ロンドンオリンピック直前の今年6月に出版されたもの。
出典がはっきりしないが、ネットニュースで“「ロンドンオリンピック出場選手の中から美人を選ぶ企画」で唯一日本選手から選ばれたのが寺川選手”という記事を見た記憶がある。全世界が認める美人だ。プールでの写真はもちろん、この本のために新たに撮られたであろう写真も多い。
やっぱりきれいなので同性の私でも見惚れてしまう一方で、すべての出場選手がこんな本を出せるわけじゃないので、美人は得だ、と思った。
文章はあまりないが、面白かったのは北京の選考会で破れてから現役続行を決めるまでのいきさつと、平井コーチに指導してもらうために取った行動のエピソード。
どちらもテレビなどでよく出てくる話なので一応は知っていたが、ご本人の口から*1語られると、そういうことだったのか、と納得した。
この本を読んで知ったことだが、寺川さんは実は「覚醒」がとても遅い。小さい頃から「オリンピックでメダルを取る」と思っていた人ではない。本気でメダルを取りたい、と思ったのは平井コーチに師事したいと思った時なので4年前だ。才能だけでそこまで行けたこともすごいが、ロンドンで結果が出せたのは「自覚」が生まれたからだと思う。目標を具体的にしっかり持つことの大切さを改めて感じた。
目標の立て方や、その過程で結果をどう捉えるか、という話はとてもわかりやすく、勉強になった。スポーツのように数字がはっきり出る目標はふだんの生活では少ないが、考え方は知っておくと役に立ちそうだ(下のメモにあります)。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
注)本そのものにページ番号が振ってありません!
自分自身と向き合う
4年前の北京、8年前のアテネ。同じオリンピックを目指していたけれど、今の自分と確実に異なるものは何か。
それは、目標が明確であることと、周りを気にしないことだと思います。
(平井コーチは)何を目標とするのか、その目標を達成するためには何をしなければならないのか。漠然と「こうなりたい」「ここへ行きたい」というのではなく、そうなるために自分に足りていないものは何か。埋めるためにはいつ、何をすべきなのかを問うてきます。
目指す目標に対して深く向き合い、そこまでの道のりを具体的に組み立てる。
そのおかげで、目標を、目標として自分自身が理解し、受け止められるようになったのだと思います。こうして自分の軸が定まると、あれほど気になっていた周りのことが少しも気にならなくなりました。
自分の軸がブレなくなった
たとえば、私が100メートルのレースに出て、1分1秒台で泳いだら、ベストタイムから換算して数字だけを見たら、「寺川は調子が悪い」と思われるでしょう。でも反対に59秒で泳いだら「この時期に59秒台で泳げるなんてすごい」と言われるかもしれません。
でも、実際は、ものすごいトレーニングを積んでいる時期に1分1秒で泳げれば「悪くない」と思うだろうし、逆に本当は58秒台で泳げる状態にあると感じていたのに、59秒台で泳いでいたらきっと満足できないと思います。
泳いでいる本人は数字だけでなく、泳ぎ方、感覚、レースペース、すべてを集めて、数字として表れた結果に対して、良い、悪いと判断します。周りの評価にビクビクしていた頃は、その基準が自分の中でブレていました。
*1:おそらく話したものを文章に起こしてあると思います