毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

最高の自分になる最善の方法☆☆☆☆

4534043805セルフトーク・マネジメントのすすめ
鈴木 義幸
日本実業出版社 2008-04-24
価格 ¥ 1,575
by G-Tools

著者の鈴木義幸さんはコーチングのプロで、著書もたくさん出されている。

コーチングと言えばいろんな人が実にさまざまな本を出していて、どれがいいのかよくわからないというのが正直なところ。私もそれほどたくさんを読んだわけではないが、今まで読んだこのジャンルの本の中でダントツに素晴らしい本だと思う。今年読んだすべての本の中でも5本の指に入る。

「いかにセルフコントロールするか」というテーマは、以前読書日記で紹介した田中ウルヴェ京さんの本と方向性が近いが、この本の方がよりわかりやすく、より結果を出せると思う。心の動きやメカニズムがわかりやすく書かれているので自分の行動パターンの理由がわかるし、具体的にどうすればそれを改善できるかも細かく教えてくれている。これを実践すれば常に「最高の自分」でいるのも夢じゃない、と思える。
実践して身につけるにはそれなりに時間がかかるので、ぜひ買って読んでください。私も買います。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

コーチングとは何か?

現在、私は、コーチングの目的はクライアントのセルフトークを変えることである、とも答えられると考えています。質問をすることでクライアントにセルフトークを意識してもらい、ネガティブなセルフトークがあればポジティブなものへと変えてもらう。それが、私たちプロのコーチの仕事です。

「反応」と「対応」を区別する

反応(感情的反応)と対応(理性的対応)――このふたつの違いを意識することは、セルフトーク・マネジメントにおいて非常に重要です。
なにかの手段として悲しんだりしないように、「感情→反応」と「理性→対応」の本質的な違いは、「目的」の有無になります。引き起こされてしまう「受け身」の行動か、自ら生み出す「積極的な」行動科の違いと言うこともできるでしょう。

3つの選択肢

リーダーは常に3つの選択肢の狭間で揺れている。ひとつ目は、相手を説き伏せてしまうこと。ふたつ目は相手を説き伏せることができないと、相手の言っていることややっていることに妥協しようとする。たいていのリーダーはひとつ目かふたつ目しかやらない。しかし、実は3つめの選択肢がある。それはopen the possibility(相手の可能性を拓く)という選択肢だ。どんな時でも、誰に対してもこの選択肢を選ぶことのできる人、それが真のリーダーといわれる人だ。

この3つの選択肢は、リーダーだけに当てはまるものではありません。人間の他人に対する行動は、すべてこの選択肢に分類することができます。
「反応」によって引き起こされる行動は基本的に2種類しかなく、「自分のために戦う」あるいは「逃げる」そのどちらかです。
感情にとらわれ、コントロールを失った状態では、このどちらかしかありません。しかし、「対応」には第3の選択肢があります。
それは「自分のため」ではなく「相手のために何ができるか」という選択肢です。

悩むこととと考えること

演出家である鴻上尚史氏は『発声と身体のレッスン』(白水社)という本の中の「正しい発声とは何か」を説くくだりで、「悩むことと」と「考えること」の違いについて次のように言及しています。

『悩むこと』とは、『あー、私は発声ができてない。困ったなあ。どーしよう。どーしたらいいの?ああ、今度の舞台はどうなるのー』と、ウダウダすることです。
(中略)
『考えること』は、『さて、私は発声ができていない。じゃあ、発声ができている状態ってのは、どんな状態なんだろう。私は、誰が発声ができていると思うんだろう。あの人はどうだろう?あの人は?』と使った時間だけ、発見や吸収があることです。

悩むというのは、答えを手にしたいのに、その答えが手に入らず、同じところをぐるぐると回っているような状態。一方、考えるというのは、答えを探すのではなく、答えに至る問いを自分の中で立てるプロセスだということです。
これをセルフトーク・マネジメントの視点でみれば、悩むとはセルフトーク*1による対象への「反応」であり、セルフトーク*2を使い、考えることで初めて「対応」しているということができます。
このふたつの違いを知り、自分は今どちらの状態にいるのかを意識するだけで、知的生産の効率は格段にアップします。

得意/不得意とセルフトーク

人は、得意な領域については意識的・無意識的にさまざまな種類の問いを立て、考える(セルフトークBを使う)ことができますが、不得意な領域については悩むこと(セルフトークAに身を任せる)に終始してしまう。問いを立てられないからこそ不得意になるともいえます。
あなたは、何について考え、何について悩んでいるでしょうか(あるいは、あなたの頭の中にあるのは、セルフトークAとBのどちらでしょうか)?
問いが立てられる領域では、実際にどのような問いを立てているのか、棚卸しをしてみましょう。
そして次に、問いが立てられない領域を見つけ、そこではどのような問いを立てられるかについて検討してみてください。

