毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

これであなたも本が書ける☆☆☆☆

 

 

今年読んだ本の中で文句なしにいち押しの本。
著者はいわゆるゴーストライター*1として150冊超の本を世に送り出した人だ。そんな実力派のライターが、文章を書く“斬新な方法”をわかりやすく教えてくれる。しかも、そのノウハウは本を出すためだけでなく、レポート、報告書などからスケジュールまでいろいろなことに使える。

 

ブリット*2とボックスというものを決め、それを使って「思考のビル」*3をつくるところが新しい。この方法を使って、アイデアを出したり、思考を整理したり、足りないものや重複しているものをあぶり出したり、テーマが伝わりやすい順序を決めたりする。初めて聞くとむずかしそうだが、著者が実際に書いた本のアイデアや、さまざまな実例が出ているので読み進めるうちに自分でもできそう、と思えてくる。


さらに、この本では「自分で本を書くためのノウハウ」も惜しみなく公開されている。本1冊にはどのくらいの文章量が必要なのか、それを仕上げるのにかかる時間や期間をどう決めればいいのか、とても具体的に書いてある。
その上、ライターとして求められるスキルと注意点、逆にライターを頼む人の注意点や、ご丁寧に1冊書いた時の収入まで。手取り足取り、本当に親切な本だと思う。書きたいテーマがある程度まとまっている人なら、この本の通り書けば原稿が完成するはずだ。
著者によれば、構成が細かいところまできっちり決まった段階で、作業は7割終わっているという。行き当たりばったりに書き始めても失敗する、という著者の経験を踏まえた言葉には説得力がある。それが、この本の通りにやれば7合目まで登れるのだ。こんなありがたい本があるだろうか。


「本を書く」ことにばかり焦点を当ててしまったが、出版を目指している人以外にも充分役に立つ本だ。思考の整理がA4の紙とペンでできてしまうのだ。このやり方が身につけば、仕事でも日常生活でも短時間で自分の考えをまとめ、結果が出せるようになる。個人的にはフィッシュボーン以来の素晴らしい本だと感じた。
残念なのはタイトルが固く、「文章術」に限定されてしまうことだ。もっと幅広く読んでもらえるタイトルならよかったのに、と思う。
絵や図があまり得意じゃない人にも使える方法なので、ピンときた人はぜひ読んでみてください。手元に置いておく方がいい本なので、私も買います。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

レポート・本を書く4段階(P3)

第1段階…企画を練り、取材、調査する
第2段階…集めた情報や自分の考えを整理し、構成する
第3段階…構成に基づいて執筆する
第4段階…構成を確認し、文章を推敲する

箇条書きの技術でできること(P4)

1)情報や考えの整理整頓ができる
2)自分の考えに気づく、新しいアイデアが湧く
3)情報や考えを構造的にとらえ、文章の設計図をつくれる

仮タイトルを決める時は(P18)

…このような具体的・説明的なタイトルにはコンセプトのずれを防ぐ効果がある。
あいまいなタイトル・ひねったタイトルをつけると、考えが広がりすぎたり、最初に意図したテーマからはずれてしまうことがある。

断片的な情報を構造的にとらえる頭になる(P21)

思考のビルをつくることを日頃から意識すると、情報や事象を構造的にとらえるクセが身につく。
情報や事象をいろいろな角度から見たり、違う枠組みでとらえ直すことができるようになる。

あらゆることに使える“ブリット出し”(P27)

文章を書く時以外にも、次に会う人への質問、企画の立案、会議の要点、本の感想、仕事の段取り、休暇のスケジューリングなど。

ブリットを見る時大切なのは「共通点は何か」「類似点は何か」という視点(P29)

ボックスの大きさは揃える(P30)

ブリットをボックスに収納する時、ボックスの大きさを意識することはとても大切。
「フランス人」<「ヨーロッパ人」のように、ひと回り大きなボックスがないかチェックする。

2パターンの頭の使い方(P40)

ひとつは、テーマ→ボックス→ブリットと考える「ひらいて」モード。
もうひとつが、ブリット→ボックス→テーマへと閉じて考える「むすんで」モード。
この時、今は「ひらいて」いるのか、「むすんで」いるのかを意識することが大切。

「むすんでモード」の時は、現実的、理論的に考える(P45)

打ち出したブリットを冷静に見つめて分類整理し、取捨選択する。
私は早朝にこの作業を行う。前日にブリット出しをして、翌朝それを見ると、どんなボックスを用意したらよいか、どのブリットをどのボックスに収納したらよいか、すでに頭の中で整理されていることもある。

ブリットを見ながら質問し、脳にゆさぶりをかける4つの基本質問(P49)

1)「たとえばどういうこと?」
2)「それってなんで?」
3)「前はどうだったの?」「これからどうなるの?」
4)「よそではどうなの?」

イデアが出ない=ネタ不足ではない(P61)

多くの人が、アイデアが出ない、会議が盛り上がらないのは、自分の中にブリット(ネタ)が不足しているためだと思っている。
しかし、ブリットは頭の中にあるので、適当なボックスさえ用意すれば、入るべきブリットが自動的に集まる。
ボックスがあると、いろいろなことが考えやすくなる。

空のボックスをつくる(P62)

ボックスがあるとブリットを入れたくなる。気になって埋めたくなる。そこで、「今は見えていない空きボックス」があると考え、先に「空きボックス」を設置してしまう。

黄金の3点ボックス(P64)

  • 気づき
  • 学び
  • 行動

「7−4=3」で減らせばまとめる力がつく(P76)

私がよく使うのは「7−4=3」だ。7つブリットを打ち出したら3つにする。言いたいことを3つにまとめ、4つは捨てる。
(中略)
「7−4=3」は練習すれば誰でもできるようになる。
練習方法としておすすめなのが、テレビ番組、映画、本などを見終わったら(読み終わったら)、「どういう話だったか」を考えて話のポイントを7つあげる。
その後、絞り込んで最終的には要点が3つになるようにする。

「つまりどういうこと?」と考える癖をつける(P81)

  • 考えているのは、つまりどういうこと?
  • 書きたいのは、つまりどういうこと?
  • 言いたいのは、つまりどういうこと?
  • やるべき仕事は、つまりどういうこと?
  • プロジェクトの目的は、つまりどういうこと?

