毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

自分の未来のために、働き方をシフトしよう☆☆☆☆

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
リンダ・グラットン
プレジデント社(2012/07/28)
¥ 2,100

ビジネスブックマラソンで紹介されていた本。サブタイトルは「孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」で、さまざまな観点から未来の働き方についていくつかの予想を提示している。

読んで、背筋が寒くなった。もしこれが本当なら(おそらくその可能性が高い)、それなりに準備をしていなければ、“最低の未来”を甘んじて受け入れるしかなくなるからだ。

ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


◆目次◆
プロローグ 働き方の未来は今日始まる
序章 働き方の未来を予測する

第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
第1章 未来を形づくる5つの要因

第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
第2章 いつも時間に追われ続ける未来――3分刻みの世界がやって来る
第3章 孤独にさいなまれる未来――人とのつながりが断ち切られる
第4章 繁栄から締め出される未来――新しい貧困層が生まれる

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々
第5章 コ・クリエーションの未来――みんなの力で大きな仕事をやり遂げる
第6章 積極的に社会と関わる未来――共感とバランスのある人生を送る
第7章 ミニ起業家が活躍する未来――創造的な人生を切り開く

第4部 働き方を<シフト>する
第8章 第1のシフト――ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
第9章 第2のシフト――孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
第10章 第3のシフト――大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

エピローグ 未来のために知っておくべきこと
訳者あとがき

訳者あとがきによれば

著者のリンダ・グラットンはロンドン・ビジネススクールの教授。専門は組織行動論。「企業のなかの人間」に関わるさまざまなテーマを研究してきた。2008年にはフィナンシャル・タイムズ紙により、向こう10年間で大きな影響力をもつ可能性が最も高いビジネス思想家に、2011年にはタイムズ紙により、世界のビジネス思想家上位15人の1人に選ばれた。日本での訳書が刊行されるのは本書がはじめてだが、国際的に評価の高い、権威ある研究者だ(P384)。

社会や経済、人々の価値観が大きく変化する中、職業生活の送り方に関心が高まっているため、働き方に対する疑問や不安を持つ人が増えている。

ひとことで言えば、この本はこうしたすべての問いに答えようとする本だ(P384)。
――訳者あとがき


これからは、激動の時代だという。

これから起きようとしている変化を突き動かす5つの要因
1.テクノロジーの進化
2.グローバル化の進展
3.人口構成の変化と長寿化
4.社会の変化
5.エネルギー・環境問題の深刻化(P20)

この条件で、働き方はどう変わるのか、それに対してどんな風に準備すればいいのか、いくつかの例が示されている。

 

シフトする方向として挙げられているのは3つ。

第1のシフト――ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
第2のシフト――孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
第3のシフト――大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

これは、未来「予測」ではない。
それぞれのストーリーが提示するのは、あくまでも未来に関する一つの見方だ。何種類ものストーリーを描けば、さまざまな未来の筋書きを組み立てられる。未来には、極めて多様な可能性があるのだ(P23)。

ここに書かれたすべてが「当たる」ことはないかもしれないが、この方向に行く可能性は高い。それを踏まえて準備できるかどうかで、今後の人生が大きく変わるかもしれない。

 

読みながら、または読み終わった後に考えることは

・私と周囲の人たちに特に影響を及ぼしそうなのは、どの出来事やトレンドか?
・私の職業生活に最も強い影響を及ぼす要素はなにか?私はその要素にどういう影響を受けるのか?
・波乱の時代にあって、未来に押しつぶされないキャリアを築くために、私はこの先5年間になにをすべきなのか?(P25)

むずかしいのは、置かれている状況やキャリアはひとりひとり違うので、「これをやればいいですよ」という、すべての人に合うプランがないことだ。
自分をよく分析し、計画を練るしかない。

 

また、ひとりではなくいろんな人と協力していく場面が増えるらしい(しかも、ネットを通じて世界中の人と)。そのために語学や、コミュニケーションスキルは必須のものになるだろう。

今までの競争社会とは違う面も出てくるので、いわゆる“勝ち組”だった人以外にもチャンスは回ってくるかもしれない。

社会学者のアンソニー・ギデンズによれば、大勢の他人によって踏み固められた道を歩むのではなく、自分自身のニーズや志向を反映させた道を選ぶ傾向が高まりつつあるのだ(P200)。

