっても、常に崩れない大きな動機のもととなっていくのだ。

目指す人生こそ楽しい人生

楽しい人生は、自分が理想とする生き方にチャレンジしなければ手に入らない。そのための苦労は、そうではない人生を生きて行く苦労に比べれば比較にならないほど楽しいはず。自分が目指す人生とは、楽しく生きられる人生と同義語。
ただ、そこには目標に向かうため、つまり自分を磨くための充実した試練が待っているだけだ。しかしそれは、いやいやながら日々を過ごし、一瞬の逃げ道を見つけながら送る人生よりもずっと楽しいもののはず。

積極的にリスクを取る

ぬるま湯の生活から脱出するためには、まずリスクに対するスタンスを変えなければならない。そのためには、積極的にリスクを取る姿勢が不可欠となる。つまり、自分が起こした行動に対して、その責任から逃げずに、結果と向き合う覚悟を持つということだ。いい方を変えれば、その職、地位からいつ辞することになっても悔いがないという姿勢だ。この姿勢で生きるためには、常に進退をかけた仕事をしなければならない。

リスクを取らない姿勢の人には信頼というものがついてこない。信頼を得るということは、地位や身分よりさらに大切なものだ。人間として信頼されない人には、大きな勝負をするチャンスがなくなっていく。