タイトルに沿った章立てがまたすごい。
不安をしずめる(鎮静剤)
気付け薬
栄養剤
体質改善
などの名前がずらり。
この本を書いたきっかけは、奥野さんご自身の体験によるものだそうだ。専門紙記者時代、不安になったり追い詰められるとなぜか書店に駆け込んでいたという。
ここから、「心のケアをするための本の選び方や読み方」といった斬新な方法が編み出されたようだ。
わざと読み終えない本を作っておくとか、心が弱っている時に書店でいつもと違う棚を眺めてみるなど、考えても見なかった面白いアイデアがいろいろあった。
4章までは本の紹介が中心だが、第5章の「もっとメンタルに効かせるための工夫」では、奥野さんが取り入れているさまざまな方法を教えてもらえるのでヒントになる。
今までありそうでなかった切り口の読書術。心が疲れた時、落ち込んだ時などにこういう方法もある、と知っているだけでも違うと思う。この本に書かれたとおりでなくても、この本をきっかけに自分のための秘策を作れればきっと奥野さんも喜ばれるはず。
今回は紹介されていた本をメモしなかったが、アランの『幸福論』が取り上げられていたのはうれしかった。
しかしまあ、過去のことはともかく、つい最近の追い詰められた状況まで包み隠さず書いていいんですか、奥野さん。と思ってしまった。
全体に鬼気迫るものがあり、今の私のように心が弱っている人には少し刺激が強すぎるかも。
比較的安定している時に読むのをおすすめします。
私のアクション:心のケアにいい本、いい言葉を意識して集めておく
関連記事
読書日記:『だから、新書を読みなさい』
読書日記:『知的生産ワークアウト』
読書日記:『読書は1冊のノートにまとめなさい』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
「本当に読みたいか」だけで本を選ぶ(P26)
…不安をしずめたい時は「人としての成長」とか「正しい生き方」とかいったことは、すべて忘れて、「本当に読みたいか」だけで本を選んでください。歯を食いしばってまで、世間で言う「名著」を読む必要はないのです。
(中略)
この本で言う「いい本」とは…自分の心を救ってくる本です。
…読んで救われるなら「いい本」です。言い換えればレビューを書いたり、友達に話したりするための「客観的な評価」とは別回路として、「徹底した主観」に基づく「自分のためだけの読み方」を持っておく。「主観的な読み方」でしか、自分は救えないからです。
「心引かれる本」を読んでみる(P38)
…「ある程度、関心を持っていることを扱った本」より、「読む理由はないが、なぜか心引かれる」という本の方が、不安をうっちゃるのに使えるということです。
「自分がぼんやり楽しめるジャンル」を持っておく(P39)
「まあまあ面白い」「気休めにボケーッと見ていたい」というものを求める場合、ほとんどの人はテレビや雑誌を見るのではないでしょうか。…そんな「ぼんやりした楽しみ」を求めて本を探してみる。そしてその「自分がぼんやり楽しめるジャンル」をハッキリさせておくと、弱っている時に救いが得られる。