意外に思えるが、実は「好きなことをやった方が強い」というシフトもあるのだ(その理由は、下のメモをご覧ください)。

 

どんな未来がやってくるのか、冷静に情報を得ながら、自分の働き方について計画を練りましょう。この本を読めばそれができます。
いわゆる難読本*1なのでなかなか読みにくいですが、それだけの価値は充分あります。
私のアクション:スペシャリストにどうシフトするか、考える
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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

仕事の世界で必要な3種類の資本(P232)

3つの資本は3つのシフトと結びついている
第1の資本:知的資本、知識と知的思考力
→広く浅い知識からいくつかの専門技能を連続的に習得していく。時間と労力を費やして専門分野の知識と技能を高めなくてはならない。
第2の資本:人間関係資本、人的ネットワークの強さと幅広さ
→孤独に競争するのではなく、他の人たちとつながり合ってイノベーションを成し遂げることを目指す姿勢に転換する。
第3の資本:情緒的資本、自分自身について理解し、自分の行う選択について深く考える能力、勇気ある行動を取るために欠かせない強靱な精神を育む能力
→大量消費より上質な経験。「豊かさ」や「贅沢」より「幸せ」や「再生」。

第1のシフト――ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
第2のシフト――孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
第3のシフト――大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

第1のシフトに必要な2つの資質(P237)

・専門技能の連続的習得
未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い技能や知識ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、他の分野の専門知識と技能の習得を続ける。
・セルフマーケティング
自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。

高い価値を持つ専門技能の3条件(P243)

1.その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること
2.その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること
3.その技能が他の人に模倣されにくく、機会によっても代用されにくいこと

新たに求められる5つの有償のケア(P260)

1.コンピューティング
2.ケアリング
3.ケータリング
4.コンサルティング
5.コーチン
このようなサービス関連の新しい職種が登場するのは、新しい創造性・イノベーション関連の職種の場合と同様、私たちの働き方と生活の変化が生む必然の結果。2025年の世界では、人々はモノを大量に消費することより、充実した経験を味わうことを重んじるようになる(自分自身がそういう経験を得る仕事に就く人も多くなる)。その究極の形態として、1人ひとりのためにオーダーメードで準備された経験を欲する人が増えるのだ。

あくまでも「好きな仕事」を選ぶ(P263)

未来が予測通りになる保証がないことを考えれば、自分が好きなこと、そして、情熱を抱けることを職業に選ぶのが賢明だ。ましてや70歳代になっても働き続けるとすれば、本当に楽しめる職業を探した方がいい。
(中略)
好きなことを仕事にすれば、粘り強く努力するだろうし、仕事にやりがいを感じやすい。大量消費から充実した経験への移行という<第3のシフト>を実践した人は、楽しい経験をすること、他の人と一緒に時間を過ごすこと、取り組み飼いのある課題に挑むこと、価値あるモノを生み出すことを重んじるようになる。所得と消費に代わって、経験とやりがいが勤労の主要な原動力になるとすれば、どういう仕事を選び、どういう専門技能を習得するかを慎重に検討した方がいい。

「自分がした仕事」とわかるための刻印と署名
信頼を得るために実績を積み重ね、他者との区別ができるようにする。そのためにはセルフマーケティングブランディングも必要
それが「重力の世界」から抜け出す方法

人間関係に必要なのは、「ポッセ(同じ志を持つ仲間)」「ビッグアイデアクラウド(大きなアイデアの源となる群衆)」「自己再生のコミュニティ(支えと安らぎの人間関係)」
ポッセは、一緒に仕事をしたことがあり、信頼関係を築いている人たちとの小さな集まり。3人いればよい
ビッグアイデアクラウドは、より大きな集まりで、バーチャルで可。自分の人的ネットワークの外縁部にいる人たちで構成される。友だちの友だちなど。自分とは違うタイプの人たちとつながることが大切。。仕事に関する疑問や情報を得ることができる。
自己再生のコミュニティは、家族と遠く暮らす場合に実際に会い、気軽に話せる人たち。パートナーやルームシェアなど、自分で選ぶことが大切。
生活の質を高め、心の幸福を感じるために、このような人間関係が重要になる。

*1:「翻訳、ハードカバー、税抜き価格2千円以上」の本を、勝手にそう呼んでいます