頭のいい人は質問が上手い (リュウ・ブックスアステ新書) 福田 健 経済界 2005-02 価格 ¥ 900 by G-Tools |
質問力 = 質問を用いて、自分自身やコミュニケーションの相手の人生の質(QOL)を高める能力、社会に貢献する能力
http://www.5w1h.co.jp/about_question.htmlより
この本でも前書きに「質問力」という言葉が出てくる。読んで感じたのは、「質問のしかた」を身につけることで、コミュニケーション能力が格段にアップするということだ。
しゃべるよりも聞きなさい、というのはコミュニケーションの基本だが、一方的に聞くだけではほしい情報が得られなかったり、表面的な会話で終わってしまう。しかし、質問力を身につけることで素晴らしい結果を得ることができるのだ。
著者は前書きで質問上手になることのメリットを挙げている。
- 情報が集まる
- 仕事のコツや生き方の知恵がもらえる
- 人脈が広がる
- 人の協力が得られる
- 会話が弾む
- 人を育てることができる
- 思考する存在になる
- 注目される存在になる
また、質問上手な人の10ヵ条も紹介されているので、自分の現状を把握できる。
- 即答しやすい質問から入る
- あいさつ代わりの質問で雰囲気をつくる
- 相手が話したいことから質問する
- 確認の質問や例をあげて、相手の答えを促す
- 質問は具体的に―5W1Hを活用して―する
- 決めつけないで、間口の広い質問をする
- 本音を聞き出すにはこちらも本音で質問する
- 聞きづらいことを質問するときは相手のふところに飛び込む
- 無理に聞き出そうとせず、相手が喋るまで待つ
- 質問にふさわしい時と場所を選ぶ
著者の本は非常に実践的なのが特長だが、今回も具体例が豊富ですぐに取り入れることができそうだ。「質問力とは何か」といった思索が好きな人には向かないが、質問力を上げたいと考えている人には役に立つ本だと思う。接客業やカウンセリング、インタビューなどの仕事に就いている人にはまず読みたい1冊ではないだろうか。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
話しやすい人と言われるには
相手の心を開かせないと、質問には充分に答えてもらえない。そのためには、まず、自分が心を開いて、ありのままの自分を相手に見せることから始めるとよい。
情報に振り回されないためには
自分の頭で考える習慣をつけること、進んで必要に応じて質問をして聞き出すこと。このふたつのことは、情報の時代に生きる人間にとって極めて重要である。
何を調べておくか
インタビューの成否は下調べで半分決まる。残り半分は、インタビュアーの人柄、質問の技術、その場でのひらめき、想像力ということになろうか。
下調べとは、取材対象者については、1)経歴、2)得意分野、3)作品を、問題などについては1)その概略、2)背景の事情、3)特徴を調べておくことである。
その現場の流れに対応する
つまり、しっかり用意すると同時に、その場に行ったら、準備にとらわれずに、目の前の現実に対応して話す努力をするのである。
インタビューの場合、準備と同時に、その場への臨機応変な対応も欠かせない。
実際に相手に会った時は、あまり下調べにこだわりすぎると、その場の現実に対応できなくなり失敗する。
その場で浮かぶ質問が大事
質問をたくさん用意した場合は、相手がしゃべっていても、次に何を質問するかに頭がいって、よく聞いていないものだ。手持ちの質問が少ないと相手の話から質問事項を探そうとするから、一生懸命聞こうとする。聞くことに夢中になるので、的確な質問を返すこともできる。
3秒、間を置いてみる
じっと我慢の子といった大げさなことではない。ほんのちょっと、自分を抑えるのである。人の話を聞いて、
――あっ、あれか。知っている。
と思った瞬間、3秒でよい、間を置いてみる。その先を相手が話し続け、そこから、こちらの知らない面白い話が飛び出してくる可能性を楽しみにするのである。
自分の知っていることが、相手の知りたいこととは限らない。
7秒間待つ
相手が自然にしゃべるのを待つためには無理に聞き出そうとしたり、返しを自分で言ってしまったりしない。余裕を持って待つ方法は、7秒間、相手の言葉を待つのである。心の中でゆっくり7つ数えてみる。その間を置いて、静かに相手に目を向けるのである。
問いかけて気づかせる
人はどんな時に自発的に動くか?自主性を尊重された時である。
命令で動かされていたのでは、自発意志は起こらない。ひとりひとりの能力も充分に発揮されないことになる。
こうした方がよい、こうすべきであるとわかっていても、自分でやるのではなく、質問によって気づかせ、部下から答が出ると
「それはいい考えだ。ひとつその線でやってみないか?」
とあたかも、部下が自分で考えたように持っていく。アムンゼンのリーダーシップは、質問による説得のリーダーシップだったわけである。
質問上手になる条件
- 相手に対して関心・好意があるということ。
- 聞きたいことがはっきりしているから。
この条件が整えば、仕事上でもあなたは質問上手になれるはずである。
トップセールスマンとは説得の名人のこと。
そして、説得の名人は質問上手なのである。
色メガネを外せ
質問上手になる心得のひとつは、柔らかい思考を持って人に接し、事実を見つめることである。誰でもそうだが、先入観・思い込みにとらわれて、頭が固くなりやすい。
人に接する時ばかりでなく、事実を見る場合にも、可能な限り先入観は捨て、白紙になるように努めたい。
人は見かけによらない
質問者にとって、“人は見かけによらない”は、忘れてはならない言葉である。
相手の意向をたずねることが説得の近道
意見がかけ離れている場合も、いきなり否定せずに、何回か質問をして、こちらの考えに近づけるよう誘導する。部下の自発意志のように持っていくのである。自分の考えが尊重されれば、部下もやる気を起こす。
無視されて喜ぶ人はいない。腹を立てるか、淋しい思いをするか、その人のタイプによって分かれる。当然、説得にも抵抗する。
まず、相手の意向をたずねる。相手は自分を尊重してくれたと思い、説得にも応じるのだ。
質問され上手になる
(かつて地方都市でトップの売上げを誇るという、ミセスの保険セールスを取材した時の話)
「私は、こちら中心に会話を進めていくのではなく、お客様が中心に話せるようなペースに持っていこうとします。たとえば、『こちらの保険は旦那様がもしもの時に、大変安心な保険です』とだけ言います。すると、少しでも興味のある人は、『どういう風にトクなんですか?』と質問しますね。そこで、答の説明をするんです。『毎月の掛金も他の保険に比べて大変お安いんですよ』と言えば、やはり、気のある人は『いくらぐらい安いんですか?』と質問してきます。相手が質問することによって、セールスはしつこくないんだ、選択は自分でするんだ、という印象を持っていただけます」
表現力の「3K」
表現力とは、核心を、簡潔に、感じよく表現する力を指す。
質問こそきちっと伝える
質問こそ、言いたいことがひと言で、きちっと伝わらなければいけない。受け手が、どう判断したらよいか迷うような質問では失礼に当たる。