家族が借りてきた本。マラソンをそこそこのタイムで走っている家族よりも、私の方がハマってしまった。
こういう面白い本があることを初めて知った。
著者のたかぎなおこさんはアラフォーのイラストレーターで、こういう本*1をたくさん出されている人気作家だ。
でも、今までの本とはちょっと毛色が違うらしい(もともとはインドア派ライフスタイルのようなので)。
この本はマラソンを始めて2年目、について書かれている。残念ながら最初の『マラソン1年生』は予約の関係でまだ読めていないのだが、この本では初マラソン(ホノルルマラソン)を無事完走したあとから話が始まる。
しかしまあ、ゆるい。こんなにゆるくていいのか、ゆるいランニングの話をこうやって出版していいのか、と衝撃を受けた。
地方大会にいろいろ進出しているたかぎさん。巨峰の畑を走るハーフレースに出場、2回目で慣れているはずなのに手持ちのお金がわずかになって冷や汗をかきながら帰ってきたり、用事とセットで走る「おつかいラン」なるものを始めたり、ヨロンマラソンに出場するため早めに現地入りしたのに思わず海で泳いでしまったり、とにかく抱腹絶倒なのだ。
脇を堅める個性派の人たちがまたすごい。コツコツ練習し、着々とタイムを縮めるストイックさと手芸好きの絶妙バランスがいい友人ののりこさん。さらに、出版元・メディアファクトリーの社員の加藤さんがいい味を出している。マイペースだし、いつも何かしら食べているし。
しかもあの金哲彦さんが出てきて初心者へのQ&Aに答えてくれる豪華さ。
なぜか女性誌「FRaU」編集部に挑戦状をたたきつけて(?)駅伝に出たり、いろんな人を巻き込んでいくところもすごい。ヨロンマラソンでも、行く先々でたくさんの人と楽しく飲んだり食べたりして、すごく楽しそうなのだ*2。
マラソンとは「歯を食いしばって練習し、自分との戦いで少しでもタイムを縮めるスポーツ」のイメージがあるが、実は違うんだ、と気づかせてくれた。
金さんもQ&Aで書かれている。
Q:タイムを上げることがマラソンを続ける目標じゃなくてもいいですか?
A:もちろんです!タイムを上げていくことはマラソンの喜びのひとつであって、唯一の目標ではありません。奥の深いマラソンというものに取り組むことで、人生を豊かにしていくことが目標なのだと思います(P44)。
ストイックじゃなければ、マラソンなんてできないと思っていたが、こういう楽しみ方もあるのだ、と何だか気が楽になった。
爆笑できて、力が抜けて、ちょっと走ろうかな、と思える本。
走ってみたけど続かない人、走ってみたいけど勇気が出ない人はぜひ読んでみてください。
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