毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

実は知将?プロ野球・岡田彰布監督の考え方☆☆☆

岡田彰布氏といえば1985年の阪神の優勝メンバーだ。長く阪神タイガースでクリーンナップを打っていたが、実は現役を引退した時はオリックス在籍だった。その後オリックスの2軍監督を皮切りに指導者として活躍している。

あまり意識していなければわからないかもしれないが、実は「岡田監督」は強いチームを作れる、いい監督なのだ。私は常々そう思っていたので、いったいどんな考え方なのか興味があって読んでみた。


読んで驚いた。こう言っては失礼だが、“見るからに聡明そう”なタイプではない。だから相手が油断するのかもしれないが、その采配や人心掌握術は本当に素晴らしい。なるほど、これなら選手がついていくはずだ、と思う。冗談抜きで、次のWBCが「岡田ジャパン」になってもいいんじゃないかとさえ思った(実際はそうならないでしょうが)。


その大きな特長は、「観察眼」だ。とにかく選手をよく見ている。選手に教えるのはコーチの仕事、と割り切ってほとんど直接選手に指導することはないそうだが、どこが悪くてこうなっているのかを実に的確につかんでいる。
また、自分からいろいろしゃべらずに、相手の話を聞くことで本心をつかむそうだ。これなど、カウンセラーの手法だろう。それを中学時代から何となくわかっていた、というからすごい。


さらに、選手に対してとても細やかに接していること。選手に直接教えないのは「誰かを指導して、誰かをしなかったら不公平だから」という意味もあるという。監督にそのつもりがなくても、選手はそう受け取ってしまいやすいからだ。
だから、岡田監督はマスコミを使う。特にほめる時は新聞記者に話して書いてもらうそうだ。逆に、恥をかかせてはいけないので、何か注意する時はマスコミのいないところだったり、コーチを通して伝えてもらうという。これなど、「理想の上司」そのものだろう。


という風に、驚きの監督術が続々と出てくる。もちろん、現役時代やタイガースの監督時代の話も出てくるので、プロ野球ファンは楽しめるが、野球ファン以外にも仕事に役立つヒントがある。間違いなく、今年のベスト10の1冊に入ると思う。

私はセリーグパリーグも見ているのでスルスルと読めたが、もしまったく野球を見ない人にとってはどうだろうか。そこが少しわからないが、特に野球ファンじゃなくても、ルールはわかる程度の人でも読めば何かヒントは得られると思う。
「俯瞰する」(=「抽象度を上げる」)素晴らしさがわかる本。ぜひ読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

事態が悪い時ほど走り出してもダメだ(P49)

悪い時ほど、自然の流れに身をゆだね、その事実をしっかりと受け止めてから動き出した方がよい。
(中略)
…振り返ってみれば、その状況を打開するための最善の策というのは、「動かずにひとつ勝つこと」なのだ。そのひとつの勝ちが、すべての流れを大きく変える唯一無二の処方箋だった。

他人の考えを推察する(P91)

他人の気持ちを知る術のひとつに「こちらはしゃべらずに相手にしゃべらせる」という方法がある。
よくしゃべる人間は、必要以上に不安を抱えているか、もしくは、自分に自信がないからそれを隠そうとしてるかのどちらかだ。
(中略)
こちらが黙っていれば沈黙を恐れ、相手はしゃべり出すのだ。そうすれば相手の考えを自然と読み取ることができる。

あわよくばと期待を抱いてはいけない(P110)

…「あわよくば」という色気を出してはいけないということ。選手もそうだが、特に、監督にこの邪心があると、チームの流れがたちまちおかしくなってしまう。

「少しだけ」の差が大きな差になる(P145)

この「少しだけ」という意識を常に持ち続けることができるか。それが大事なのだ。
これはどんな仕事をしている人にも当てはまるのではないか。他人より少しだけ労をいとわずに取り組む。積もり積もればこの「少しだけ」の差が、のちのち大きな差となって現れてくる。