毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

相手に「気持ちよくしゃべってもらう」極意☆☆☆

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
阿川 佐和子
文藝春秋(文春新書)(2012/01)
¥840

阿川佐和子さんは面白い文章を書く人だ。その昔『TANTO』という料理雑誌に連載されていた壇ふみさんとの往復エッセイ*1は抱腹絶倒もので、毎回後ろのページから開いていた*2くらいだ。

その阿川さん、実は対談の名手でもあるらしい。雑誌の対談連載は10年を越え、「サワコの朝」というトーク番組もされている。
その長年の経験から培ったノウハウを公開しているのがこの本だ。
ベストセラーになっているのは知っていたが、図書館だと何年待ちだ、というくらい予約がいっぱい。
たまたま実家にいる時、父が新聞広告を見て「この本買おう」と言ったのを聞いてすかさずアマゾンで注文。読み終わったら貸してね、と頼んだので早く読めてよかった。
聞き方の本なのだが、読んでとにかく面白かったのはさすがエッセイの名手・阿川さん。電車で移動中に読んでいて夢中になり、うっかり乗り換えを忘れるくらい引き込まれた。

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駆け出しインタビュアーの頃“作家・城山三郎さんの話を聞きに行き、自分の方が楽しくどんどんしゃべってそのまま帰ってきてしまった経験”が阿川さんの聞き方の原点なのだそうだ。なぜ自分がそんなにしゃべってしまったかというと、城山さんの聞き方が上手だったから。ニコニコ聞いてくれるものだから、気持ちがよくてついしゃべってしまったという。
つまり、「相手に気持ちよく話してもらうにはどうしたらいいか」というのが基本なのだ。対談やインタビューのノウハウは、一般の人が使う機会はないだろうと思われがちだが、「人の話を聞く」というのは、人と関わる上で避けられないもの。ふだん気持ちよくしゃべらせてくれる人はほとんどいないので、これができるだけで人間関係がうまくいったり、出世したり、モテたりするかもしれない。

 

私はカウンセリングのような仕事をしていたので、テクニックとして新しいことはあまりなかった。でも、そういう訓練を受けていない人にとっては、「聞く」という行為の大切さがわかるだけでも読む価値はあると思う。
それにとにかく、読んで面白いのだ。たくさんの著名人とのエピソードがこれだけ読めるのは貴重だ。特に萩原健一さんとビートたけしさんのエピソードはすごいライブ感で鳥肌が立った。美輪明宏さんに言われた一言、というのも思わず吹き出してしまった。
もちろん阿川さんだからできることや、長年続けられてきたからこそできる上級技もある。でも、楽しく読めて、読み終わったあと家族の話でもちゃんと聞いてみようかな、と思えるだけでも充分価値があると思う。
会話が苦手な人は、聞くことがうまくなれば自分が話さなくても会話が成立する(ことも可能)。ぜひ読んでみてください。
私のアクション:安易にアドバイスをしない


※この本のメモはありません

*1:ああ言えばこう食う』ほか、シリーズで何冊かあります

*2:一番後ろに掲載されていたのです