意外な発見というか、驚きの連続だった。
◆目次◆
プロローグ 聖書がわかれば、世界の動きが見えてくる
第1章 まずは聖書の世界をのぞいてみよう
第2章 イエスによる「救い」の論理を読みとく
第3章 聖書の壮大な歴史絵巻を読みとく
エピローグ なぜ、人々は聖書を信じるのか
ちなみに、私はキリスト教の素養ほぼゼロ。大学がプロテスタントのキリスト教系で、1年間「キリスト教学」という授業(必修)も履修したのに、ほとんど何も覚えていない*1。
著者は経済学者だが、「鹿嶋春平太(かしま・しゅんぺいた)」の名で宗教社会学者としても活動されているという。
経済学の研究をするうち、西欧の世界観を形成している聖書に深い関心を持つようになり、著書も多数出されている。
以前読んだ『村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則』に「西欧と仕事をするなら、キリスト教的世界観の知識は絶対必要」とあったが、この本でもやはり同じことを書いてあった。著者自身もそういう流れで聖書やキリスト教の研究を始めたのだろう。
この本は、『図解 聖書のことがよくわかる本』が元になっているそうで、2色刷で絵や図、地図などもあるのでわかりやすい。
「ある男子高校生がひょんなことから聖書のことを知りたいと思い、くわしい人にレクチャーを受ける」という設定になっているのだが、それが時々邪魔をして、かえって読みづらくなっている気がしたのは残念。
この本ではまず、聖書がどういう作りになっているのか、旧約と新約の違い、キリスト教の歴史と聖書の歴史(編纂のプロセス)について説明してある。
しかし、第2章のイエスの救いについての説明や、第3章の「キリスト教的世界の成り立ち」は、ちょっと心配になるほど大胆な説が展開されている。
キリスト教信者が、みんなこの本に書いてあることを“常識”として受け入れているかはちょっと謎だ。まさかキリスト教を解説した本で「波動」だの「エネルギー」だのが出てくるとは思わなかった。斬新だし、確かにその節で説明はつくのだが、この理解で正しいのか一抹の不安が残る。
ただ、こういう見方もあるんじゃないか、という読み方は悪くなさそうだ。日本人の考える道徳的「罪」とキリスト教でいう「罪」とはまったく意味が違うそうだが、この本の「原罪」の説明はすんなりと受け入れられた。
読むなら、伝統的な考え方の本と併せて読むのがよさそうだ。
理解の仕方はともかく、聖書の成り立ちはとてもわかりやすかった。必要に迫られて、聖書を読まなければならないとか、理解しておかなければ、という方は参考にしてください。
また、著者によれば正しい聖書の理解は新興宗教などから身を守るのに役立つとのこと。その意味で、一度目を通しておくといいかもしれない。
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読書日記:『村上式シンプル仕事術』
※この本のメモはありません
*1:担当教授が嘆きそう…もちろん、牧師さんでした