とはいえ、上大岡トメさんは『キッパリ!』でお世話になったし、*2池谷先生と言えば大好きで何冊も読んでいる脳科学者。これが読まずにいられようか、と即借りてきた。
さすがは最強タッグ、とてもわかりやすくて面白い本だった。
サブタイトル「やる気の秘密」の通り、この本はやる気とは何かという脳のメカニズムと、それを利用した続ける方法を教えてくれるもの。
池谷先生の著書は“あまりに頭のいい人が書いた本”という感じで、いくら脳科学の本が好きな私でも慣れるのにちょっと時間がかかる*3。
ところが、上大岡さんの手にかかるとそのエッセンスだけが凝縮されて、マンガを読んで笑っているうちにちゃんと理解できてしまう。
脳には「淡蒼球」(たんそうきゅう)という部位があり*4、やる気が出ている時に活動しているという。ただし、淡蒼球は自分の意志では動かせないので、いろんな方法で外から働きかけるしかないのだそうだ。
そのための4つのスイッチと、それらの各種スイッチをあの手この手で入れる具体的な方法が学べる。
上大岡さんはこの本を書きながら、今まで続かなかった英語学習が実際に(出版された時点で)半年以上続いているそうなので、効果は実証済み。しかも、上大岡さんは子供の頃から何をやっても続かない、典型的な飽きっぽいタイプ*5。これは期待できそうだ。
薄い本ですぐ読めるが、内容はとても濃い。飽きっぽいのが悩み、という人すべてにおすすめです。
私のアクション:今やっている習慣にドッキングさせる
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
「マンネリ期」の脱出方法(P34)
新鮮さにも慣れちゃって、やめたいなぁというキモチがむくむくと頭をもたげる時が必ずやってきます。
そんな時はしんどくっても、めんどくさくっても、とにかくその場にカラダを持っていく。たとえ、ぬけがらでもいいから。すると脳が「ああ、やるんだ!」とだまされて、やる気になる。
これを知っていれば、「やりたくなーい」「行きたくなーい」と考えている時間は、もったいないです。とにかく、「やる気」はいくら待っても出てこない。こちらから迎えに行って、スイッチを入れる。
4つのスイッチ(P41)
スイッチB―Body(カラダを動かす)
スイッチE―Experience(いつもと違うことをする)
スイッチR―Reward(ごほうびを与える)
スイッチI―Ideomotor(なりきる)
同じ時間にやる(P108)
※上大岡さんのお嬢さんの進学ガイダンスで聞いた話
「家庭学習を効率よくするには『4つの時間を決めること』」
4つとは、朝起きる時間、勉強を始める時間、晩ごはんの時間、そして寝る時間。これを続けていると、だんだんその時間になるとカラダが準備するようになるそうです。
“マンネリ”を予期しておく(P154)
…「いつかマンネリ化しちゃうだろう」と予期しておくことは大切です。こうした構えを、脳研究者は「準備された心」(prepared mind)と呼びます。将来起こりうる事態をあれこれ予測しておくと、実際にその瞬間が訪れた時、より適切な対応ができるようになります。
長続きする人は案外とスローランナーが多い(P154)
成功を急いでいる人は長続きしない。だから無理せず少しずつやることが大切なのです。当たり前のこともできないのに、大きな夢ばかり追いかけて、結局叶わなくてくすぶっているとしたら、ホントに格好悪い。