毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

予定調和の文章は必要ない?☆☆

著者はジャーナリストとしてたくさんの本を出版されている。そんな人が書く文章術、それも“稼げる”とついている。いったいどんな本なのか、と期待して読んでみた。

おそらく著者の考え方は好みが分かれると思うのだが、わかりやすく必要なことをしっかり伝える、という意味ではいいお手本だと思う。著者独自の見解があって面白かった。

たとえば、“起承転結”というパターンは必要なく、読者があれっと思うところに着地するとか、誰かの意見を引用する時に、ここは賛成だがここは違うと思う、という違いをはっきり書けとか。まるまる同じ意見なら、そもそも書く必要はないという。意外性がなければ読者は読むのをやめてしまう、という言葉も説得力があった。さすがは毎月50本の締切を抱える人*1と思う。

第6章「こうすれば稼げるQ&A」は、フリーライターになりたい人に向けて書かれているので一般的ではないが、他の章はブログをうまく書きたいとか、読んでもらえる人を増やしたい人に充分役に立つ。最終章「文章で稼ぐための必読33冊」も面白い。探書リスト*2が一気に増えてしまった。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

読んでいて楽しいブログとは(P11)

「〜の問題について、本当のところはどうなのか」ということがわかるものです。
(中略)
「本当のところはどうなのか」という問いに答えられるかどうかは、公に文章を書くことの(特に小説でない分野では)基本に関わるのです。

文章の結論は、(P18)

少し飛躍させた方が締まりがよくなります。読み手に「考える快感」をもたらすからです。
(中略)
読者が前向きに考える余地を、文章の中にきちんと残す。

文章を書く前に仮説を立てる。(P19)

当たり前のことなのに、残念ながらこれは、誰もがやっている方法ではないように思います。文章を書くということは、謎解きと同じだと思ってみてください。何か切実な問題を設定し、それを文章の中で解いてゆくということです。
(中略)
問題や仮説を設定し、根拠を与えながら解いてゆく。このことは、文章を書く上での大原則です。

考える習慣をつけておく(P21)

身のまわりの出来事を、ちょっと振り返って考える習慣をつけておいた方がいいと思います。こんなことを問題提起したら笑われてしまうのではないか?というようなことも、どんどん考えていった方がよいのです。

個人的なテーマを広げながら書く(P25)

ここでは、個人的な題材を枕として文章を書いています。自分の体験をある程度据えながら(自分の体験だけで最後まで行ってしまうとヤバいですが)、1その体験がどれだけ普遍性を持つか検証する、2読者概論を挟もうが共感しようが、個人的な体験に対してどれだけ距離を取れるか、3「それがどうしたの?」というような素朴な疑問に答えられるようにしていく、ということが文章成立のポイントになります。

書評の目的(P29)

書評とは(1)本を買いに走りたくなる、(2)エッセイ自体がおもしろい、そのどちらかの要素を満たさなくてはなりません。

観察力=文章力(P31)

お笑い芸人は私たちの日常生活でいかにもありそうなことをネタにして笑いを取っています。見ている人が「そういうの、あるある」と共感できるので、笑えるのです。文章についても同じことで、「へぇ」「なるほど」と読者が共感し、おもしろいと思われる文章を書くためには、観察力がなければなりません。

本来無関係な2つのことを結びつける力(P33)

が文章力であり、おもしろい文章の実態である
ありきたりな言葉でありきたりなことを書いたり、誰にも予想がつくようなことを書いてもおもしろくありません。意外性がなければおもしろくも何ともない。おもしろい文章の実態とは、本来結びつかない2つのことを結びつけることなのです。

「読ませる」ための7つのポイント(P34)

1.自分の体験や見聞を挙げてみる
2.現在起きている例を3つ程度は挙げてみる
3.横軸としての比較
4.縦軸としての歴史検証
5.反論を想定する
自問自答と同じことです。なるべく意地悪な、あるいは本質的な反論を用意できるかどうか。要するに、自分の中に他者をどれだけ想定できるか、ということです。
6.論点を整理する
靖国問題でしたら100こくらいはポイントがあるにしても、3点にまとめてみましょう。それ以外の細かいことは、全部その3点の中に入れてしまえばいいのです。
7.できたら専門家の意見も取り入れてみる

これだけは気をつけたい基本の基(P37)

1.接続詞の多用に注意
2.「です」「ます」調は大リーグ要請ギプス
3.句読点は呼吸のリズム
4.誤字が生まれる法則
固有名詞、自分はよく知っていると思うものほど注意
5.引用は一字一句正確に(《》を使う)
雑誌名は「」、本のタイトルは『』でくくる
6.用語・表記の統一
7.漢字を使いすぎない

文章を書く目的(P66)

