毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

変わる言葉、変わらない言葉☆

著者・本多勝一さんは元朝日新聞の記者で、著書多数。この本は文章術の本として有名で、私などはある意味「日本語の神様」のように思い込んでいた*1この本は日垣隆さんが勧めていたので図書館で借りてみた。


しかし、借りられたのは上の文庫版ではなく、昭和51年刊行の古い本。2005年に新装版が出ているので、読むならそちらの方がいいかもしれない。

とにかく活字が古くて読みにくい。さらに、著者自身のこだわりがあるのだろうが、英語ではなく「イギリス語」になっていたり、アメリカ合衆国が「アメリカ合州国」になっていたりする。内容は斬新で面白いところもあるのに、イデオロギー的な面が気になって読みづらかった。

それと、30年以上経っているから仕方ないのかもしれないが、著者が「これはおかしい」としているものが、今はおかしくない通常の表現になっているものもいくつかあった。


たとえば複数のものを列挙する場合。
A、B、CやD
という書き方は間違いで、
AやB、C、D
が正しいのだそうだ。上の書き方はイギリス語の表現で日本語にはないという。
確かに英語の書き方かもしれないが、今は上の方が一般的ではないだろうか。

たぶん、当時はこれでよかったものが、30数年経って読むと、日本語はすでに変わっていて、間違いだと書かれていることに違和感があるのだろう。言葉は生き物だからしょうがないのかな、と思った。


それでも、読点(文中では「テン」と表記)の打ち方や、修飾語の語順、助詞の使い方などなるほど、と思うところもあった。非常に分析的で論理的なのだ。プロフィールを見たら、薬学部出身だそうなので、やはり理系の人の考え方だと納得した。

ただ、日本語の“文法”は文法として成り立っていない、という持論や、漢字とかなの表記の統一はできない*2など驚くような話も出てくるので、役には立つけど疲れる本だな、というのが率直な感想だ。

もう少し読みやすい活字と編集なら☆は増えるかもしれないが、疲れて後半は斜め読みになってしまったので評価は☆ひとつ。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

修飾語の語順・3つの原則

  1. 句を先に、詞をあとに。
  2. 長い修飾語ほど先に、短いほどあとに。
  3. 大状況・重要内容ほど先に。

*1:辞書編纂の金田一先生とは別の意味です

*2:前後に来る言葉との関係でどちらにするか決める方がよい、という説です