先日読んだ『土井英司の「超」ビジネス書講義』に出ていたので読んでみた。
内容はタイトルそのままで、会社を経営している父が、人生の節目で息子に向けてアドバイスを送る手紙だ。大学に合格した時から、会社を譲って引退するところまで、長い年月をかけて綴られている。
ひとつひとつの手紙はそれほど長くないが、さすがは人生の先輩だ。息子が道を踏み外さないよう、心が折れたり足をすくわれたりしないよう導いてくれる。まるで足元を照らすランプのようだ。
仕事のことだけでなく、友人とのつきあい方や伴侶の選び方、お金に関するアドバイスまで多岐にわたる。それも、押しつけがましくなく、ウイットに富んだ表現で。
翻訳者である城山三郎さんは「まえがき」で、若いビジネスマンだけでなくミドルにもトップにも…ビジネスの世界を離れてもいろいろ教えてくれることが多い、と書いている。
ただ、私はやっぱり「若い時に読みたかった」と思った。それは、私が今ビジネスパーソンとして最前線にいないからかもしれないが。
あまり知られていないが、実は娘さんにも同じように手紙を書かれているそうだ。
『ビジネスマンの父より娘への25通の手紙 (新潮文庫)』
こっちなら、もう少し身近なものとして読めるだろうか。
英語の勉強として、原書で読むのもいいかもしれない。手紙だし、訳文から見てもおそらく端正な英語で書かれていると思う。ウィットある文章は、きっと英語で読んだ方が面白いはず。
――と思ったら、同じことを考えている人がいたようで、「ナビ付き洋書」なるものが出ていた。
IBCパブリッシング(2007/8/24)
¥ 1,470
原書で読みたいと思ったのは、文中で息子にすすめる10冊の本のリストが出てくるのだが(第19通「読書の価値」)、残念ながら翻訳の有無や邦題がまったくわからないから、というのも理由のひとつ。それぞれの原題から調べればわかるかもしれない。ブクログのおすすめ本に載せたかったのだが、少し調べてあえなく挫折*2 *3。
もし原書で読む機会があったら、また結果をご報告します。
ぜひ若いうちに読んでみてください。「もう若くないよ…」という人は、周りの若い人にプレゼントまたは教えてあげるのが大人のつとめでしょう。
私のアクション:批判されたら、その批判が聞くに値する人からのものか考える(くわしくは下のメモにあります)
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読書日記:『土井英司の「超」ビジネス書講義 』
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。
今では、決して失敗を振り返らない(P25)
昨日は夢想家にくれてやる。私は今日の戦いのことで頭がいっぱいである。
競争に勝つのは(P43)
必ずしも動きの速い人ではない。勝つのは過去の競争から学んで、その教訓を活かす人である。
上り坂で車を押すのは困難な仕事である(P49)
途中で休めないわけではないが、やりとげてしまわないと、たいていの場合、車はもとの坂の下まですべりおりてしまう。そうなれば、はじめからやり直さなければならない。それが仕事というもので、学問も同じである。
平均的な人は成功者ではない(P78)
自分の目標を達成した人、本当に幸福な人、あるいは満ち足りている人に、めったに出会えるものではない。それでも私たちは、自分の一生にかかわる問題を、大多数の考えにゆだねるべきだろうか。
何でも慣れるためには回数を重ねるしかない(P85)
…付け加えならなければならないのは、勘であっさりと片づけるよりも、入念に、思慮深く分析する方が、早く、高度に熟達する、ということである。
「目につくものが、必ずしも買うべきものではない」(P155)
ことを忘れないように!
「他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちを経験する時間はない」(P175)
フランクル医師の幸福の定義(P203)
彼の幸福の定義は達成感である。
(中略)
…私たちが真の幸福感を味わうのは、自分自身に定めた何らかの目標を達成した時である。…幸福は何かをすることである。
批判について(P228)
…批判に関する限り、人生の途上で出会う人たちのうち、聞く価値があるのは10%程度だろう。残りの90%の人たちの動機は、羨望、悪意、愚かさ、あるいはただの不作法である。…秘訣は、すぐさま批判者を評価することである。尊敬に値する相手だろうか?…その批判が例の90%の人からのものなら、すぐに忘れること。
著者のストレスに対する処方(P258)
くつろぐことによって、頭脳をからっぽ状態に持っていく。澄んだ心で一度にひとつの問題に取り組む。これを常に実行する。
著者の問題解決法(P274)
なかなか決心がつかなくて、行き詰まったら、関連のある事実をすべて揃えて、その問題を君の心に預け、しばらく寝かせるといい。カヌーを漕いだり、釣りをしたり、獲物を追ったりしているうちに、時間が経てば無意識のうちに考えが整理され、まとまってくる。それはまるで、個人用の目に見えないコンピュータを持っていて、さしあたり何かをしている間に、君の思い通りに作業するよう、プログラムできているようなものである。…釣りや狩りの旅が終わりに近づく頃には、問題の解決策なり、行動方針なりが決まっている。