毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

国語力を上げる授業の秘密☆☆☆

※『奇跡の教室』の記事がまだUPできていません。でき次第リンクを貼りますので、しばらくお待ちください。

先に読んだ、『奇跡の教室 エチ先生と「銀の匙」の子どもたち』出版のきっかけになった本。こちらは、卒業生のひとりが単独で書いたもので、違う視点から見るのも面白そうだと思い、読んでみた。

著者の黒岩祐治さんは、灘校から早稲田大学を経て、フジテレビでキャスターを務められた方。このブログを書く時に調べて知ったが、現職の神奈川県知事だそうだ。

奇跡の教室』が多数の卒業生や橋本先生ご自身にも取材したルポルタージュ(著者は灘の卒業生ではない)であるのに対して、この本はあくまで著者の体験を軸に書かれたものだ。なので、ちょっと切り口が違う。一番の違いは温度差だろうか。

著者は一浪して灘中入学という珍しい経緯を持つ上、父の仕事の都合で東京に転校するかどうかで悩み抜いた人だ。結局、灘に残ることにして6年間のほぼすべてを寄宿舎で過ごしたそうだが、転校するか否かの決め手になったのが橋本先生だったそうだ。
そんなエピソードがふんだんに紹介されている。もちろん著者は、『奇跡の教室』にも登場し、同じエピソードが出てくる。

奇跡の教室』の内容を裏付け、さらに厚みを増してくれる本だと思う。『銀の匙研究ノート』を一部再現したページもあり、橋本先生の授業の一端も体験できる。
また、この本の方が、橋本先生の人間的魅力をより見せてくれているように感じた。先生が趣味人であることや凝り性であることは、タカラヅカへの傾倒ぶりでうかがい知ることができる。
だからこそ、あれだけの資料を作り、あれだけの授業ができたのだ。


もともと私は『銀の匙』を教科書にして、3年間読み続ける授業がどんなものか興味を持ったから両方の本を読んだのだが、最終章の「私の教育改革論」がはじめの興味から外れているのにとても興味深く読めた。
文部省(当時)の指導要領などどこ吹く風、自分の信念で授業を貫いた橋本先生の考え方は、実は自由を尊重するアメリカ生まれの「サドベリー・スクール」に似ている、としている。キーワードはインディペンデント(自立性)。

橋本先生の国語の授業を受けた卒業生は、みな自分で考え、自分で行動できる自立性を持っていた。学校の授業で、自立性は養える。
昨日の齋藤孝先生の講演ともリンクするが、国語の力が理解力、考える力、発言やコミニュケーション能力を支えるのだろう。

現在の教育の荒廃をどう変えていくのか、ひとつのヒントになると思う。教育に携わる人には、ぜひ読んでみてほしい本。

私のアクション:自分のやったことを記録して残す。形にする