本格的にプロテニスプレーヤーとして復帰した伊達公子さんの本。生い立ちからプロを目指すまで、そして25歳で引退するまで、の人生第1部と、引退後の結婚から復帰に至るまでのことが包み隠さず書かれている。私は伊達さんの本を読むのは初めてなので知らなかった、初めて聞いた、ということがたくさんあった。
実はプロに復帰した本当の目的はもうひとつ別にあったことや、わずか25歳で引退を選んだ理由など、外から見ているだけではわからないのだ、と感じた。
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しかし、あまりにも詳細に書かれているのでコアなファン以外はそこまで知らなくても、とも思う。さらっと読んで自分に必要なところだけじっくり再読すればいいかもしれない。
たとえば不妊治療に関することや、外国人との結婚生活に関すること、さらにパートナーシップの問題など、テニスとは直接関係ないこともいろいろと知ることができる。なぜ「クルム伊達公子」と名乗っているのかも、この本で初めて知った。わざわざ家庭裁判所に申請してまで、旧姓「伊達」も残せるようにしたのだそうだ。
もちろんこの本のメインテーマは「やりたいことはいつからでも始められる!」であり、プロに復帰した37歳が、引退前の自分よりもテニスのレベルが上がっていると感じられた、ということが最も伝えたいことだと思う。人間に限界はないのだ。
そして、11年経って復帰したのに以前よりレベルが上がったのは、心底テニスが好き、楽しいと思えたからだろう。やっぱり「好き」はすべてを凌駕するのだと感じた。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
目標は2つ持つ
人間にはいつも「目標」が必要で、「身近な目標」と「大きな目標」の2つがあれば理想的。身近な目標があまりに簡単でも、あるいは難しすぎても、やる気は起こらない。少し手が届きそうで届かない目標を設定することが大事だ。また身近な目標だけだと達成した時に、またすぐ次の目標を探さなければならない。常に「身近な目標」と「大きな目標」の2つを持っていれば、自分を見失うことを避けられる――小浦さんから学んだ教えは、それから、勝負の世界を離れてからも私の人生を支える「哲学」になった。