毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

これからの世の中の仕組みが見えてくる☆☆

書評メルマガ『ビジネスブックマラソン』で紹介されていたので、興味がわいて読んでみた本。
土井英司さんは「じつにワクワクする一冊」と書かれていたが、私は起業家ではないのでワクワクとまでは行かなかった。
でも、これからの世の中がこんな風になるんだろうな、というイメージができ、それがなかなか明るい未来だったのでとても楽しく読めた。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


著者はプロフィールによれば「シリコンバレーの名物起業家」だそうだ。これまでに立ち上げたWEBサイトをAOLやコダックに売却するなど、インターネット関連ビジネスの先駆者だ。つまり“鼻がきく”人なのだろう。加えて新しいもの好きで、サービスなどは自ら確かめないと気がすまない性格。こういった、何かを予想する本の書き手としては最適だと思う。


そんな著者が、「これからのビジネスはシェアになっていく」という。著者はそれに「メッシュ・ビジネス」という名前をつけた。

なぜこのビジネスを「メッシュ」と呼ぶのか?メッシュ=網というイメージがこのビジネスにぴったりだからだ。網の結び目からさまざまな方向に糸が伸びて行くように、ネットワークがほかのネットワークと結びついてどんどん広がっていく、というのがメッシュ・ビジネスのイメージである。メッシュ=網のどの結び目もほかの結び目とつながっていて、連動した動きを見せる。(P33)

読んでいて、何かに似ているな、と思った。
それは『減速して生きる―ダウンシフターズ』と『お客さまの「特別」になる方法』だった。

  • リーマンショック以降、アメリカでは大量購入、大量消費のライフスタイルを疑問に感じる人が増えた
  • 人生の優先順位が変わった
  • 持続可能なものを求める動き
  • 買わなくてすむ=環境に優しい
  • 人が絆を求めるようになった

などなど。

そして、それをビジネスとして可能にするのがSNSであり、iPhoneをはじめとしたいつでもどこでもネットにつながれる環境だ。
これにより、ビジネスは「売っておしまい」ではなく、顧客のフィードバックを受けながら、よりよいものにブラッシュアップしていくものになった。


すでにアメリカでは大小さまざま、新しい会社から大企業の参入組までさまざまなメッシュ・ビジネスが展開されている。実例が豊富に紹介されているので、これからこういうビジネスを手がけたい人には素晴らしい参考書になる。
「メッシュ」ということばの意味がよくわかるのは、実現可能だとされているこんな例だ。

あるスーパーで一定額以上買い物をすれば、車のシェア代金が下がる。そのスーパーの顧客の健康志向が高いと判断した保険会社が、顧客対象に健康診断を提供する。その結果が正常であれば(保険支払いのリスクが下がるので)レンタル会社にボーナスが振り込まれる。その会社の加盟店での割引提供が受けられる…などなど。
バラバラだとそれほどの恩恵に感じられなくても、網の目のようにさまざまなサービスがつながっていくと、大きな恩恵になるということがよくわかる。
ビジネスとしては、どの企業とパートナーシップを結ぶかが勝負になってくる。


私がいいなと思った点は、シェアが主流になることにより「修理しながら長年使えるものがスタンダードになる」こと。
所有するなら最新のものがステイタスでも、借りるなら丈夫でシンプル、使いやすいものの方がいい。維持する側も修理しながら長年使えるものの方がありがたい。その結果、部品が共有できたり、「定番商品」が増えてくるそうだ。
「資源をむだ遣いせず、持続可能なシステムを作る」という大事なテーマが、メッシュビジネスを利用することによって実現できるのだ。


ひとつだけ心配なのは、個人情報の問題だ。位置情報、買い物の履歴、趣味嗜好や人脈など、メッシュ・ビジネスにはさまざまな情報が必要になる。私にはまだそこまで自己開示する心の準備ができていないと感じた。便利になるなら丸裸になってもいいと思うだろうか?


神田昌典さんによれば「すべて日本のビジネスはアメリカの後追い」だそうなので*1、それほど遠くない日に、この本に書かれたことは日本でも実現するだろう。
未来予想としても面白いし、新たなビジネス展開を模索する人には必読の本。
私のアクション:買わずにシェアできるものはないか、買う前に考える
関連記事
読書日記:『ダウンシフターズ』
読書日記:『お客さまの「特別」になる方法』



以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

メッシュビジネスで信頼を築く7つの鍵(P144)

1.あなたがしていることを伝える――期待感を抱かせるよう努力をし、何回となく情報を送る。
2.試用させる。
3.有言実行。
4.顧客に喜びを与え続ける。
5.ソーシャルネットワークを抱き込み、深く食い込む。
6.透明性を重視しつつ、プライバシーは守る。
7.批判的なPRに対処し、すばやく巧みにフィードバックする。

メッシュの基準(P153)

メッシュ企業は顧客とのインタラクションをとるごとに、顧客に自分は特別なのだと感じさせ、必ずまたアクセスしたい、また利用する喜びを友人たちと分かち合いたいと思わせようにしなくてはならない。それがメッシュの基準なのだ。メッシュは販売するという1回だけのトランザクションが目的なのではない。顧客が生涯にわたってブランドやサービスを愛用し続けてくれるように、たえずかかわっていくことこそメッシュ企業が目指す目標だ。

*1:表現は違ったかもしれません