大学の授業でされていることをベースに、「やる気を習慣化する」方法を中心に「修行」のよさを説いた本。
以前、某新聞社のセミナーで齋藤先生の講演を聞いたことがある。
あれは「聞く」よりも「参加する」の方が近いかもしれない。テンションは高いし、知らない人といきなりハイタッチはさせられるし、なかなかタフだった。
あれを授業では毎回やっているそうだ。
きつめの課題で「やる気」を習慣化し、「きつめ」を「当たり前」に感じられるようにしたということだ(P200)。
なぜそれが必要なのか、この本を読めば納得できる。
「特訓」「修業」*1と聞くと辛い、いやなもののように思ってしまうが、日本人は長年そうすることで精神を鍛えてきたという。不合理、不条理、不公平ということは日常よく起きる。その時に、「修業」を積んでおけば、へこたれないですむ。「これも修業だ」と思うことで、やり過ごすことができるのだそうだ。
若い人たちのナイーブで傷つきやすく心が折れやすい傾向は、修業感覚を味わっていないがゆえの弱さだと私は思っています(P97) 。
という言葉には説得力があった。
具体的に「特訓」の方法も書いてあったが、こちらは「短期集中型勉強法」のようなもので、残念ながらあまり目新しさはなかった。
それよりも、昔の著名人(本田宗一郎など)の修業時代の話や、立川談志に弟子入りした立川談春さんの話*2などの方が面白かった。
宮本武蔵の『五輪書』を第6章まるまるひとつ使って解説してあるのも、こんな機会でもなければ読まないので勉強になった。
「修業」にまつわる話をいろいろな角度から集めた本なので、タイトルに惹かれて読むとちょっとがっくり、になるかもしれない。
ただ、いろいろなヒントはつかめる。子供に『坊ちゃん』を1日で全文音読させる話や、英語の本を3冊読ませることで自信をつけさせる方法などは大人にも応用できるのではないだろうか。
短期決戦型の人は一読の価値ありです。
私のアクション:自分が集中できる“道場”を見つける
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読書日記:『話し上手 聞き上手』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
とりあえず「何かをつかんだぞ」と言えるところまではやる(P33)
そうすると、たとえそれが続かなくても、次にもう一度やろうとした時にゼロからのスタートにはなりません。土台はできているのだというところを自信の根拠にすることができます。
拡散しやすい意識を集中する力が必要(P59)
…現代は意識を自分自身でうまく集約していく術をっていないと、情報の海の中を流されていってしまい、集中してやるべきことがおろそかになりがち。あちこちに拡散しやすい意識をどうしたら取りまとめられるのかというのが、現代のひとつの大きなテーマになっています。ひとつのことに絞り込んで集中する力をつれねことが必須課題になっているのです。
スモールステップで達成感を積み重ねる(P138)
自分の実力の120%のことをやろうと無理しすぎるから挫折する。70〜90%ぐらいの力でできる範囲のものにすればいいのです。その「ハードル設定」を間違えないようにすることが大事です。
*1:「滝行」とか「千日回峰行」のようなものは「修行」と書きます。こちらは「板前修業」など
*2:著書『赤めだか』からの引用。ビジネスブックマラソンでも紹介されていた本です