毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

イノベーション=“何かをやめること”☆☆☆

ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知
ビジネスブックマラソンで紹介されていたので読んでみた。ひとつひとつテーマに沿ってコンパクトにまとめられていて、初心者でも非常に読みやすい本だった。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


それもそのはず、著者・上田惇生さんは長年ドラッカーの翻訳を担当し、ドラッカー自身とも親交が深くドラッカーに「日本の分身」と呼ばれていた人なのだ。

この本は雑誌のコラムをまとめたものなので、ひとつひとつがさらっと読める長さ。さらにテーマが章ごとに分けられているので、今自分が直面している問題に対する答をすぐ読むことができる。
私自身も何冊かドラッカーの著作は読んでみたが、哲学書のようでなかなか読みこなすのがむずかしいと感じていた。だが、これならわかりやすい。

そして、この本は引用部分をのぞいてドラッカー自身の言葉ではなく、ドラッカーを知りつくした日本人の書く文章なので、翻訳ではない分非常にストレスが少ない。それも読みやすさにつながっていると思う。
さらに、巻末には引用した出典一覧があるので、気になる言葉が載っていた原典がすぐわかるのも親切だ。


ドラッカーと言えば「イノベーション」がひとつの代表的な概念だが、私はこの本を読んではじめてイノベーションがわかったような気がする。

手っ取り早く、しかもおそらく最も効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである*1

ドラッカー、読んでみたいが何から読めばわからないという人や、読んでみたが歯が立たない、という人にぜひ読んでもらいたい本。おすすめです。

私のアクション:何かを始める時は、まず何をやめるか考える

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

知識社会に必要な教養ある者とは(P12)

最先端の専門知識とともにマネジメント能力を持ち、かつ宗教、哲学、芸術を理解する者である。

成果を上げる人に必要な5つの能力(P32)

1.時間を管理すること、つまり、何に時間をとられているかを知り、残されたわずかな時間を体系的に使うことである。
2.世の中への貢献に焦点を合わせること…すなわち、成果に勢力を向けることである。
3.自らの強みに基準を据えることである。
4.力を集中することである。優先順位を決め、それを守ることである。
5.成果をもたらすよう意志決定を行うことである。

自らの所を知り、機会をつかむ(P34)

「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。自らの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむ用意をした者だけが手にできる」

得意な仕事の仕方を向上させる(P41)

「今さら自らを変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。自らの得意とする仕事の仕方を向上させていかなければならない」

「成果を上げる能力」を習得する3つの習慣(P44)

1.貢献を考えることである。
2.集中することである。…集中するには優先順位を決めなければならない。
3.目標を高くすることである。世のため人のためという目線の高さがなければ飛躍は無理である。必ず欲という落とし穴に落ち込む。

優先順位を決めるための4つの原則(P47)

1.過去ではなく未来を選ぶ。
2.問題ではなく機会に焦点を合わせる。
3.横並びでなく独自性を持つ。
4.無難なものではなく変革をもたらすものに焦点を合わせる。

何が目的か、なぜ行うかを自問せよ(P53)

「手っ取り早く、しかもおそらく最も効果的に知的労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことである。特に、行う必要のない仕事をやめることである」

ドラッカーの教える時間の使い方(P59)

「成果を上げる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。まず何に時間が取られているかを知ることからスタートする。次に時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして、得られた自由な時間を大きくまとめる」

起きたことのある問題で同じ混乱を3たび起こしてはならない(P61)

混乱に対処できるようになることは進歩とは言えない。対処以前の問題として、予防するか、日常の仕事にルーティン化してしまわなければならない。

最も重要な5つの質問(P80)

1.われわれのミッションは何か
2.われわれの顧客は誰か
3.顧客にとっての価値は何か
4.われわれにとっての成果は何か
5.われわれの計画は何か

重要な情報を握っているのはノンカスタマー(非顧客)(P86)

ドラッカーは、顧客であっておかしくないにもかかわらず、顧客になっていない人たちを「ノンカスタマー」と呼ぶ。
(中略)
たとえばデパートは、女性の社会進出の急速な進行を見過ごした。昼働く女性たちは、デパートで買い物ができなかった。当然デパートは彼女たちについての情報を持たなかった。
ところが1980年代も終わり近く、このノンカスタマーが流行や買い物の形態を左右する存在になった。だが手遅れだった。こうしてデパートは、ますます数の少なくなる自らの顧客についてのみ、ますます多くの情報を手にすることとなった。
「あらゆる組織にとって、最も重要な情報は、顧客ではなくノンカスタマーについてのものである。変化が起こるのはノンカスタマーの世界においてである」

イノベーションに成功するために避けるべき3つのタブー(P98)

1.凝りすぎてはならない。凝りすぎは失敗のもとである。
2.多角化してはならない。
3.明日のためにイノベーションを行ってはならない。イノベーションはすべて、今日のために行わなければならない。

イノベーションの機会7(P108)

・予期せぬこと
・ギャップ
・ニーズ
・産業構造
・人口構造
・認識の変化
・発明発見
イノベーションに成功する者は左脳と右脳の双方を使う。いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知る。数字を見る。それとともに人を見る。彼らの期待、価値、ニーズを、知覚をもって知る」

生産的でないものを組織的に廃棄する仕組みを持つ(P111)

イノベーションに優れた企業は、このプロジェクトを次に見直すべき段階はどこか、その時までにいかなる成果を期待すべきか、そしてそれはいつかを問う。彼らは、ほぼ3年ごとにすべての製品、工程、技術、サービス、市場を裁判にかける。

予期せぬ成功を見逃さない(P113)

開発者にはビジョンがある。夢もある。そして無事、新製品、新サービスを世に出す。当然買いに来てくれる人をイメージして送り出す。そこへ想定外の客が現れる。腹が立つ。
だがドラッカーは、変な客が来たらそれが本命の客だという。ドラッカーの調べたところでは、もっとも成功率の高いイノベーションの機会が、この予期せぬ成功だった。

変化を当然のこととせよ(P133)

ひとつだけ起業家精神に向かない気質がある。確実性を旨とする気質である。それはそれで立派な気質だが、起業家には向かない。しかし、意志決定を行うことができるならば、学習を通して行動することができるようになる。起業家精神とは行動であり、同時に姿勢だからである。
(中略)
イノベーションは、変化を利用することによって成功するのであって、変化を起こそうとすることによって成功するのではない。ということは、変化は当然のこととして受け止めなければならないということである。

新たな仕事をひとつ手がけるごとに、すでに行っていることをひとつ捨てる(P139)

不況期にこそ生産性を上げる(P141)

不況のために成長はできない。しかし、量的な成長はできなくても、質的な向上はできるはずである。成長ができないのであれば事業の内容をよくする。

リーダーシップは仕事である(P144)

リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。

受け手の期待を知る(P153)

「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要性を知る」

正しい答ではなく、正しい問いを(P157)

「戦略的な意志決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうであっても、はじめから答を得ようとしてはならない。需要なことは、正しい答を見つけることではない。正しい問いを見つけることである」

強みでないことはいっそ他社に(P179)

…それは、顧客に対してはベストのチームで臨めということだった。すでに当時、ドラッカーは、コラボレーションを教えていたのだった。

*1:すみません、ページ数をメモし忘れました