毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

頭をカラッポにする+活用するための記録術☆☆☆

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)
奥野 宣之
ナナ・コーポレート・コミュニケーション(2008/3/12)

¥1,365

すでに何冊か読んでいる奥野宣之さんの1冊目の本。なぜ今まで読んでいなかったのか考えてみたら、よく似たノート術をネットで見てすでにやっていたからだ。当時は混乱するとよくないと思ったのだろう。
もっと早く読めばよかったと残念に感じた反面、いろいろなノート術を試したあとで読めてよかったかもしれない。

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奥野さんの本の特長は、びっくりするくらいオープンであること。ノウハウがそっくりそのまま開示されている。
というのも、奥野さんには「自由にカスタマイズできないと意味がない」というポリシーがあるからだ。書いてある通りに導入しても、すべての人にとって使いやすいシステムはおそらくない。なので、どういう考え方でこんなしくみになったのか、奥野さんご自身の使い方はどうなのか、という根本的な部分まできちんと書いてある。例もたくさん出ているので、まずは奥野さんのやり方を知り、その後自分が使える方法をそれぞれが考えやすくなっている。

この本のシステムはとてもシンプルだ。

 重要度に応じてペンの色を変えたり、書くスペースを限定せずに、単純に前のページから順に書き付けていく。スペースがなくなったら、次のノートに移る。これだけです(P34)。

簡単なら持続可能。そして、せっかく書いたものをいつでも調べて再利用できる。これがこのシステムの大きなポイントだと思う。

100円ノート式とは、従来式の「綴じ手帳に紙とペン」ではできないことを、いろいろな文房具類とパソコンの力を借りて、可能にするという発想なのです。つまり、紙ベースで難しいこと、たとえば索引ファイルの検索などは、はじめからあきらめてパソコンに丸投げしています。

この方法をどの程度取り入れるかはともかく、よくできている。労力を少なく、簡単に検索できるようになっているので、書きっぱなしにならないのだ。事実、この本のアイデアはA6のノート何冊にも渡ったメモから書かれている。

私が使える、と思ったのは人からもらった写真やチケット、お店のカードなど整理できずにためてしまうようなものも全部ノートに貼ってしまう、という方法だ。ここにコメントをつければ簡単な日記にもなるし、旅行の時はノートがそのまま旅行記に早変わり。日にちさえきちんと記録しておけば、あとで探せるのだ*1

この方法なら、あまりむずかしく考えず、とにかくどんどん書いてみよう、と気軽に試せる。大きな字で書くことや略語を使うことを勧めているように、きれいに書くのが目的ではない。つまらなくても役に立たなくても、とにかく思いついたものは書いて忘れてしまう。そうすることで、頭をフルに使えるし、アイデアを出せるようになってくるという。やはり、その辺は業界紙記者(当時)ならではの発想かもしれない。

反面、スケジュールもこのノートで管理するとか*2、年賀状もノートに貼ってしまうというのは「そこまでやるか」とも思う。
大事なのは、この本を読んで自分なりのやり方をどうするのか、どうなったら快適なのかを考えてみることだろう。たとえばノートのサイズひとつとっても、本によって勧めているサイズはバラバラだ。こういう好みは個人差が大きいので、自分で考えて試行錯誤していくしかないだろう。


ほかにも、検索システムの作り方やアイデアを出すための考え方、タグのつけ方にメモをネタに育てるための方法など、かゆいところに手が届く充実した内容だ。
「分厚い手帳はどうもうまく使いこなせない」「あれもこれもと手をつけるが結局続かない」という人には特におすすめです。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

忘れるためにメモを取る(P33)

歩きながら、面白いフレーズを思いついた僕は、一瞬、立ち止まったけれど、面倒に感じて結局メモしませんでした。
しばらくして、「さっきのあれ、なんだったっけ」と気になりだして、しばらくして何とか記憶がつながると「なんだ、それほど面白くないな。だからメモしなかったのか」と納得。
しかしまた歩いていると……(中略)
この時以来、どんなくだらないアイデア(この場合はすごくつまらない駄洒落だった)でもとりあえず書いておこうと思いました。
記録するというより、安心して忘れるために。

継続するコツは自分の手を加えること(P47)

メモをつけたり、検索ファイルを作るのは面倒なことですが、自分だけの情報管理がうまく回っている、という気持ちが芽生えれば、面倒な気持ちをだんだんと飼い慣らすことができます。

メモする時のコツ(P57)