文章を書くに当たっては、筆者の「なぜ」を解明するのが基本です。疑問を何も解く必要がなければ、文章を書く必要がないということになってしまいます。

主張は3つに収める(P77)

4つから5つとなると、内容が重複してしまったり論点の押さえ方が違ったりしてしまいます。イスは2脚や1脚では立たないけれど、3脚ならば立つと考えてみてください。

おもしろい文章の実態(P84)

文章がおもしろいということは、ひとことで言えば意外性があるということです。意外性がなく予想どおりの文章が出てきてしまった場合、自然の行動として人は先の文章を読むのをやめてしまいます。意外性を持った書き出しと文章運びがなされていることが、おもしろい文章の実態なのです。

文章のキャッチフレーズをきちんと決める(P90)

文章を読むために読者が自分の時間をさいてくれるかどうかは、文章のタイトルなり最初の引き込み部分で判断されます。ですから、タイトルや引き込み部分はおろそかにはできません。要するに、文章のキャッチフレーズをきちんと決めることが必要なのです。

読者を想定する(P122)

プロでしたら、文章を書くときには7種類程度の読者層を想定しなければなりません。プロでない場合にも、少なくとも3種類の読者は想定した方がよいでしょう。1身内の読み手など、自分に興味を持っている人、2上司や取引先、3意地悪な人、の3種類ですね。その3種類の読者に加えて専門家、さらに高校生や子供などまったく予備知識がない人を含めていけばなおよいと思います。

コピーライターの糸井重里さんは(P123)

今でも年に何回か、お風呂からわざわざ一度上がってアイデアをメモすることがあるそうです。糸井さんは、メモすることは「アイデアに対する敬意」である、と表現されていました。

頭に浮かんだことをメモする(P123)

人にインタビューする時、本を読んでいる時、文章を書いている途中にいろいろなことを思い浮かべることがあります。人の話はテープに収めておけばあとで確認できるでしょう。しかし自分が頭の中で考えたことは、メモをしておかなければ忘れてしまいます。人の話を聞いている時にとんでもないことを考えてしまったり、発見してしまうことがありませんか。それを忘れずにメモし、あとで文章化することがオリジナリティにつながります。

メモさえあれば、文章を書くスピードは確実に速くなる(P125)

ひとことで説明する習慣をつける(P129)

「これはうまい」と思う文章に接した時には、どこがどううまいと感じたのか、ひとことで説明する習慣をつけていくとよいと思います。表現するということは、何かを否定して何かを肯定し、何かを提案することなのです。

文章を書く動機(P134)

1.笑わせたい
2.泣かせたい
3.怒らせたい
4.感動してもらいたい
5.知的刺激を持ってもらいたい
6.共感してもらいたい
というようなことがあると思います。自分が「〜したい」というよらも、相手へのホスピタリティの問題だと思った方がよいかもしれません。自分が何かを書きたいというよりも、読者をどうもてなすかという方向へ発想を変えてみましょう。

難しいことを易しく書くためには(P134)

1.具体例
2.引用
3.2つのものを結びつけるレトリック(=比喩)
この3点を明確にすることが必要です。

あえて全力投球はしない(P136)

文章を書く際にやたらと全力投球はしないということも大事なことです。1回ですべて書ききろうなどと思ったら、ろくなことがありません。むしろ腹8分目で、余力を残して終わるくらいがちょうどいいのです。文章を書く際に完璧を期すのは、締切を守れなくなる最大の要因ですよね。ブログなどでも毎回完璧を期してたら、続かなくなってしまいます。

「得意」の定義(P158)

私の定義では、物事を「得意だ」と言えるかどうかは、60%の力だけで完成させられるかどうかが分かれ目だと思います。ちょっと語弊がある言い方かもしれませんが、相手にはこちらが120%の力を出し切ったと思ってもらいたい。しかし、こちらとしては、60%程度の力しか出したくないのです。
(中略)
長く仕事を続けていくためには、全力疾走するよりも、余力を残しておくことの方が大事なのではないかと思います。

人の話を聞く時のノートの取り方(P163)

私は人の話を聞きながらノートを取る時、さも一生懸命相手が言ってることをメモするようなふりをして、実は自分の考えを書いていたりします。ノートの左側のページには、相手の話を聞きながら思いついたこと、自分の頭から出てきたことを書く。右側のページには、相手の話で忘れてしまうかもしれないこと、おもしろかったことや参考になることを書きます。相手の言葉を代弁するようにただ発表するのでない限り、ノートの左側に書いたことがアウトプットの肝になります。インタビューしている相手には失礼かもしれませんが、自分の発想が正しいか、修正すべき箇所があるかどうかを、相手の頭を借りて練っているという感じですね。

*1:それだけ売れている、ニーズがあるということですね

*2:奥野宣之さんの「読書は1冊のノートにまとめなさい」に出てくる読書リスト。詳しくはこちらをご覧ください