毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

松下幸之助のエッセンスが読める良書☆☆☆

松下幸之助 成功の法則
江口 克彦
WAVE出版(2010/03/18)
¥ 1,470

以前、青野慶久さんの『ちょいデキ!』という本を読んだ時、引用されていた松下幸之助さんの言葉が印象に残った。この本からの引用だったので、ずいぶん前に探書リストに書いたままになっていた。ようやく借りて読んでみたが、松下さんの人柄と非凡さが伝わる、素晴らしい本だった。

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著者の江口克彦さんは、松下幸之助氏の晩年の秘書として23年間勤めた人だ。言わば側近中の側近であり、それだけにこの本の松下氏はとてもいきいきと描かれているように感じた。柔らかな関西弁の口調がまるで口述筆記したかのようにリアルだ。
松下氏自身の著書もたくさんあるが、周りの人から見た客観的な姿も知っておくとバランスが取れていいように思う。

成功の法則を5つに分けて教えてくれる形になっているが、堅苦しいものではなく、優しい口調ですーっと読める。読むだけでおしまいにせず、ぜひ身につけたいことばかりだ。
やはり、当たり前のことを当たり前にやるのが最初のステップのようだ。
この春から社会人の人たちや、原点に戻りたいという人に特におすすめ。
※この本は若いビジネスパーソンを対象に再編集されたもの。このため、旧版にあった最高責任者向けの章が割愛されているので注意が必要です。
私のアクション:ささいなことを日々ていねいに
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

原因は自分にある(P19)

「世間は誰ひとりとしてきみの成功を邪魔したりせんよ。やれないというのは、外部の事情というよりも、自分自身に原因があるものなんや。外部のせいではない、理由は自分にあるんだということを、常に心しておく必要があるな」

好きになってやっていれば、必ず成果が出てくる(P24)

そして世の中というのは不思議なもので、成果が出てくると必ず「引き」が来る。会社の中から、会社の外から、知人から、あるいは思いがけないところかも。
(中略)
引きが来た時には、自分でも驚くほど、自分の好きなことがやりやすくなる。

批判に対して弁明しない(P39)

松下は批判に対する弁明が、新たな批判の誘因になることをよく知っていた。批判するものは最初から批判しようと決めているのだから、いくら正しいことを懇切丁寧に弁明しようと、聞く耳を持っていない。
(中略)
批判に対する説明、弁明は、言いかえればその批判にとらわれたことを意味している。そもそも、充分考え抜いた上で自分がやっていることとはいえ、100%正しいということはあり得ない。とらわれない心、素直な心で受け止めれば、むしろ「そういう批判があるのなら、それを大切な意見としてさらに意欲的に行動していこう」と、積極的に聞くようになる。その時、批判は助言に変わる。感情的になることなく、素直に耳を傾けられるようになる。

熱意と誠実さと素直な心は成功へのトライアングル(P46)

…松下が成功した理由…「熱意」に加えて「誠実さ」と「素直な心」の3つを挙げたいと思う。松下の振る舞いは、いつも熱意というものを頂点にして、それを素直な心と誠実さが下支えしていたように思う。

60%の見通しと確信ができたならば、その判断はおおむね妥当(P64)

「お互い人間としては、見通せるとしてもせいぜいが60%というところ。そのあとは、その人の熱意と、勇気と実行力や」
(中略)
熱意と勇気と実行力が、60%の判断で、100%の確実な成果を生み出していく。

本物の成功とは(P81)

結局は、日常の一見ささいなと思われることが積み重ねられた叙事詩である。だから私たちは…小さなこと、当たり前のこと、日々を大切にすることを決してためらってはならないのである。

自分の力の範囲内で仕事をする(P88)

「取引先のうまくいってないところを見るとな、やはりその店主の力以上のことをやっているんやな。ほとんど例外なしと言っていいほど、自分の力以上のことをやっているんや。それに対して、うまくいっているところは、その店主の力の範囲で仕事をしておったな」

日々、一歩一歩を積み重ねる(P93)

人にたずねた方がよいと思うならば、素直にたずねる。その日なすべき仕事に、誠実を尽くす。恵まれた能力がないというのであれば、人一倍の熱意で事にあたる。そのような小さなことの積み重ねが、平凡を非凡に変え、弱さを強さに変えてくれる。
そのように考えてくると、成功を目指す者が心すべきことは、中途半端に自分一人を高きところに置き、見せかけの強さから出発してはならないということである。

「今あるものに継ぎ足すな。今あるものをゼロにして、どうするかを考えよ」(P106)

運命と努力の関係(P112)

「…運命が90%だから努力しなくていいということにはならんね。けれども、努力したから必ず成功すると考えてもあかんよ。しかし成功するに必ず努力が必要なんや。
つまり舵となる10%での人事の尽くし方いかんによって、90%の運命の現れ方が異なってくる。生き方次第で、自分に与えられた運命をより生かし、活用できるというわけやね」
松下は、ものごとがうまく運んだ時は「これは、運がよかったのだ」と考え、うまく行かなかった時は「その原因は自分にある」と考えるようにしてきたという。

なぜ、ということを話す(P158)

「…もうひとつ大切なことは、なぜ、ということを話すことや。ただ言いたいことや結論だけを言うということではあかんわけや。責任者が『なぜ』を説明することによって、社員はその言わんとする全体を理解することができる。そうしないと、社員はその責任者についてこんで」

燃える思いで訴える、くり返し訴える、なぜ訴えるのかを説明する(P158)

この3つの繰り返しをしなければ、経営者の真意は社員には伝わらない。なかなか自分の考えが社員に伝わらないと思うなら、自分が充分な努力をしているかどうか、よく考えてみるべきである。

「方針」を3つの要素に分ける(P179)

1.基本理念(=どのような考え方で)
2.具体的目標
3.理想
これを常にワンセットとしていた。

成功する人と失敗する人の差(P192)

失敗する人には「私心」というものがある。成功する人には「私心」というものがなかった、というのである。賢さは一緒である。しかしちょっと自分の私心が入ると、非常に差が出てくる。

すっきり決断できずに迷う時には(P193)

…自問自答を重ねていくと、自分を中心に考えている場合に心が迷いに迷って、なかなか決められなかったという。だからそのような場合には、自分というものを考えから抜いて、素直に全体の立場に立って考え直したそうである。

命をかける(P206)

「自分はこの仕事に命をかけてやっているのかどうかと、これまで困難な問題に出くわすたびに自問自答してきました。そうすると、非常に煩悶の多い時に感じることは、命をかけるようなところがどうもなかったように思われるのです。それで、心を入れ替えてその困難に立ち向かっていきました。
そうすると、そこに勇気がわき、困難も困難とならず、新しい創意工夫も次々と起こってくるのです。そういう体験をたくさん持っています」