著者は大学、実業団で短距離をやっていた選手で、引退後スポーツケアトレーナーをされている。
仕事がら体の使い方や動きの研究を重ね、鳥取にある有名なジム「ワールドウィング」で小山裕史氏の指導に衝撃を受けたという。その後、野口整体などからヒントを得て「骨ストレッチ」を開発、指導に当たっている。
著者は選手時代、筋肉を熱心に鍛えたが故障がちで結果が出せなかったという。その悔しさから研究を続けた結果編み出した「骨ストレッチ」は、常識を覆す衝撃的なメソッドだ。
著者によれば最近はやりの「体幹を鍛える」も、体の一部の筋肉だけを鍛えるとバランスが崩れ、故障につながるという。筋肉は鍛えるよりも、柔軟性を高める方が重要なのだそうだ。
しかも、“日常生活で正しく無駄なく体を動かせることが、ランニングのパフォーマンス向上に繋がる”そうで、ふだんから体を正しく使い、ゆがみのない柔軟な体を作る方法も簡単だが紹介されている。
この本は走るための本なので走り方がメインだが、そこに至るまでの正しい立ち方や歩き方も紹介されているので、ランニングが目的ではない人にも役に立つと思う。
負担なく体の機能を高められ、高齢者にも簡単に取り組めることから、理想のトレーニング法ではないだろうか。せひ一般向けの本も出してもらいたい。
やり方は簡単で、本を見ながらちょっとやってみるだけで即効性が実感できる。
私は体が硬く、前屈で手が床につかないのだが、この本のあるエクササイズを見よう見まねでやってみただけで、すぐに手がついた。手品のようで、その即効性に驚いた。
残念ながら翌日には元に戻ってしまったが、毎日続けることで徐々に体を柔軟にできるという。
ガチガチに鍛えるのではなく、簡単にできて日常生活にも役に立つ。何より、体を正しく使うことで疲れにくくなる、というのがうれしい。
私もそろそろ秋に向けてまた走ろうと思うので、起爆剤に買おう。
興味のある人は、サンプル画像があるのでぜひ試してみてください。
http://www.sportcare.info/honeseitai/dvd.html
私のアクション:下半身の骨ストレッチを続けて、楽に体前屈できるようになる
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
日常の動作が重要(P115)
骨ストレッチでせっかく体を柔軟にしても、日常の動作が従来のままでは、疲れや痛みをとることに終始してしまいます。それでは、自己の能力をフルに発揮するまでには至らないでしょう。
走るということは決して特別なことではなく、こうした日常の動作の延長線上にとらえるべきこと。トレーニングの時だけ、プレーの時だけ、よい動きができれば充分というものではありません。
中指を意識すると歩き方が変わる(P124)
中指を常に意識し、足の裏全体で着地しながら歩いていく。親指と違って中指にはブレーキの働きはありませんから、ふんばりがききません。前方にわずかな重みがかかり、脚はその働きを補正しようとして自然に前に出ます。
――こけそうでこけない、そんな歩き方といえばいいでしょうか?
体幹がまず前に出て、それにつられるようにして足がついてくる状態ですから、地面を力強く蹴らなくても前に進むことができます。
ストライド(歩幅)を広く摂ったり、腕をしっかり振ったりする必要はありません。体幹から動けるようになれば、自分に合った歩幅も自然に決まり、意識しないでも、腕は勝手に体幹の動きについてくるようになります。
薄氷を踏む感覚で歩く(P128)
…「1センチ程度の薄い氷の上を歩く」状態をイメージしてみてください。
その場合、余分な力が入っていると氷が割れてしまうので、あまり地面を踏みしめず、体を浮かすような気持ちで歩くはずです。
まず自分の体を使いこなそう(P163)
確かに、勝つことや記録を伸ばすことも大事なことです。しかし、それ以上に自分の体を使いこなし、人生の中で自由自在にふるまえることの方が遙かに価値があります。まず、そうした状態を目指してください。結果は後から必ずついてきます。