毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

脳科学的な恋愛指南本☆☆

脳は0.1秒で恋をする
茂木 健一郎
PHP研究所(2009/7/16)

¥1,155

茂木健一郎さんが書いた恋愛本。果たして本当に恋愛の役に立つのか、と思ったが、なかなか面白かった。

この本を読もうと思ったのは、ある日調べものをしていた時にこの本の冒頭に出てくる“ディフォルト・ネットワーク*1”という言葉に出会って興味を持ったからだ。恋愛についてせっぱ詰まっていたからではないのだが、通して読んでみて、出会いを求めて合コンや婚活に精を出している人にとてもいい本だと思う。恋人募集中の友人に勧めようと思ったくらいだ。

恋愛について、脳科学の側面からこれだけきちんと説明できるというのが驚きだった。ひと目惚れのメカニズムが実は生存のための機能から来ているとか、女性の方が一般的に失恋後に立ち直りが早いのはなぜかとか、なぜ男性は自分の本心をなかなか言ってくれないのかなど、とても納得できるところが多かった。

また、恋愛は他者との関わり方のひとつなので、人間関係の作り方、ひいては自分をどう認識するかといった根本的なところまで掘り下げていくところもあり、とても興味深かった。


私のメモは直接恋愛に関係のないところが多いかもしれないので、どんな内容か知りたい方はぜひ読んでみてください。恋愛について客観的に見ることができれば気持ちに余裕ができ、結果的にもてる人になれる可能性もあると思います。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

ディフォルト・ネットワーク(P4)

 脳には、「ディフォルト・ネットワーク」(default network)と呼ばれる部位があります。脳の中には、「感情」や「運動」、「記憶」や「イメージ」といった、それぞれの働きを担う部位が存在しているのですが、「ディフォルト・ネットワーク」とは、それらをつないで束ねている中心的な役割を果たしています。
 通常、人間の脳は何かを考えている時に、より活発に活動しているものなのですが、この「ディフォルト・ネットワーク」だけは特殊で、何か特定のことに目的を定めて考えている時には活動が低下しており、反対に、何も考えていない時に活性化している。いわば脳がアイドリングしている時に、一番活発に動いていることがわかっています。
(中略)
 「ディフォルト・ネットワーク」が働いている状態に関しては、近いものとして「白日夢」が挙げられます。夜、睡眠の中で見る「夢」でもなく、将来を夢見るという意味での「夢」でもない。うららかな午後の陽ざしの中、何をするでもなく、たゆたう連想に身を任せながら見る、夢と現(うつつ)の中にある「白日夢」。
 明瞭な意識でものごとを考えているわけではないけれど、まったく思考を停止させているわけでもない。次から次へと頭に浮かぶ想念の波に揺られつつ、自由に想像の羽をはばたかせている、それが「ディフォルト・ネットワーク」を働かせている状態であり、人間の「創造性」とも深く関わりがあるといわれています。

「ディフォルト・ネットワーク」とは、常に脳内を回遊して「何か新しいこと・面白いことはないかなぁ」とアンテナを立てて探している状態でもあるのです。

明瞭な目的を持たないからこそ(P12)

 人は、明確すぎる目的があると、それ以外の出来事には関心が向かなくなってしまうものです。Aという目的があると、それ以外のBやCの選択肢は、あらかじめ視界から排除されてしまう可能性がある。
 しかし、もしかしたら自分にとっての最高の幸せは、BやCの場所に転がっているかもしれないのです。その偶然の幸運に出会う力が、「セレンディピティ」と呼ばれるものです。Aという目的があって出発したのに、偶然が重なってたどり着いてしまったBやCの地点で、最高の幸運と巡り合う、それが゛「セレンディピティ」です。

セレンディピティにめぐり合う8:2の法則(P14)

 仕事などの当面の課題Aに関しては、持てる力の80%の力を投入する。
 けれどもそれ以外の20%は、仕事や目的以外の「無課題・無目的」に関心を傾けるのです。
 そこでは、脳を緊張から解き放ち、自由な発想で興味の赴くまま自分の世界を広げます。特にこれと言った木時を設定しないで、ブラブラしながら、脳の「ディフォルト・ネットワーク」が活性化するようにしてあげるのです。

最高のパフォーマンスは、最高にリラックスした状態でのみ生まれる。(P16)

理由は後づけ(P38)

 ひとめ惚れの瞬間、脳の中ではまさにこの「扁桃体」が大きく活動しています。いわゆる「ビビッ」と来るのが、その瞬間です。
 そして後から、「大脳新皮質」によって冷静な判断が始まります。「この人の笑顔が感じいい」「性格も合いそう」「こういうところが好き」というように。最初の直感に対して、理由づけをしていくのです。
 どうしてわざわざ理由づけをしていくかというと、やはり最初の直感だけでは、自分でも心もとないからです。人間は、理由を必要とする生き物です。ただ「好き」というのだけでは不安で、「どうして好きなのか」というところまで納得したい。その分析を、大脳新皮質が担当してくれるのです。

カッティングエッジ(最先端)とは(P110)

 つまり、「未来の人類はこのように行動するだろう」と思えるようなことを先取りしている人物は、なぜだか理由かわからないなりにも、多くの人が魅力的に感じてしまうものなのです。世の中のカッティングエッジ(最先端)の人は、その時代の周囲の人の生き方からすると常識から外れていることが多い。しかし、そこから何十年か時代が下ると、意外とそのカッティングエッジだったはずの人の生き方の方が常識となっている場合が多いのです。

脳は理由づけしたがる(P121)

