別に今お金のことは考えてないんだけどな、と思いながら読んだら、とてもいい本だった。
中野さんは元・世界銀行の人事カウンセラー。著書多数、講演などで活躍されている方だが、一般的には『世界がもし100人の村だったら』の原案を最初に日本で紹介した人*1として知られている。
中野さんの本はとても読みやすい。成功法則と言われるジャンルに入るような内容なのに、おしつけがましくないし、いわゆるスピリチュアル系のようなことも書いてあるのに、ちっとも怪しくないのだ。すーっと読めて、心にしみ込んでくる。
私が大好きなコーヒーカップの話がある。私は勝手に「コーヒーカップ理論」としていろんな人に話したり書いたりしているのだが、そのルーツは中野さんの「愛のコーヒーカップ」というお話だ。
ごくごく簡単に言えば、「まず目の前の自分のコーヒーカップを満たしましょう。自分の目の前のカップが空なのに、ほかの人のカップを先に満たそうとしていませんか?実は、自分のカップとほかの人のカップはテーブルの下でつながっているので、自分のカップを満たせば、自動的にほかの人のカップも満たされるんですよ」という話*2。
私は初めてこの話を読んだ時、本当に感激した。今まで、「人より先に自分を満たしていい」なんて言われたことがなかったからだ。
この本でも、中野さんらしい「自分を大切にして豊かになる」方法を教えてくれる。これなら、無理なく、罪悪感なく豊かになれそうだ。豊かになったら、分かち合えばいい。そう思えたら、安心して豊かになれる。
興味深い話が満載だが、特に斬新だったのが「好きな仕事を見つける方法」(P168)。
●チェック1
あなたは、人と向き合っている時に燃えますか?→対人型
あなたは、人以外のモノやデータなどと向き合っている時に燃えますか?→対物型
●チェック2
あなたは長期で結果を出したい積み重ね型ですか?→長期型
あなたは短期で結果を出したい瞬間型ですか?→短期型
この、「人」「モノ」/「長期」「短期」の組み合わせで4タイプに分けられ、燃える仕事が何なのかわかるのだそうだ。
一見とても簡単だが、けっこう奥が深い。私は今までこのうち3タイプの仕事にトライしてあまり芳しい結果にならなかったことがわかった。実は最後のひとつが適職だったのか…ちょっとショック*3。
今までいろんな適性診断をやってきたが、このタイプの分け方は案外盲点だと思う。
やっぱり、自分が燃える仕事をやることが、お金持ちになる近道なのだ。
豊かさと仲間の両方がほしい!という方はぜひ読んでみてください。今までの“お金持ち観”が変わりますよ。
私のアクション:今この瞬間を楽しむ
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
フィーリング・グッド(P21)
私は居心地のいい空間で過ごす時間が、どんなに人生を美しく変えてくれるかを痛感したのです。
(中略)
居心地のいい空間は私の意識も変えていきました。私は外側のモノがもたらす内側の「フィーリング・グッド」に目を向け始めたのです。
お金と縁のない人になってしまう原因(P23)
…富や成功に関してヘンに卑屈になったり、「いえ、いえ。私などそんな者ではございません」などと必要以上に謙遜したりするのは、一見“いい人”のようでいて、実は、富や成功を正当に評価できない逆の思い込み。この思い込みが、自分で自分をお金と縁のない人にさせてしまう原因でもあるのです。
Fake it till you make it!(P26)
直訳すれば「本当にそうなるまでは、なったふりをしよう!」というもの。
お金持ちはケチではない(P105)
…それはケチなのではなく、お金に対する向き合い方が真剣なだけのこと。本当のお金持ちは、たとえば単価の安いものでも、壊れていたらすぐにクレームをつけるような人なのです。
「まあいいや。たかが100円だから」とは決して言いません。お金の価値をちゃんとわかっているからです。
著者のホームステイ先(裕福なユダヤ系ファミリー)の奥様のことば(P106)
※ハロッズで買ったキッチン小物に不具合があった時、すぐに電話でクレームを入れ、わざわざ交換に出向いたという
…彼女はつねづね「額の多少にかかわらず、お金を払って手にしたものはその価値がなければきちんと筋を通すこと」と言っていました。
「今この瞬間」を楽しむ(P131)
「今この瞬間」を楽しめないから、不安や心配が入り込んでくるのです。
豊かな人には、過去を悔やみ、いつまでもウジウジすることは似合いません。
豊かな人には、未来の不安や心配は似合いません。
今を楽しみ、味わい、感謝することが似合います。
「毎朝太陽から100のエネルギーをチャージしてその日1日を生活している」と想像する(P134)
あなたがそのエネルギーを上手に使えば、エネルギーは外に漏れ出すことなく、1日中あなたを支えてくれます。そんな日のあなたは、決して疲れることなく、楽しく充実した1日を終えることができます。
ところが、何らかの事情でそのエネルギーがどんどん漏れていたとしたら……?
(中略)
賢いお金持ちは、こうしたエネルギーの法則にのっとって、エネルギーが漏れ出すようなことは極力避けて生活しています。だから、毎日が快適なのです。
「起こった問題は、必ず答とセットになっている」(P146)
セットですから、問題だけ起きて「何も学ぶものはありません」と、あなたを切り捨てることは絶対にありません。
さっさと次へ行こう!(P191)
新しい人間関係を作るのもよし、言葉遣いをランクアップさせるのもよし。そうやって新しい扉をパカパカと開けていくのです。まるで自動ドアのように……。
「分かち合う」という出口(P192)
次へ、次へ。進化の最後の出口はどこにあるのでしょうか。
私は、それは「分かち合う」ことだと考えています。
(中略)
たとえばあなたに1万円が降ってきた時、そのお金で素晴らしい映画を観たり本を読んだりして、その感想を友人たちに伝えるのです。
そうすれば、あなたの感動が伝わった友人たちも、元気づけられたり勇気をもらえたりするはず。それが「分かち合う」ということです。
他の人、まわりの人と「分かち合う」ことの喜びを知っていれば、どれだけ豊かになっても罪悪感はありません。
心配しないでお金持ちになってください(P200)
そして楽しくお金を使ってください。あなたも、世界もきっと変わります。
“豊かさ”を分かち合うことは、自分を犠牲にすることではない(P203)
使命を背負って、重く感じることもありません。
それどころか、分かち合いは、私自身がもっと“豊か”で幸せになるための究極の方法だと思っているくらいです。
*1:こちらで読めます→「もしも世界が100人の村ならば」
*2:『あな吉さんの 人生が輝く! 主婦のための手帳術』にあった、「大人には毎日自分をゴキゲンに保つ義務がある」という考え方とも似ていますね
*3:学生時代、アルバイトで楽しかったのが「短期・対人」だが、仕事では負担が多く挫折。次に正反対の「長期・対物」を目指したがこちらは根気が続かず挫折。この春までやっていたのが「長期・対人」で、精根尽き果てました…。会社員時代、一番続いたのが自分ひとりで淡々と取り組み、毎日締切がある(つまり、毎日決着がつく)事務系の仕事だった。明らかに「短期・対物」じゃないですか