毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

非・効率的な知的生産の方法☆☆

大学の先生なのに派手な衣装に身を包み、学校の授業はDJのようなQ&Aスタイル、理系なのに読みやすい文章を書く型破りの著者。今回もおよそ“知的生産”らしくない知的生産と名前のついた本。好みがハッキリ分かれる本だと思う。私はパラパラと見た時、「女性向けの本に多いフォトエッセイみたい」と思った。

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しかし、この本はやはりなかなか奥が深かった。知的生産というと、ライフハックのような“ちょっとの工夫で即効果”と最近は思われがちだが、この本は言わば“鎌田浩毅の作り方”なのだ。『一生モノの勉強法』出版後、読者から「どうやったら鎌田先生のようになれますか?」という質問が多かったのがこの本を作るきっかけになったという。
鎌田先生が影響を受けたもの、心がけていること、などさまざまなものを写真入りで紹介してある。

知的生産の本に書いてあるとは普通思わない、ジャズの楽しみ方や骨董趣味、古典の読み方から手みやげの選び方までいろいろなものが出てくる。だが、読み進むうちに、こういうひとつひとつが著者の深み、厚みを作り出しているのだな、ということがわかってきてなかなか味わい深かった。

東京生まれの東京育ちである著者が、京都に移り住んで受けた影響もかなり大きいという。すべての人が京都に住むわけでも、住みたいと憧れているわけでもないのに、とは思ったが、移住した人の「京都論」は面白かった。いかに異文化にとけ込んでいくか、という意味では参考になる人も多いかもしれない。それに、正直言って関西に住みながらもうひとつ計りかねていた京都人の腹の中が、この本を読んで初めてわかった気がする。


京都論の他に私が役に立ったと感じたのは、行きつけの店の作り方と、食事の仕方についてだった。全然知的生産っぽくない、と言われそうだが、これだけ惜しみなく公開してくれているのだから、上手く行っている人のやり方を真似してみるのは効果的ないい方法だと思う。

ここまで書いてみても、やっぱり「知的生産の本」の感想には見えないが、人間としての味わいを出すためにはこの深さは魅力的だ。面白そう、と感じた方は是非、読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

棚上げ法(P15)

重要なことは、ある時間をかけて進まなければ、それ以上はその問題に拘泥しないことです。困難に直面した時の見切り発車が、棚上げ法のポイントでもあります。

原稿ははじめは少なめに書く(P17)

たとえば、1500字の文章を書かなければいけない時は、1〜2割少ない1300文字程度で書き上げてしまいます。これを直しながら、説明が足りない点を書き加えていくのです。

「needには応えるが、wantには応じない」(P20)

これは福祉関係の言葉ですが、「必要」には対応するが無体な「欲求」には応じず甘えさせない、という考え方です。

時間に翻弄されない(P24)

今の旬となる仕事をすることは、確かに大切です。しかし、そればかり追いかけていると、物事の本質が見えなくなります。仕事の依頼に応え、相手の賞賛を求めた仕事をするようにもなります。目の前の課題や数値目標に追われてくると、少し目先を変えただけの凡庸な成果が並んでくるのです。

ライフワークとも言える30年スケールの仕事が、日々のスケジュールの何%を占めているのかはとても大切です(P26)

イデアは思いついた瞬間に固定する(P43)

自分が思いついたアイデアはその時に固定しなければ蒸発してゆきます。
(中略)
こうした知的作業を、間髪を容れずにやってしまわないと、せっかくひらめいたアイデアも活用されずに終わってしまいます。

自分だけの風景を見て歩く(P130)

一流観光地も有名グルメも、多くの人はテレビやネットで疑似体験を終えています。情報過多のこの時代、あえて流通していない経験をすることに旅の意味があるように思います。
バーチャル・リアリティは、リアリティには絶対にかなわないのです。

時間術はカスタマイズして作る(P138)

優れた時間術というのは、いつも試行錯誤の繰り返しから編み出されてくるものです。最終的に自分に一番合ったものへカスタマイズしてゆくとよいのです。

災害時に身を守るサバイバル・グッズ(P115)

1)ペットボトルの水500ml
2)ドライフルーツ、または飴やチョコレート、ようかん3)小型の懐中電灯(ペンライト)と予備の電池
これだけあれば、地震などの災害に遭遇しても数日は持ちこたえられる。