銀行勤務を経て現在は経済学者(エコノミスト)である吉本佳生さんの本。ビジネスブックマラソンで紹介されていたので、ご存じの方も多いと思う。
身近な例をあげて、モノの価格がどうやって決まるかをていねいに教えてくれる。
タイトルはスタバなどいわゆるシアトル系カフェの飲みものが、どれも100円高いだけで2倍の量が飲めるところから来ている。ペットボトル飲料が、なぜ店によって値段がまちまちなのか、携帯電話の料金体系はなぜあんなに複雑なのか、などから家電量販店の値下げの仕組みや子どもの医療費無料化が実は得にならないことまで、値段にまつわる疑問を検証している。
著者は大学で教えている人なのでむずかしそうな先入観があったが、シンプルな例を使って数字が苦手な人でもわかるように説明されているので、抵抗なく読めた。世の中の仕組みがよくわかり、自分は何に対してお金を払っているのか意識できるようになる。
こんな風に世の中の仕組みをわかりやすく教えてくれる本は今まであまりなかったと思う。10代の時に読んでおくと、お金に関するリテラシーが向上していいのではないだろうか。学校でこういうことを教えてくれればよかったのに、とちょっと思った。
かしこくお金を使いたい人はぜひどうぞ。“時間に対するコストをどのくらいかけるか”という自分なりの基準が持てるようになります。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
稼ぐ能力とは
- 自分に何ができるか(できないか)をきちんと自覚してして、自分にできることを確実に行うことができる(一定以上の責任がある)
- 相手がどういったことを望んでいそうか想像できる(いろいろな状況を想定できる)
- 論理的に、あるいは熱意・誠意をもって、説明する能力が一定程度ある
- 自分がミスをすることを前提に、重要な点は他人に確認を依頼することをいとわない
埋没コストとは
最初に5万円で買ったカメラなので、「修理しないともったいない」と思うかもしれませんが、かしこい消費者としては、過去の5万円は忘れるべきです。
なお、壊れたデジカメは中古品としても売れず、従って最初に払った5万円は回収できないという時に、この5万円を「埋没コスト」(サンクコスト)と呼びます。合理的に行動したいなら、埋没コストはすでに消えてしまった価値として、きっぱりあきらめるべきです。