速記のコツは大きな時で書くこと。さらに、略記を駆使することです。
(中略)
略記はアルファベットを使い、基本的に「ローマ字の母音抜き」を使う。
「大阪」→OS
「神戸」→KB
「博物館」→HBK
と、字数はなるべくそのまま、ローマ字にして子音だけ残す。
パソコンで「KB」で「神戸」が出るようにユーザー辞書を登録しておけば、入力も速くなる。
無理矢理には導入せず、自分の業務や生活でよく使う画数の多い言葉の「ローマ字母音抜き」を記憶しておく。
議事録をつける時など、出席者の名字を略記して最初に書いておくと便利。
高橋→TH、岡崎→OZ、島田→SD、山田→YD、高清水→TSMなど。

ノートの「代替わり」を楽にする方法(P81)

・ふせんはシステム手帳の「リフィル」代わりとして使う。引き継ぎそうな情報はあらかじめふせんに書いておくと、新しいノートへの移行は貼り替えるだけですむ。
・パソコンを使う。まとまった量のリストなどを一度、手入力でパソコンのテキストファイルにしてしまう。
作成したテキストデータは、A4の4分割で割り付け印刷して、はさみで切ってノートに貼る。
「貼がせる糊」を使えば、ふつうのコピー用紙を「ポストイット化」でき、何度でも新しいノートに貼り直すことができる。

年中行事を記録しておく(P102)

061015 日記……展示会(秋)1日目
・今回から汚水処理機コーナーができた。4社参加
・野外展示、雨で人がこない。失敗か
・ダイコーの猪田社長がキレてた。「客少ない!」
・社長の提案でフリーペーパー配布。今回が初。内容微妙

などと書いてあるのをみると、その展示会で何があったか、だいたいわかる。会議で「今回は何をやるか」ということを話し合うのに「前回はどうだったか」から始めるのはよくあるが、事前に「行動記録」を見ておけば避けられる。

日記と行動記録の違い(P103)

「日記」は感想や考えたことの記録です。「行動記録」が「サッカーをした」「寿司を食べた」「腕時計を買った」という事実の記録なのに対し、「楽しかった」「おいしい」「買ってよかった」などという「心が動いたこと」が日記です。

貼ったものにコメントをつける(P105)

ノートには日常的にさまざまなメモをつけたり、資料を貼ったりするので、それにコメントをつけるだけでも日記代わりになります。

タグのつけ方

・「資料」は配布書類やチラシなどの貼りつけたもの(ただし、手紙・ハガキは「信書」、写真は「写真」)、「企画」は主に書きものや取材のアイデア、「店」は飲食店の情報と決めている(P117)
・「関心」あるいは「興味」タグを作っておく。時間があったらやってみたい趣味や行きたいところ、じっくり調べてみたいことについての記述を「興味」タグで管理(P121)

忙しい時ほど暇な時にやるべきことを思いつき、遊んでいる時ほど仕事につながるアイデアを考えつく(P122)。

行き場のない資料もノートに貼る(P128)

人からもらった写真、名刺、店のカード、レシートなど。
そうしておくと、遊びに行ったときの写真が、日記や行動記録、チケット、立ち寄った店のショップカードなどと一緒になっていて、見返したときに楽しい。

ハガキ・手紙の保存とスクラップ(P130)

ハガキはA6なのでそのまま、手紙は4つ折りの「A4方式」で保存する。
(中略)
結局、糊で貼る方法が一番きれいに保存できる。糊の付け方を工夫して、裏、表ともに必要とあらば見られるようにしておくとよい。
(中略)
新聞と雑誌のスクラップにも使える。
基本的にA4以下の場合までは4つ折りで貼る。
A4の見開き、つまりA3以上になると縮小コピーした方がよい。
B5に縮小すると、4つ折りでA6よりひと回り小さいので、端をはさみで切る行程を省いて、楽に貼ることができる。

あると便利な文房具

・携帯用ペンゼブラ「ペンポッド」(P80)
キーホルダーやかばんにつけられるので忘れない。
情報カードホルダー「ジョッタ」(P155)
B7サイズの情報カードを差し込んで固定することができる。手帳を出していると忘れそうな時、またはノートを出すのが面倒な時に、ノートの代わりに使う。
ほどほどに書いた情報カードはノートに貼り、ジョッタには新しいカードを補充しておく。
・実際に文房具の売り場に行くだけでなく、釣り道具店(携帯用のはさみなど)、ホームセンター(ツールボックスなどが便利)、画材店などにも足を延ばすことが肝心。

「アイデア」が大切(P169)

