毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

日本人の弱点を変えられる?☆☆☆

これさえあれば、世の中をしっかり渡っていけるという3つの力を説明する本。
残念ながら読もうと思ったきっかけは不明だが、著者の『ハカる考動学』がビジネスブックマラソンで紹介されており、その本を図書館で調べていた時に見つけたのかもしれない。
ありそうでなかった、画期的な本だった。

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すべての基本はこの3つ。

  • 重要性や戦略を重視して決める「重要思考」
  • 構造化して説明し、正しく質問して正しく答える「Q&A力」
  • 実行するための手段を正しく選択する「喜捨法」



著者は人を教える仕事に携わるうち、いくら高学歴でも基本的なこの力を持たない人が多いことに気づく。著者自身はフランスに留学した経験などもあり、グローバルな視点を持っていたからこそ感じたことなのかもしれない。その後、「必要なのはこの3点」という考えにたどり着く。
現在大学院などでも教えている著者は、この3つを徹底的に鍛えることによって人が格段に成長することを実感しているそうだ。


もちろん、本の中でどうやって3つを身につけるかを教えてくれる。とはいえ、付け焼き刃で身につくはずはなく、地道な努力が必要だろう。
ただ、こういう力がベースにあると強いんだな、ということを知るだけでも役に立つと思う。

最後の章は育て方なので、お子さんのある方にはいいかもしれない。
実際に著者のお子さんにトレードオフ体験をさせる話は面白かった。予算を決め、旅行やイベントの予定を立てさせるのだそうだ。どこに行く、何をする、どんなものを食べる、すべて計画や準備まで子どもにさせるのだ。さぞ決断力のある人に育つだろうと思う。


目のつけどころ』と少し似ている点もあるが、私にはこちらの本の方が役に立ちそうだ。こういう切り口で、自分の力を考えたことがなかったので。
“いかにも頭のいい人が書いた本”というところが少しあるが、とっつきにくい本ではない。自分の壁を破りたい方はぜひ読んでみてください。


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

「大事なことから考える」コツ(P39)

・何かを考える時は必ず「それって大事だったっけな」と自分に突っ込む
・人に話す時は「そもそも○○が大事で、だから○○でこんな差をつけた」と必ず「大事であること」を最初に言う

何が大事かを決める時には「はかる」(P62)

「はかる」とは、升や定規や秤で量を定めること。すなわち定量化することだ。かつ、秤は客観的なものでなくてはいけない。秤が主観的なものでは、重いかどうか大事かどうかを誰とも比べられないし、量るたびに変わることにもなる。
これは仕事でも、日常生活でも同じ。ただ考えていても、大事なことは決まらない。大事かどうかは、数字で示せるようにはかること。

選択と集中とは(P64)

ただ選択しなさい、集中しなさい、と言っているのではない。今の世の中、資源を集中しないと勝てませんよ、集中のためには選択すること、そしてそれ以外のモノを捨てることがまず必要ですよと言っているのだ。

戦うレベルの違い(P65)

・戦略:うまく戦場を選び、資源(兵や食料や武器)の準備をすること
・作戦:所与の戦場・資源の中で最適の戦い方を選ぶこと
・戦術:個々の戦いで目的(撤退や陽動も含む)を達するための動き方を考えること

コスト分析で最初にやること(P88)

最初にやる分析は、積み重ね式の棒グラフを作ること。もちろん、重いもの順に、下から上に積み重ねる。
こんな単純なグラフの、どこに付加価値があるのだろうか。それは、直感的かつ定量的に大事なコトがわかる点だ。
「一番重いコストは原材料費、次に重い設備コストの4倍かかっている」

構造化する(P112)

基本的には、階層と親子関係さえハッキリしていればいい。
・階層=大事なコトからの、どの段階に当たるのか
・親子関係=何と何が、どうつながっているのか

キーワードは「逃げない」(P124)

・聞くことから逃げない、ちゃんとまじめに聞く
・大事なコトから逃げない、ちゃんと大事なコトから問う
・問われたことから逃げない、ちゃんと正面から答える

やらないことを決める(P170)

実行が不充分な原因は、たいていが投入資源(ヒト・モノ・カネ)の不足だ。なぜ、そうなるかといえば、その投入すべき資源を調達、再配分できないからだ。ヒトにせよ何にせよ、新しいことに投入しようと思えば、別のどこかの仕事やプロジェクトを止めなくてはいけない。
つまりは、既存のものを捨てることなのだが、それができないから、資源の再配分、ひいては実行に失敗する。

成果が上がらないもっと大きな原因(P177)

それは、他の活動を「捨てられない」こと。既存権益の壁を、超えられないこと。

実行力をつけるには、(P214)

取捨選択(トレードオフ)ができるようになること。
でもヒトはなかなか捨てられない。あれもこれもやりたいし、捨てることが不安でコワイ。それでも、捨てなきゃ前には進めない。だから、それを楽しく(もしくは気合いや強制力で)やれること。そういった訓練を積むこと、積ませてあげること。