毎日「ゴキゲン♪」の法則

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“コピーライティング”を学んで文章力を磨く☆☆☆☆

最近広告関係の本を熱心に読んでいる家族が借りてきた本。何気なくめくってみたら予想外に面白く、使えそうだったので一気に読んでしまった。


著者はコピーライター歴23年。その経験の集大成を惜しみなく書いたのがこの本だ。1500円で51個、ひとつ30円と考えれば安いもの、と著者が前書きに書いているがまさしくその通り、と言いたくなる。
私たちがふつう「コピー」と聞いて思い浮かべるのは実はキャッチコピーと呼ばれる部分だ。コピーには他にも「リードコピー」「ボディコピー」があり、それらをまとめて書けるよう(=コピーライティング)教えてくれる。


コピーなんて必要ないよ、という人は多いと思うが、このノウハウ、実は“コピー”以外にも使える。というのもタイトルの通り、この本は文章の書き方を教えてくれる本なのだ。

伝えるとは相手を説得して行動させること、と最近読んだ本に共通して書いてあったが、コピーはまさしく読み手に“伝える”ための文章。その技術はいくらでも応用がきく。


たとえば、先ほどのキャッチ→リード→ボディの流れは、ブログの記事タイトル→「続きを読む」までの導入部→本文に置き換えられる。
さらにコピーには文字数の問題があるため、短くする必要がある。短くしてもインパクトを与えたり、正しく情報を伝えるコツがあるそうだ。これなどそのままツイッターに使えるではないか。他にも、簡潔にまとめたい時に役に立つ。


コピーライターの中にはキャッチコピーは書けてもボディが苦手な人が多いらしく、著者はボディコピーだけ頼まれたこともあるそうだが、それも納得。

コピーライターの書いた本は、言葉の使い方が独特なためか何となく鼻につく印象があるのだが、この本はまったくそれがない。しかも「短い文でわかりやすく」「ひとつのセンテンスにひとつの意味」という基本に忠実なので、読みやすい上に小気味いい。この本そのものが「いい文章」の見本だと思う。
著者が“類書はない”と書いていたのが本当なら、これは「わかりやすい文章を書きたい」人必読の本だ。


ただ、誤字やミスが多いのが残念。誰でも知っている本のタイトルが間違っていたり、思わずつっこみたくなるような間違いも。著者だけの問題ではないのかもしれないが、誤字脱字に注意、と書いてある本なので校正はしっかりしてほしかった。

それをのぞけば素晴らしい本だと思う。私は図書館で借りたが、手元に置いておきたくなった。

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

コピーの基本パターン(P44)

・「メリットを伝える」パート
→商品を手に入れるともたらされる、うれしい体験を伝える
・「メリットを実現する働きや機能を説明する」パート
→メリットをもたらす商品の特徴を解説する
・「特徴を証明する」パート
→特徴の品質を証明したり、優秀な点を強調する

説得のシナリオの基本パターン(P50)

1.メリットを言う
2.メリットを実現する特徴(働きや機能)を説明する
3.特徴の品質を証明する
4.メリットを念押しする

「あなたはこうなる」の視点で整理(P60)

メリットは、ユーザーが得することを伝えます。書き手からみると、「あなた(ユーザー)は、こんな得をします」になりますね。そこで、「あなたはこうなる」の視点で文章を整理します。

メリットのイメージを鮮明にする(P78)

私たちが手に入れたいのは商品ではなく、メリットです。商品は手段、メリットこそが目的です。メリットがイメージできないコピーは、読み手の時間をムダにします。

推敲のポイント(P85)

●内容について
・説得あるシナリオになっているか(無理な流れになっていないか)
・訴求ポイントがはっきりしているか
・「誰に」「何を」伝えるかがブレていないか
・要点はわかりやすいか(よけいな情報を入れていないか)
・メリットは強調されているか
・一瞬で心をつかむ第一センテンスになっているか
●表現について
・表記ミスはないか(表記ルールに合っているか)
・誤字・脱字はないか
・単調な感じになっていないか(同じ語尾や同じ長さのセンテンスが続いていないか)
・ムダな言葉がないか(なくても意味が通じる接続詞、「これ・あれ」などの代名詞)
・見慣れないむずかしい言葉や漢字を使っていないか
・差別や偏見を思わせる表現になっていないか

「ハッピー先出し型」に向いている商品(P94)

商品や機能がよく知られていない、新しいタイプであるなど、ユーザーがイメージしにくい場合も、はじめにハッピーを出す方が読んでくれるでしょう。

<だから>の関係は忘れない(P97)

特徴だけで説明できるなら、メリットは強調しなくていいの?
いいえ、特徴とメリットは結びつけてください。特徴とメリットを<だから>で結んでも納得できる論旨にします。
例)新モデルは、1テラバイトの大容量。(だから、)ハイビジョン画質で○○○時間も録画ができます。

主目的は見込み客を選ぶ(P139)

ポイントは<○○○で悩んでいる見込み客>(※文中の例に添った内容が書いてありますが、ここでは略しています)をキャッチコピーで選び出すことです。そしてボディコピーで納得させて行動させる。この一連の流れに矛盾があったり、意味が不明だといくらキャッチコピーが強くても、ボディコピーに説得力があっても効果は期待できません。

ユーザーのタイプによってアプローチを変える(P143)

・問題が顕在化しているユーザーには、悩みと解決策を示す表現が有効
・商品の必要性を感じていない、問題が潜在的なユーザーには、役に立つ情報(事実や警告)を伝えるのが有効

「リードコピー」の役目(P147)

・その1…情報をチラッと出して期待を高めてボディコピーをを読ませること
・その2…情報量の多い内容を要約して読み手に伝えること。読み手の手間や時間を節約すること

コピーを短く編集するコツ(P151)

・一番の訴求点(広告のコピーではメリット)を決め、それを軸にして編集する
・読み手の視点(知りたいこと)で、内容の優先順位(情報の取捨選択)を決める(<メリット><機能>など各パートのセンテンスはそれぞれひとつにまとめる)
・同じような内容は強い方を残すか、ひとつにまとめる
・ひとつのセンテンスは20〜30字くらいにまとめる
・わかりやすく強い言葉に置き換えて言葉を節約する
・ムダな形容詞や接続詞は削る、語尾は体言止めなどを使うなど短くする