このところたて続けに文具を扱った本を読んでいるが、さすがは美崎さん、横綱級の内容だった。
この本のコンセプトは明確だ。
- 「どんな」道具を使うか?
- 道具を「どう」使うか?(P4)
このふたつに絞って書いてある。だから、いろいろな商品の紹介はあるが、どんな時にどんなものを使えばいいのか、そしてツールを超えた仕事術的なことにも踏み込んで書かれている。手帳の本の時もそうだったが、美崎さんは目的意識がとてもハッキリしていて、
「何を使えばこれができるのか」から文具を選び、使い方も工夫を重ねてあるところが、他の文具術とはちょっと違うオリジナリティだと思う。
使い込んで練りに練って書かれている感じがあり、内容がとても濃い。例によってまた本を付せんだらけにしてしまった。
私が意表を突かれたのは次の一節だった。
北島選手が水着にこだわり、イチロー選手がバットにこだわるように、プロのアスリートはツールを使いこなすことで結果を出しているのです(P3)。
だから、プロのビジネスパーソンもツールにこだわり、使いこなして結果を出そう、というのが美崎さんの主張なのだ。文房具とイチロー選手のバットやグローブを同じように考えたことがなかったので衝撃を受けた。
でも確かに、私たちの道具はペンであり、ノートや手帳であり、パソコンやデジタルツールなのだ。それをイチロー選手のバットのように選び抜いて、大切に使う。そう考えたら、文具への投資も試行錯誤も大切なことだ、と素直に思えた。
ものすごくたくさんの文具が出てくる。わかりやすい写真もふんだんに使われ、問い合わせ先もまとめてあり、実際に使ってみたい人にはとても親切な作り*2。
編集はあの市川有人さん。『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』を作られたコンビなので、充実した内容は当然かも。
私がなるほど、と思ったのはマスキングテープを使ってノートに見出しをつける方法と、持ち歩き用の文具はすべてペン型に揃える(さらに言うと、ペンケースは開けばそのままペン立てになるものを使う)こと、そしてさまざまな色や形の付せんを使うことで「視認性」が上がり、記憶に定着しやすいこと。
また、ライフログノートなどにページ付けすることが多ければ、ナンバリングマシーンを持っておくのもよい、というのも目からウロコだった。仕事で使うことは以前よくあったが、あれを自分で買うなんて考えたことがなかった。
柔軟な発想と、これをやるには何を使えばいいか、どう使えばいいかを根気よく探し続ける気持ちが大事なんだろうな、と思えた。
あらゆる文具好きの人はもちろん、そんなに興味ないという人でも必ずいくつかは仕事の効率を上げるツール、または方法がわかります。ぜひ読んでください。
私のアクション:ペン立てになるペンケースを買う*3
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ(注:文末表現を「です・ます」→「である・だ」に、その他一部内容を変えてあります。要約の目的ですが、ご了承ください)。
道具はその機能を果たすために、もっとも効果的なものを選んで使う(P5)
「アクティブ・クリアホルダー」という考え方(P18)
自分の処理できる処理量に合わせてクリアホルダーの枚数を制限する方法。
私の場合は、フローで管理できる書類は10本と決めている。
(中略)
新しい書類(=仕事)が入ってきた時には、過去のクリアホルダーの仕事を処理しないと、その仕事をクリアホルダーに入れることができない。物理的にクリアホルダーの数で、自分の処理できる仕事量を決めているのだ。
たとえば、10本の仕事を抱えている場合、11本目が来たとしたら、どれかを処理してしまうか、どれかの優先順位を下げて「やらない」と決める。
マスキングテープでノートの見出しを作る(P30)
テープの半分をページの端に貼り付け、半分は折り返してページの裏に貼り付ける。テープでページ1枚の端を巻き込むように貼る。そうすることで、ノートを閉じていても横から重要なページがどこにあるのか見分けられるようになる。
※はみ出させてインデックスのようにすることもできる。はみ出す幅も好みで変えられる。
「ToDo」「Doing」「Done」の3つに分類(P32)
ノートのページを3つに分け、タスクを書いた付せんを、それぞれのカテゴリーに分類して貼り付ける。
