毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

シンプルさの行き着く先☆☆☆

ずいぶん前にビジネスブックマラソンで紹介されていた本。
探書リストに書いたままになっていたが、たまたま先日図書館で見かけたので借りてきた。
やや「難読本」*1に近い本だったが、テーマに興味があったことと、本そのものがとてもシンプルで美しかったので何とか読めた。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


著者のジョン・マエダさんはグラフィック・デザイナー、ビジュアル・アーティスト、コンピュータ・サイエンティスト(とプロフィールにある)。出版当時はマサチューセッツ工科大(MIT)で教える教授でもあった。日系アメリカ人の彼はおそらく日本にも住んでいた時期があるようで、日本の文化とシンプリシティに関する考察は、日本人にはなじみやすいと思う。

この本は著者が自身のサイトで考察を重ねたものを書籍化したものだそうだ。そのため、現時点での結論というか、今後もさらに深まっていく可能性のある内容だ。
しかし、さすがはデザインとテクノロジーの融合を目指している人だけあって、興味深い話が多かった。シンプルは単なる機能ではなく、リラックスや満足度ももたらすこと。またひたすらシンプルを求めればいいのではなく、複雑さ(コンプレクシティ)との兼ね合いや、商品として世に出す場合のバランスの取り方など、普通の人には持ち得ない視点が面白い。

メモに法則を載せてあるが、本文を読まなければよくわからないものも多い。理系の人の文章を翻訳してあるので読みやすいとは言えないが「シンプル」が必要な仕事に就く人や、シンプルの本質に興味のある人は読むとヒントが得られると思う。
私のアクション:シンプルの中にも感情やリズムが必要だと意識する
【参考】2012年9月の著者の書いた記事がありました(ただし、抄訳だそうです)。
ジョン・マエダの考える「デザインを超えるもの」――WIRED(JAPANESE EDITION)


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。

10の法則(Pxxi)

1削減 シンプリシティを実現する最もシンプルな方法は、考え抜かれた削減を通じて手に入る。
2組織化 組織化は、システムを構成する多くの要素を少なく見せる。
3時間 時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
4学習 知識はすべてをシンプルにする。
5相違 シンプリシティとコンプレクシティは互いを必要とする。
6コンテクスト シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない。
7感情 感情は乏しいより豊かな方がいい。
8信頼 私たちはシンプリシティを信じる。
9失敗 決してシンプルにできないこともある。
10 1  シンプリシティは、明白なものを取り除き、有意義なものを加えることに関わる。

3つの鍵(Pxxi)

1アウェイ 遠く引き離すだけで、多いものが少なく見える。
2オープン オープンにすればコンプレクシティはシンプルになる。
3パワー 使うものは少なく、得るものは多く。

SHE(P2)

縮小(SHRINK)
隠蔽(HIDE)
具体化(EMBODY)

SLIP(P13)

分類(SORT)
命名(LABEL)
統合(INTEGRATE)
優先順位の決定(PRIORITIZE)

目を開くために目を細める(P21)

世界でトップクラスのデザイナーはみな、何かを見る時目を細める。木を見て森を知るために――正しいバランスを発見するために――目を細める。目を細めて世界を見ることだ。見るものを減らすことによって、わかることが増えるのである。

BRAIN(P35)

※学生のモチベーションを維持するためのアプローチ。
基本ははじまりである(BASICS are the beginning)。
同じことを何度も繰り返し言う(REPEAT yourself often)。
やけを起こさせないようにする(AVOID creating desperation)。
例を使ってインスピレーションを与える(INSPIRE with examples)。
繰り返し言うことを決して忘れない(NEVER forget to repeat yourself)。

背をもたれてリラックスしよう(P75)

※B&O…バング&オルフセンデンマークの高級ステレオメーカー)
B&Oが焦点を合わせているのは音の質ではない。「背をもたれる」こと……ただ何かを楽しむことの質なのだ。(中略)「背をもたれる」ことの目的は、望ましい状態としてのくつろぎをもたらすことだ。(中略)私たちが本当にリラックスできるのは、全幅の信頼を置ける人の手の中で、この上ない善意を持って扱ってもらえる場合だけである。

*1:翻訳物、ハードカバー、価格が2100円以上の本を勝手にそう呼んでいます。たいてい専門書に近く、文章が多くて難解なものが多いので