ユニクロ・柳井正―仕掛けて売り切るヒット力 川嶋幸太郎 ぱる出版 2009-06-13 ¥1,470 by G-Tools |
ユニクロの創業時*1からていねいに歴史を紹介し、随所に柳井さんのインタビュー記事やTV番組での発言が挿入されている。そして、成功も失敗も包み隠さず書いてある。もちろん、検証のすべてが柳井さんの考えとは一致していないかもしれないが、ニュースなどで断片的に聞くだけではわからない目的やビジョンを知ることができる。
衣料品を顧客が自由に選び、かごに入れてレジに持っていく販売方式は、実はユニクロが始めたことだそうだ。この他にも、消費者が求めているものを売る、作っているところがなければ自社で作って売る、という徹底した考え方がユニクロを支えてきたことがよくわかる。
柳井さんの合理主義はNHK「仕事学のすすめ」でも伝わってきたが、この本ではその点も掘り下げてあって興味深い。世の中の流れに敏感でいなければならない仕事なのに、ここまで自分の主義を貫き通せるものなのか、というのが新鮮だった。流行を追う仕事だからこそ、自分の核はしっかり持っていなければならないのかもしれない。
この本を読んで感じたのは、柳井さんはリスクを取ることを恐れないということだ。しかし、それは冒険(=無茶をする)のとは違う。どこまでなら失敗できるかを考える。そして、失敗を潔く認め、方針変更なり撤退なりを素早く判断する。いったん譲った社長の座に戻ってきたのも、その方法を次の社長が継承できなかったからだと著者は言う。
この本を読めば、ユニクロがやってきたことや目指すものがわかる。単なる一消費者でしかなかったが、今後どのような手を打ってくるのか、見るのがとても楽しみになってきた。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
リスクを量る
リスクを取るということは、無謀とは違う。リスクを取るということは、リスクを量らなければならない。そこを勘違いしてはいけない。ぼくを冒険主義の経営だと思う人もいるようですが、それだったら会社はつぶれてますよ。この程度なら失敗しても大丈夫だとリスクを量っているのです。