毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

時代の潮目を読めるようになる読書☆☆☆☆

日ごろお世話になっている日刊書評メールマガジン「ビジネスブックマラソン」編集長の土井英司さんが書かれた本。
タイトルから「ビジネス書の話だよね」と何となく思っていたが、予想は裏切られた。もちろん、いい意味で。



何のためにビジネス書を読むのか。私はスキルを身につけるとか、自分にはない新しい切り口を見つけるきっかけになれば、くらいの気持ちで読んでいた。
ところが、土井さんは違った。メルマガで紹介された本もたくさん読んでいるので、当然出てくる本は読んだことのあるものが多い。なのに、同じものを読んでいても導かれる結果が全然違う。スケールの違いにショックを受けた。

土井さんはたくさんのビジネス書を読むことで、“時代の潮目”を読んでいるのだ。土井さんの解説に従って過去のビジネス書のトレンド*1を見れば、確かに何らかの傾向がある。逆に言えば、たんねんに流れを追っていけば、次に流行るものもおおよその見当がつけられるのだ。
土井さんが今まで潮目を読んできた手法が包み隠さず明かされている。

土井さんが説く次の流れはこれ。

これからは、読みやすくて薄い本を何冊も読むより、多少高くて分厚くても 本格的な“王道本”を一冊じっくり読む方が価値があります。一気に読み終えることはできないかもしれませんが、読みながら思考できるし、本質を学べます。いっそのこと、外国の学者の本を原書で読んでしまった方がいいくらいだと思ってください(P163)。

読みやすい本、気軽に手に取れる本を読んで学んだ気になっているようでは成長しないようだ。


ビジネス書の話しかもトレンドの話なのに、意外に古い本もたくさん出てくる。

僕が今、最も重要だと考えている三要素、「歴史、哲学、サイエンス」(P163)

しっかりした土台を作っておくことが大切なのだ。


第4章では、差をつけるビジネス書の選び方が紹介されている。私はこの章が一番興味深く読めて収穫も多かった。
出版コンサルティングも手がける土井さんなので、作る側の事情もよくわかっている。

読みやすくて面白いビジネス書というのは、化粧が抜群にうまい女性に似たところがあります。優秀な著者や編集者は、タイトルや装丁はもちろんのこと、文章まで練りに練って“その本の本当の実力よりはるかにいい本”につくりあげることができるのです(P252)

確かに、実力以上の本というか、見かけ倒しの本も多いというのはたくさん読んでいるとよく感じる。逆に、掘り出し物はタイトルや装丁が内容に合っていないいわゆる“残念な本”にあるそうだ。
これからはそういう視点で本を探してみると、新たな出会いがありそう。
正直なところしばらく本はいいかな、と思っていたのに、家族が借りてきたこの本を読んだら、また本が読みたくなった。

神田昌典さんの『2022―これから10年、活躍できる人の条件』を読んだ時と同じくらい、ワクワクする本。
ビジネス書の解説としてはもちろん、未来予測*2の方法としても読める。
たくさん本は読んでいるけど、成長していないと感じている人はぜひ読んでみてください。
私のアクション:リアル書店に行ったら専門書コーナーをのぞいてみる
※この本の中で紹介されていた本を、一部ブクログに登録しています。タグは「超ビジネス書講義」です。
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

潮目の変化とは「振り子が逆側に振れる時」(P83)

人間の価値観というものは、その時のビジネスシステムの中で作られています。……人間にとって、最優先となるのは「飯のタネ」。価値観は主義主張ではなく、「何で食っているか」で決まるのです。

潮目を読むためにはすべてのものごとを「対義語」考える(P96)

今が「豊か」なら、次は「清貧」に振り子は振れる。今が「個人主義」なら、次は「全体主義」に振り子は振れる。「今を表す言葉と、その対義語」が何かを考えれば、時代のうねりは読み取れます。

複雑からシンプルへ(P108)

紀元前1200年のカタストロフ(何があったかは不明)をきっかけに、ミケーネ文明は崩壊。暗黒時代に突入しますが、そこで流行ったのが秩序正しい模様でした。遺跡を見れば、ほとんどがシンメトリー(左右対称)でジオメトリック(幾何学的)です。……安定した社会であれば、アバンギャルドなものや自由なもの、複雑なものが流行る。逆に不安定な社会だと、人間は安定した模様やデザインを求める。シンプルでシンメトリーなデザインの人気は、ここしばらく続くはずです。

書店での立ち読みは「はじめ20ページ」が勝負(P235)

立ち読みは主に、本のはじめの方に注力します。いい本は前書きか第1章に必ず面白いことが書いてあるものです。
(中略)
20ページパラパラめくるだけで、損をしない確率は驚くほど高まります。

掘り出し物を探すのに専門書コーナーは必見(P240)

よく知らないジャンルの人に会ったらお勧めの本を聞く(P245)

「あなたの業界でバイブルみたいな本は何ですか?」と尋ねると、たいてい意外な答えが返ってきます。問題点や愚痴が世間話で出たら、「ああ、医者はこういうところで悩むのか」と受け、「じゃ、それに関してお医者さんは、どういう本を読んでいるんでしょう?」と尋ねることもよくやります。ポロッと出たらその本を買ってみて、よさそうだったら周辺を芋づる式に買っていく。

*1:意外ですが、ビジネス書にも流行のようなものがあるんですね

*2:土井さんは「未来予測は意味がない。絶対の予測などできるはずがない」と書かれていますが