このように、「つまりどういうこと?」と自問するクセを身につけると、ブリット、ボックス、テーマにずれがなくなる。どんなに話を広げても、総論と各論の展開を一致させることができる。

自分のまとめ方のクセを知る(P105)

ブリットをボックスに入れたり、ボックスをつくってブリットを集めたりしていると、自分がよく使うボックスがあることに気づく。
同じボックスを使うということは、思考のクセができているということなので、定期的に見直す必要がある。

ボックス収納は創造的な仕事(P107)

分類というと、既存のボックスにブリットを収納することのように思うかもしれない。
しかし、新しいボックスをつくってブリットを分類することで、新しい世界を構築できる。
実は、分類したり、関係性を見つけたりする仕事は、外界の事実とは関係なく、人間が頭の中で行っていることだ。

読み手の心を動かすにはハイライトを意識した構成が大切(P114)

日記や作文を書く時大切なのは、ダイジェストではなくハイライトであること。
ダイジェストとは「書物、映画、出来事などの内容を分かりやすく要約したもの」。ハイライトとは「書物、映画、出来事などで、もっとも興味を引く部分・場面」のこと。
相手の心を動かそうとするなら、ダイジェストからハイライトをピックアップしなければならない。
そこで打ち出したブリットの中からハイライトを選ぶ。その上で、ここを詳しく書く。

文章を構成するボックスは【つかみ】【なかみ】【むすび】(P117)

1)【つかみ】=トピック文
・一番言いたいことを1行で書く
・読者にとって最も魅力的なことを1行で書く
・内容の要約を1行で書く
2)【なかみ】=説明文
・内容の説明(背景となる知識、因果関係、具体例)
3)【むすび】=まとめの文
・一番言いたいことを1行で書く
・内容の要約を1行で書く

時系列では重要トピックスが埋もれてしまう(P152)

史書の記録方式に「編年体」と「紀伝体」がある。
編年体」は、起こった出来事を時系列に沿って記録していく方法(中国の『春秋左氏伝』、日本の『日本書紀』、『水鏡』など)。時間重視の記録方式。「全体の流れを把握しやすい」というメリットがある反面、「羅列になりやすい」「重要なトピックスがわかりにくい」というデメリットがある。
紀伝体」は、あるテーマごとに記録していく方法(中国の『史記』、日本の『大鏡』など)。人物重視、出来事重視の記録方式。「情報にまとまりがあって理解しやすい」というメリットがある反面、「同じ事柄が重複しやすい」というデメリットがある。

編年体」より「紀伝体」(P155)

編年体」に比べて「紀伝体」の方が読者に受けるのは、読む価値が伝わりやすいからだ。
この時気をつけなくてはいけないのが、「紀伝体」のデメリットである、「同じ事柄が重複しやすい」という点。
(中略)
紀伝体」ではいかにボックスを設定するか、いかにブリットを収納するかが重要。

文章を書く時には、読者への貢献の気持ちが必要(P155)

読者にとって理解しやすいかどうかがポイント(P160)

まず自分が伝えたいことは何かを明らかにし、次に効果的に伝えるために、相手は誰か、自分は相手にとってどういう人か、相手はどういう状態で自分の話を聞こうとしているか、を考える。

情報は1文にひとつ(P166)

文章を書いていると、複数の情報を1文の中に詰め込んでしまいがちだし、1文の中にいろいろ入っていると、なんだか「うまい文章」を書いたような気分になる。
しかし実際には、2つに分けた方が、意味が伝わりやすいことが多い。

なるべく肯定文で書く(P174)

否定文には、メッセージを強める働きがあるが、日本語の場合、文章を最後まで読まないと結論がわからない。
(中略)
特別な意味がないのなら、なるべく肯定文で書いた方が、読み手の判断スピードが速くなる分、伝わりやすくなる。

文章を書くことは社会貢献のひとつ(P180)

思想というと壮大なものと感じるが、日々の経験と知識を結晶させた智恵を文字として残すことは、周囲の人、構成の人に役に立つことだ。
(中略)
たとえば、今たずさわっている仕事について、
「こういうやり方をするとよい。こういう段取りでやるとよい」
「こういう心構えや準備が必要だ。具体的に自分はこうしていた」
「こういうケースに遭遇し、こう考えて、こう行動した。でも失敗した。後から考えると、こうすればよかったと思う」
などと書き残すことによって、人の役に立つことができる。
文章を書く目的が、社会貢献であるとは、そういうことだ。

本は遅効性のメディア(P181)

本はゆっくりと効く。即効性はないが、体の中に入り、じんわりと、そしてしっかりと効いてくるのだ。それゆえ「遅効性のメディア」なのだ。
(中略)
本を読むと、そこで得た知識や考え方が、時を経るうちに体内で自然と発酵し、心を育てていくのだと思う。

*1:この本の中では「ブックライター」となっていますが、著者として名前が出るのは別の人です

*2:これが「箇条書き」にあたります

*3:ブリットが弾丸の意味から来ているとあったので、「ビルって何?伝票?」と思いましたが、これは単純に建物のビルのようです