さまざまなことが話題を呼び、時には物議を醸した。実際に何があったのか、監督自身が語るその内容がとにかく面白い。
◆目次◆
序章 やりたい野球なんてない―シーズン終盤、熾烈な優勝争い
第1章 最大の危機をチャンスに変える―キャンプ〜開幕。日本人No.1投手・ダルビッシュ有が抜けた穴を埋める
第2章 名将にあやかる―監督・栗山英樹誕生までと、理想のチーム
第3章 組織を動かすということ―人生で一番長い10日間、3月30日〜4月9日
第4章 失敗は、成功への一里塚―4月10日〜7月17日、悔しい敗戦に学んだ前半戦
第5章 勝利のために理論を捨てることも必要である―シーズンを通して学んだベンチの野球学
第6章 いかに潮目を読むか―死闘となった後半戦、優勝争いのなかで
終章 人と比べない―ファイターズの愛情と、監督への覚悟
栗山さんがプロ野球監督に就任、という報道が出た時にまずみんなが口を揃えて言ったのは「なんでこの人に?」という疑問だった。
プロ野球選手としてのキャリアはそう長くない。すごい記録を残した人でもない。そして、コーチ経験もゼロ。
でも、この本を読めば仕事で米メジャーリーグの取材をするうちに、その経営方針や考え方にあこがれるようになった栗山さんと、いち早くメジャー流の経営を取り入れようとしてきたファイターズの理念が一致した、という理由がはっきり見えてくる。
そして、プロ野球ファンならみんな知りたい「斎藤佑樹投手を開幕投手に起用」の真の理由も隠さず書いてある。
シーズンのほぼすべての試合の結果と当時の状況、そしてさまざまな監督の決断の理由が時間を追ってまとめてあるので、「あの時はこんなことが起きていたのか」「そういう考え方だったんだ」というのがわかり、答合わせのようで面白い。
栗山さんの監督としての考え方もよくわかり、確かにこの人は「唯一教員免許を持ったプロ野球選手」(現役当時)だったんだ、と納得した。この人のベースは教育者だと感じた。
プロ野球に興味がなければよくわからない点も多いので読者は選びますが、わかる人にはぜひ読んでみて欲しい本。
人を育てる極意のようなものが伝わってきます。
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
(P168)
「なぜ打たない!」「なぜ抑えない!」と選手に文句をいうのは簡単だが、それを選手のせいにしてしまっては、指導者は成り立たないと思っている。それを打たせるようにする、抑えられるようにするのが仕事なのだ。