スイッチとして使うセルフトーク

(鈴木さんが実際に使っているスイッチは「Fear into power」。このセルフトークBを浮かべると集中モードに入る習性がついている)

英語にしているのは、日本語よりも他者からの「勇気づけ」といった印象が強くなるからです。そのほうが私にとっては、ここ一番というときに心地いい。英語であることが重要なのではありませんし、その内容も自由です(もちろん、肯定的・自責のものでなければなりませんが)。
ポイントは、いつ、どのような状況で、どのセルフトークBを使うのかを事前に決めているということです。このセルフトークBに力を持たせるためには、どんなときでも、決めた場面・状況になった場合に、必ずそのセルフトークBを生み出すようにすることが重要です。
時には失敗することもあるでしょう。しかし、ルーチンとして繰り返すことで、成功体験と結びついて自分自身の中に蓄積されていきます。そして時間とともに強力なスイッチに成長していきます。

瞑想の目的

座禅、内観、瞑想といった自分の内側と向き合う行為の目的は、自分の中にある無意識の言葉の存在に気づくこと、つまりセルフトークAを認識し、減らしていくことだと考えています。
私自身も、できる限り毎日、瞑想を行うようにしています。
誰でもそうだと思うのですが、一定期間忙しく働いていると、頭の中はパソコンのデスクトップに名無しのアイコンがたくさん並んでいるような、あまり気持ちのよくない状態になります。さまざまなことがバラバラに並んでいて、それを記憶したり考えたりするために多くのメモリが使われているといった感覚です。これをひとつずつ消していき、きれいな状態にする。瞑想にはそんな効果があります。

アイデンティティとピュアセルフ

(前略)一方、アイデンティティとは場に応じて変えてもいい「役割」だ、という認識を持っていると、セルフトークAは発生しにくくなります。会社での役割はこうだけど、家での役割はこう、夫婦だけになったらこうだ、というようにです。
アイデンティティはまとうものであり、刺激を受けたとしても、決して内側にある「本当の自分」が傷つくわけではない――そう考えれば、セルフトークAの発生はずいぶん抑えられるでしょう。

ではアイデンティティではない、「本当の自分」とは何なのでしょうか?これはあくまで私が採用している考えですが、私たちがまとっている何枚もの役割(アイデンティティ)の奥には、無色透明なピュアセルフ(純粋自己)があるはずです。そして、幼児の的の自分の意識を思い出すことができないように、幾重もの役割に包まれたピュアセルフを認識することは通常できません。
しかし、だからこそ、本当の自分が損なわれることは決してない。刺激を受けるのは、役割としてのアイデンティティに過ぎない。そう考えることがセルフトークAの発生を抑えるには有効です。

期待しない

私が自分のスピーカーとしての成長を感じられたのは、聞き手に期待することをやめられたときでした。講演のコツは、聞き手に「媚びない、すりよらない、期待しない」ことだと気がついたのです。
注意したいのは、期待は無意識にしてしまうということです。
特に、家族や同僚のようにいつも一緒にいる人には、ついつい甘えて期待をしてしまいます。言うまでもなくてわかってくれると思ってしまう、いちいち指示をしなくてもやってくれると思ってしまう。すると、その期待が裏切られたときに感情的な言葉を口にしてしまいます。
その甘えが許されるのが家族や友人といった間柄なのでしょうが、親しい仲を壊すのが甘えであることも世の常です。期待が裏切られたから、自分は反応してしまったのだという理屈を知っておけば、その行動を改めるのはずいぶんと楽になるはずです。

「フロー(=ゾーン)」を体験するコラムの書き方

たとえば、あと1時間でコラムを完成させなければならないとしましょう。まず、「書く自分」は、期限や文章の出来にはこだわらず、頭に浮かんだ文章を次々に形にしていきます。そして、「書く自分」が言うべきことをすべて吐き出してしまったら、「編集する自分」がすっと出てきて、残りの時間内に文章を整え、完成させます。
はじめから時間を気にしていた頃は、質的にも満足のいくものがなかなか書けませんでしたし、結果として完成させることができず、翌日に持ち越してしまうことがよくありました。
しかし、「書く自分=時間を忘れる自分」をつくると、不思議と帳尻が合います。
時間が決まっているコーチングでも講演でも、「今、この関係性」だけに没頭しようとするうちにフローに入り、時間のことは頭から消えるのですが、不思議と予定の時間に終えることが多くなります(「時間内に終える」ということも、自己目的的経験としているのかと考えることもありますが、真偽のほどはわかりません)。

*1:「感情」を呼び起こし、「反応」としての行動を導くセルフトークです。自分の意志にかかわらず自動的に「生まれる」もの。

*2:「理性」を呼び起こし、「対応」としての行動を導くセルフトーク。自ら「生み出す」もの。