 人間の脳は、どんなものでも「理由づけ」をしたがるものです。ある対象を好きな場合でも嫌いな場合でも、「どうしてそう思うのか」という理由を必要とします。
 そうでないと脳の回路が安定しなくなるからです。理由さえわかっていれば、過去の体験のデータベースからいろいろ参考になることを引っ張り出して、現在の状況と照らし合わせて、対策を練ることができます。
 しかし、その理由がわからないことには、事態を解決する糸口が見つからないのです。
 理由もわからないままその人のことを好きでいるよりも、その人のことを好きな理由がわかっている方が、脳としては安心するのです。

大きな悲しみがあった後にこそ、大きな喜びを得る(P138)

 ひとつの恋を失うということは、それだけ心に空白ができるということです。脳は、その空白を埋めようと必死になって次の幸福を探すための準備をします。

「癒し」とは何か(P162)

 僕が最近体験した「癒し」は、バリ島で出会ったある光景でした。
(中略)
その光景を眺めていた瞬間こそが、僕にとっての最大の「癒し」の時でした。それを求めてバリ島に来たのだと思えるくらいに。
 しかし、それは僕がふだんは都会にいて、全部コントロールされている中にいるからこそ、バリ島で見た光景のようなある種の雑然としたものを求めるわけです。逆にふだんからコントロールされていないような場所にいる人にとっては、エアコンのきいた部屋で本を読む方が「癒し」になる。
 要するに、自分の脳がふだん接していないものに接して、全体性を回復することが「癒し」となるのです。

後悔で成長する(P174)

 「後悔」するということは、環境の変化に対応し、自らを成長させることだったのです。別の言い方をすると、後悔するということは、次からは、同じ失敗をしないように工夫することなのです。
 後悔している時、脳はそれをきっかけにして成長しているのです。
 ただし、ここでいう「後悔」とは反省とは違います。反省は、失敗など過去の経験を振り返り、「〜だから駄目だった」のだと批判的な評価を加える行為です。反省ではなく、「くよくよ後悔し、前向きに振り返る」ことが成長においては、重要なポイントとなるのです。

自分を成長させる「後悔の仕方」(P177)

 自分を成長させるためには、実際に、起こってしまったことだけを考えて「あの時は残念だったな」と思うだけでは駄目なのです。
 同時に、「こういうふうにやれば、うまくいったかもしれない」という過程を、具体的に想像してみるのです。
 そうすると、ふたつのことが起こります。
 ひとつは、いわゆる「失敗から学ぶ」ことです。「実際にはAの行動を取ったけれども、本当はBをした方がよかったのかも」と考えることにより、次に同じような場面が再現された時には、Bを選べるようにすることです。
 ふたつめは、「自分の価値観が根底から変わるきっかけになりうる」ということです。なぜなら、「AとB、ふたつの選択肢があった時にAを選んだ」ということは、その人の価値観や世界観がそこに表れているということです。それなのに、自分が選んだAの選択の結果が失敗に終わってしまった。そこで初めて人は、自分が正しいと思っていた価値観や世界観がもしかして間違っているのではないかという、可能性に気がつくのです。
 「後悔」は、嘉間良図示も「起きてしまった過去を悔いるため」だけに生まれた脳の機能ではありません。きたるべき、「未来のため」にやっていることでもあるのです。

脳の基本は孤独(P215)

 他人の意識がわからないというのは、他人と脳を共有しているわけではなく、一人ひとり違う脳を別々に持っているからです。
 一人ひとりことなる脳を持ち、異なる意識を持っている以上、僕たち人間は、前提としてみな孤独なのです。その前提を理解していないと、「孤独」に対してネガティブな感情を抱いてしまうでしょう。

理想的な男女の関係とは、ふたりで共通の「安全基地」を作り上げる関係(P225)

 大人の「安全基地」とは、相手にべったりと依存し合う関係ではなく、自立した者同士が作る関係といえます。お互いがその関係を安全基地として外の世界に向かって探求していけること。そこを拠点にしてそれぞれが新しい世界や不確実なことに対してチャレンジしていけるということです。
 恋愛とは、相手を見つめることではなく、ふたりで将来を展望できることなのです。

恋愛とは、コミットメント(P226)

 他者とコミットするということは、自分の全存在をゆだね、親密に相手とかかわるということ。したがって、自分が好きになった相手に対しては、相手にどんな不条理なことを言われようが、どんな無茶苦茶な要求をされようが、それを許容して受け入れること。要するに、何があっても相手に対する愛と信頼が揺るがないということです。
 実は、相手を受け入れることは、自分を受け入れることと、同じことなのです。

自分の存在意義がわからず自信が持てない人の共通点(P233)

 本来外界に向いて放たれるべき視線が、あるところで折れて戻ってきてしまい、最終的には必ず自分に返ってきてしまうことです。つまり、関心の対象が、常に自分にしかないのです。言い換えれば、「自分自身から解放されない」。

自分を愛せる人は、他人をも愛することができる

 たとえ自分に欠点やコンプレックスがあっても、人は自分自身と別れることはできません。「自分を愛せる人」というのは、そのような欠点もコンプレックスもすべて込みの自分を、ありのまま愛せる人なのです。そのような人は、他者の欠点をも受け入れる包容力があります。

「自分の自分に対する接し方」と「自分の他人に対する接し方」は合わせ鏡(P235)

 「他人とどういう接し方をするか」というのは、ふだん「自分とどのようにつき合っているか」ということの表れなのです。
「すぐに結果を求めない」「即物的な形での見返りを要求しない」、人間だから時には失敗もするけれど「失敗した自分(恋人)を許すことができる」など、自分に対する接し方は、恋人に対する自分の接し方に直結します。

自分を愛するようになれば、おのずと人からも愛されるようになる(P236)

*1:「ディフォルト」とは、コンピュータ用語で「初期設定」という意味です(P8)