毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

ハードルを自分に合わせて下げてみる☆☆☆

著者・青野慶久さん*1グループウェアを作っている、サイボウズという元・ベンチャー企業*2の社長さんだ。この本も例によって小飼弾氏の『新書がベスト』で紹介されていたもの。
私はたくさんの部下がいるわけじゃなく、理系でもない。読んで役に立つのかな、と半信半疑だったが、度肝を抜かれるような内容だった。全然社長らしくない、等身大の経験が書かれていた。


「はじめに」でまず紹介されているエピソードがワタミ社長・渡邉美樹さんの「手帳術」に挫折した話。さらに、新卒で就職した大企業に溶け込めず、起業した話が続く。この人は“生まれながらの特別な人”ではなく、ごく普通の人だ、ということがわかり、身近に感じられる。そんなごく普通の人が、できるようになるにはどうしたらいいのか?を教えてくれるのがこの本だ。

その仕事術のひとつひとつを見てみると、たいして効果は大きくないかもしれないけれど、誰もがちょっとデキる人になれるもの。それをこの本では「ちょいデキ」と名付けました。(P11)

渡邉社長の手帳術は身につけたいけど手の届かない言わば“北斗神拳”のようなもの。対して、ご自分のやっている方法は誰でもいつでも簡単に取り組める“太極拳”、と著者は書いている。

バリバリの優秀な人がやっている方法を本などで読んでも、なかなか自分にはできずに落ち込んだりするが、この本はそれがない。できないんだったらどうすればできるようになるのか、を考え、自分に合う方法に変えたり、ハードルを下げたりする著者の方法には学ぶところが多い。


個人的には小さなライフハックのようなもの以上に、ものごとをとらえる視点や心構え的なことが心に残ったが、読めば誰でも取り入れたくなることがいくつか出てくると思う。英語の勉強の仕方から風邪の対処法、おすすめ本の紹介まで興味を引く話がぎっしり。Q&A形式でひとつのテーマが短いので、必要なところから読むこともできる。


ただ、まったく偉ぶらない著者だが、やはりそこは代表取締役社長をつとめている人のこと、胆力はケタが違う。視点の高さも印象的だ。読みやすい文章の本だが、社長の心意気のようなものも感じられて1冊で2度おいしい。
残念ながらアマゾンではすでにマーケットプレイスのみの扱いですが、ぜひ読んでみてください。
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

5分後の自分をイメージする(P48)

仕事で失敗してへこんだら、とりあえず5分後の自分を想像してみる。つまり、つまずいている状態から自分を取り戻すのに5分間の猶予をあげる。5分後に、コーヒーを飲んでくつろいでいる自分をイメージします。すると、コーヒーを飲めば、とりあえず目標達成です。誰でもできます。この時、へこんだ状態から、かなり回復できているはず。実際、これはかなりワークするのです。

事実をニュートラルに受け止める(P52)

組織で仕事をしていると、さまざまな人間関係にもみくちゃにされる中で、つい、いろいろと思いめぐらしてしまいがちです。でも、ポジティブにも、ネガティブにもならなくていい。ただ事実をニュートラルに受け止めれば、落ち着いていられるのです。

ただ五感を働かせる(P53)

「事実」とは、五感で把握できるレベルの情報です。見たこと、聞いたこと。それだけに集中するコツを身につけると、ストレスが大きい局面を乗り切る手助けになるはずです。

制約条件が多いからといって(P62)

落ち込まなくていい。あせらなくていい。そういう時こそ、裏技を発明するチャンスなのです。

モチベーションは自分で作り出せる(P63)

夢を作るのです。その時は親しい人と、未来について語り合ってみてください。理想の自分について、理想の会社について、理想の社会について。
(中略)
モチベーションは夢であり、未来に存在するものだからです。

モチベーションは誰の中にもたっぷりと満ちている(P65)

モチベーションが満タンの状態で壷に入っているとイメージしましょう。せっかく壷に満ちているのに、壷の上にふたがかぶさっている。おかげで、中のモチベーションを見失っている。それがモチベーションが下がっている状態です。本当はたくさんの夢を持っているのに、それに気づいていないのです。

松下幸之助さんのことば(P69)

「礼儀正しく、誠実に、相手を尊重するのであれば、言いたいことは言うべきだ」
おぉ、すごい。言いたいことは言うべきなのです。あとは言い方の問題です。

目標が高いから失敗する(P78)

言い換えれば、困難にチャレンジしているからこそ失敗する。夢が大きいからこそ失敗する。だから「失敗」でがっかりする必要などないのです。
(中略)
失敗とは、結果が目標に届かなかっただけのこと。ただそれだけのことです。失敗した過去を平然と振り返り、楽しい未来のことを考えましょう。

反省とは、よりよい未来を作り出す活動である(P79)

そう考えると、反省することが楽しく聞こえませんか。私自身も、このことに気づいたのは最近です。それ以来、失敗を振り返ることが苦痛でなくなってきました。強靱な精神力がなくても、辛い過去に向き合うことはできるのです。

悪口に遭遇したら(P124)

私は、その手の悪口を読んだ時は、心の中で「ありがとうございます。参考にさせていただきます」と語り、次の仕事に取りかかるようにしています。それ以上は考えないようにします。

「任せる」は「勝手にやってもらう」のとは違う(P128)

このようにやってほしい。ただ、自分ではできない。だから、あなたにお願いする。あなたは私よりうまくやってくれるだろう。そこに私は期待している。もし、私が考えているよりもうまいやり方があるのなら、ぜひ提案してほしい。ふたりでよりよい成果を出していこう。これが「任せる」ということだと思うようになりました。

座右の銘は「熱意」「誠実」「素直」(P158)

…私なりにこの3つの言葉を解釈しようと努めてきました。
「熱意」をほかの言葉に置き換えると、情熱、夢、希望、強くこうありたいと願うこと。
「誠実」は、正直、公明正大、後ろめたさがない。相手を尊重すること。
「素直」は、謙虚さ、とらわれない心、私心に左右されない、当たり前のことを当たり前にやること。

*1:ブログはこちらです。最近はお仕事関係のことだけになっているようですが…

*2:現在は東証1部上場の立派な会社です