毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「ID野球」がわかる本☆☆☆

野村ノート
野村 克也
小学館(2005/09)
¥1,575
※文庫版が出ています→『野村ノート (小学館文庫)
先日読んだ『ダンドリ・整理術 モノグサ私の方法』にタイトルが出ていたので、興味が湧いて図書館で借りてみた。ノート術なのかと思ったら違っていた。
この本は、野村氏が監督として就任した各チームで選手に伝授した内容*1をもとにまとめられたものだった。
プロ野球ファンには読みごたえのある、面白い本だと思う。


野村氏の教えの中核をなすのは「人格形成」だという。確かに、そういう話もたくさん出てくる。組織のあり方や、リーダーシップ論もある。
でも、やっぱりメインは配球の話やバッターボックスでの読み方などだ。

普通は3×3の9マスに分けるバッティングゾーン*2を9×9の81マスにしてスコアラーにデータを取ってもらった話など、長年野球を見ている私でもうへぇ、と思ったくらいセオリーがぎっしりなので、組織改革や人材育成を目的に読む本ではない。


また、他の野村氏の本と同様に、選手に対する容赦ない言葉が並んでいる。もちろん、ほめている人もあるが、そこまで書かなくても…という選手も。ほとんどは古い時代の人の話だが*3、古田さんのことをかなり辛辣に書いてあるのには驚いた。苦労して育てたのにあまり恩を感じてくれていない、という恨み(?)があるのかもしれない。
偶然だが、最近本を読んだ山崎武司選手(中日)・稲葉選手(日ハム)・赤星氏はそれぞれ野村氏に薫陶を受けた人ばかりで、それぞれに野村監督の教えに触れていた。それを逆の側から見るようで、読んでいてとても面白かった。


長年、野村監督のID野球ってどんなことを教えているんだろう、と疑問に思っていたが、この本でかなり謎が解けてスッキリした。
野球には詳しいと思っている人や、理論派タイプには楽しめる1冊。ピンと来た方はどうぞ。
関連記事
※稲葉選手の本UP後リンクを貼ります。しばらくお待ちください
読書日記:『一瞬の判断力』
読書日記:『野村監督に教わったこと』


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

評価は人が下した評価こそが正しいのだ(P26)

先入観は罪。固定観念は悪(P50)

「決断」とは賭けである(P62)

何に賭けるか根拠が求められる。また決断する以上、責任は自分で取るという度量の広さを持たなくてはならない。…覚悟に勝る決断なし。つまり迷ったら覚悟を決めること。決断力と包容力は表裏一体である。

諸葛孔明の家訓より(一部)(P88)

優れた人は静かに身を修め徳を養う。
無欲でなければ、志は立たず、
穏やかでなければ道は遠い。
学問は静から、才能は学から生まれる。
学ぶことで才能は開花する。
志がなければ学問の完成はない。

*1:「ノムラの考へ」というタイトルで、原則としてミーティング終了後に回収、つまり選手には渡さなかったようです

*2:ストラックアウトの的をイメージしてもらうとわかりやすいと思います

*3:南海時代の江夏・門田・江本の3氏など