毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

コミュニケーションのカギは「三角形」☆☆☆☆

なぜ3人いると噂が広まるのか (日経プレミアシリーズ)
増田 直紀
日本経済新聞出版社 (日経プレミアシリーズ)(2012/03/08)
¥ 893
1年以上前にビジネスブックマラソンで紹介されていた本。探書リストを整理していたら出てきたので、図書館で借りて読んでみた。タイトルから想像していた以上に広がりのある内容だった。
ビジネスブックマラソンの紹介記事はこちら


◆目次◆
はじめに
第1章 ネットワークで世界を読み解く
第2章 ネットワークを分断せよ
第3章 食うか食われるか
第4章 人気投票のネットワーク
第5章 三角形はなぜ強い
第6章 流行を生み出すネットワーク
第7章 ネットワークが孤独を救う
第8章 職場での行動パターンを見る
第9章 幸せになるための三角形の作り方
参考文献

著者の専門はネットワーク科学。ネットワークといってもインターネットだけではなく、日常のさまざまなことがネットワークになっている*1
すでに何冊もネットワークに関する本を書かれているが、この本では中でも「三角形」ともうひとつ、「中心性」の性質に絞ってある。
この仕組みが理解できれば、目次を見ればわかるように驚くほどさまざまなことに応用がきく(タイトルはその中のひとつから取ったものだそうだ)。


第6章「流行を生み出すネットワーク」によれば、流行のメカニズムにも実は「三角形」が大きく影響するという。
三角形が多いほど情報が伝播しやすいのだそうだ。ひとりに薦められてもすぐに行動は起こさないが、他の友人からも同じ情報を得たらその情報を信頼し、行動を起こすことが多くなる。
三角形があった方がこの状態は作りやすいからだ。

実際、人間は周りのそれなりの人数がやっているなら自分もやる、という判断基準をよく用いる。流行現象はしばしばそのように起こるし、暴動、パニック、ストライキなどもそうである(P134)。

従来のクチコミ戦略やマーケティングは、情報がバケツリレーのように伝播する前提で考えられたものが多いが、「三角形」を意識することで、より効果的な方法が見えてきそうだ。


他にも、新型の流行性疾患が広がった時、罹患を防ぐには誰にワクチンを接種するのが最も効果的か*2を解き明かす手法として使えるという第2章や、グーグルなどでランキングを算出する手法が三角形の理論と同じであり、身近のさまざまな例に応用できるという第4章など、とても面白く読める。
極めつけは、“三角形の人間関係が多いほど幸福感が高い”という調査結果から実際に三角形を作る手法まで指南してくれる第9章だろう。

三角形の作り方をまとめよう。
第1に、自分の友人同士を紹介する。
第2に、自分が友人から誰かに紹介されるようにする。
第3に、共通の友人がいれば、何となく話しているだけでも友人になりやすい。
第4に、新しいコミュニティに飛び込む(P222)。

著者は学者さんなので(東京大学准教授)、少々難解で読みづらい所もあるが、内容が面白いので何とか読める。
もし第1章で行き詰まったら、興味のある話題の章から読むのがおすすめです。
私のアクション:自分の人間関係の「三角形」を再確認する
※この本のメモはありません

*1:「はじめに」で例として挙げられているのは、国際関係、テロ組織、航空網、河川、銀行間のお金の貸借、化学反応、ガン遺伝子など

*2:正解は「医師」。重症化しやすい入院患者に接種しても予防にならないそうです