新しいタスクが生まれた場合、まず「ToDo」のカテゴリーに貼っておき、作業をする段階になったら「Doing」に移し、終わったら「Done」に移動させる。各タスクがどの段階にあるかを認識するのに適した方法。
付せんはいろんなデザインを混在させる(P33)
視認性とモチベーションが保てる。色が違ったり、形の違う付せんをあえて混在させながらタスクを書くと…視覚的にも楽しく処理できる。
メモと対応させて付せんでタスクを拾う方法(P35)
ノートや手帳を見開き単位で扱い、左ページにスケジュールや打ち合わせのメモなどを書き、右ページにはそこから生まれたタスクを付せんに書いて貼っていく。ページを開いた時に付せんが貼ってある状態だと、タスクはまだ完了していないという状態を表す。
読書付せん術:美崎さんの場合(P43)
付せんを2枚使う。1枚は、外から見えるように上側や右側に貼り、もうひとつは本のキーワードの横に貼っておく。
そうすれば、上側や右側に貼った付せんによって、その本がどのくらい面白かったかが見える化され、さらにその付せんをインデックスとしてめくれば、キーワードにすぐにたどり着くことができる。2つ使えば、具体的にどの箇所かすぐわかって、大事なポイントへのアクセスが速くなる。
「インデックス付せん」と「アクション付せん」(P43)
興味を持った箇所には本の上側に付せんを貼る。
行動しようと思った箇所には、本の右側に実行すべき「アクション付せん」を貼る。
(中略)
ワンアクションを実行したら付せんは取るというルールを課しているため、付せんを貼る・取るという行為が私の仕事の習慣として定着している。
ノートを読み返す上でポイントになるのは「視認性」(P52)
視認性を上げるためには、アイコンや見出しのようにワンポイントがパッと目に入ってくるようにする。
(中略)
見出しやアイコンを(新聞や雑誌のように)入れると、読み返しの際に非常に便利だが、ただ見出しを書くより、色を使って視認性を上げると効果的。…もっともシンプルなのが、3色(4色)ボールペンを使う方法。
(中略)
記述自体は黒で書きたいという人なら、見出しの横に「プライベート(Private)」「仕事(Work)」「家族(Home)」を分ける記号、P・W・Hといったイニシャルを色分けして書くだけで、あとで読み返す上で、すぐに目に留まる。
「マイルドライナー」グレーでタスクを消す(P58)
薄いグレーを使って消すと、上からタスクを消していても下の文字が見返せて、あとからどんなタスクを処理済みにしたかということが確認できる。
レターオープナーは刃が飛び出ていない構造なので、航空機内に持ち込める(P61)
繰り返し使うスケジュールは、3Mカバーアップテープに印刷(P125)
パソコンなどの書式を作って紙に印刷する。シールにしたい部分にカバーアップテープを貼り、もう一度プリンターに入れて上から再度同じ書式を印刷する。
ストップウォッチでタスクにかかる時間を計る(P127)
測定した結果は、ノートなどにメモする。コピーを取るのに3分かかる、メールを打つのに7分かかる、プレゼン資料を作るのに60分かかるなど、予測と結果を両方書き、予定と実際にかかった時間の差を把握しておく。
予定と実際の差を埋めるようにしていると、効率や処理スピードは必ず上がってくる。また、時間を計っていると、余計な誘惑に惑わされることなく作業に集中できるようになる。
宅急便伝票は紙用マッキーでも書ける(P145)
ボールペンでなくても大丈夫。
モバイルツールのポイント(P162)
PCを除いた最低限のツールは「書く」「切る」「消す」「貼る」。
(中略)
すぐにその場で切り貼りできるツールが必要。
ペン型に統一し、ペンケースに収納(P163)
…出張時や移動時は、使用性ではなく可搬性の機能を重視する。
通勤電車でストレスなく新聞を読む方法(P180)
思い切って新聞をふたつに裂く。真ん中の折り目を境にして破る。
(中略)
…1面、3面、5面、7面と奇数面の上側のページを、開かずに手前に倒しながら読むことができる。その際、下部の面をクリップで留めておけばバラバラになることもない。
新聞は奇数面の上部だけ追っても、ある程度情報は収集できる。偶数面と下部には広告が入ることが多いので、情報を短期間で吸収していくためには、奇数面の上部をザッピングするというのが効果的。