アメリカ横断旅行に行った体験談を書く時、普通は、1日目はワシントンに行って、2日目は……とは書きません。
「現地で耳にした音楽」とか「プロテスタント文化」とか「農業大国としてのアメリカ」とか、いろいろテーマの軸を設定することが多い。でないと読みものになりません。
このような「切り口」「ねらい」のようなものも、アイデアといっていいでしょう。
なるほど、読めるモノにするためにはアイデアが不可欠です。

いいアイデアは常に大量のゴミアイデアから出てくる(P171)。

「ひらめき脳」より「レスポンス脳」(P174)

人と話したり、いい映画を観たりした時、「いい刺激を受ける」といいます。この「刺激」という言葉は、アイデアは常に外部(あるいは深い内面や、体調など)からの情報によって起こる、その仕組みをよく表しています。
思考は、ほとんどが外部からの情報に対するレスポンスなので、それを多く出すには、刺激を与えまくればいいという話です。

レスポンスはストックしておく(P177)

刺激へのレスポンス、つまり考えたことは、いつでも引き出せるようにストックしておかなければなりません。
人と話して得た情報や考え、テレビを見たりして気づいたこと、電車に乗っていて思ったことなどをノートに時系列に書いてためておく。
イデアノートを作るように、かしこまる必要はありません。
もっとラフに、頭に一時的に浮かんだことの「ゴミ捨て場」や工場やお店の「バックヤード」と思ってください。
書いて残すことより、書いて忘れて、頭をクリアにすることの方が重要です。
そうして、日々着想を得ていく中で、ポッといいアイデアが出てきたら、その都度アウトプットしていけばいい。

自分の考えを否定しない(P184)

イデアをノートに書く際には、ぜひこの「考えを否定しない」というルールを意識してください。
イデアだけでなく、日記をはじめとするすべてのメモに、です。
どんなに実現性の薄いアイデアでも、どんなに変態的な考えでも、いいアイデアをだすための貴重な資源ととらえるのです。

索引ファイルの作り方(P208)

まずノートを使いきった時、表紙にノートの番号と使用期間を「6桁ラベル」で書きます。
2007年10月3日から21日まで使った3代目のノートなら「【3】071003-071021」です。
油性ボールペンで強めに書くのがいいでしょう。サインペンで書いた場合、たとえ油性でも擦れて文字が消えることがあるのに対し、ボールペンで強く書くとインクが乗った部分が筆圧で沈み込むので、長期保存でノート同士の表紙が擦れ合っても消えにくいのです。
あとあと参照するために取り出すことを考えて、面倒でも背表紙に番号を書いておくと便利。
番号を書いた紙を背表紙に貼っておくとより便利。劣化が遅いメンディングテープがいい。

更新した索引ファイルはこうなります。
【1】071103-071108
071103 取材……大阪市
071104 映画……ニキータ
071106 店……とりよし(焼き鳥)なんば
071106 日記……梅田で古本屋巡り
071108 資料……スケジュールシート071012-071108

【2】071108-071113
071108 切抜……文藝春秋の書評『国家の罠佐藤優071109 メモ……ボーナスで買いたいもの
071110 企画……保守化するネット世論
071112 写真……山本さんと嵐山
071113 打合……2008年新年号

【3】071113-071119
071113 興味……エスプレッソメーカー
071113 信書……樺島から個展の招待
071113 物欲……小型モノクロプリンタ
071113 購入……携帯電話のUSB充電器
071113 メモ……ノート術「バックアップについて」

1行あたり1項目を表示。ひとつの項目はノートでいうとペンで線を引いて区切った記述、ひとつひとつに対応しています。
よって、項目名は実際の記述の長さやページ数に関係なく1行。ひとことしか書いてなくても1項目を立てます。

タグ一覧を作る(P215)

タグは、索引を更新しているうちに増えたり、使わないものが出てくるものです。そんな時に備えて、索引ファイルの末尾に「現在使用中のタグ一覧」を作っておくのもいいでしょう。

表記のルールを決めておく(P218)

数字は半角に統一する、英語は使わずカタカナで書く、地名はJRの駅名に準拠する、とか。

携帯電話に索引データを入れて持ち歩く(P223)

「テキストデータの全文検索ができる携帯電話」なら、索引を見るために、いちいちパソコンを立ち上げる必要すらなくなるので家でも重宝する。

*1:もちろん、タグをつけて索引をテキストファイルに入力する手間は必要ですが

*2:実際は別にシートを作ってポケットに入れておきます