テレビで何度か拝見したことがあり*1、経歴から来るイメージとは違ってやさしい語り口が好きなので、市長になられた後のことが知りたいと思って読んで見た。
◆目次◆
はじめに
第1章 人を好きになれる方法
第2章 人とのつながりを考える
第3章 仕事でつまずいた時こそ見つめる
第4章 あなたの味方はきっといる
第5章 女性だからこそ、できること
おわりに
高校卒業後、事務員を皮切りにキャリアをスタートされているが、頭角を現したのは営業職(車の販売)に就いてから。
親身にお客様の立場を最優先することで、男性とは違う方法で販売成績を上げ続けたそうだ。
この本では、ご自身のこれまでの歩みについて驚くほど率直に語られている。現在とは違い、著者が社会に出た頃は女性が長年にわたって働くことはなかったのだそうだ。男女差別もハンディも、今とは比べものにならない。その中を渡ってきた最大の武器が「しなやかさ」だったのだ。
いくつもの会社で実績を上げ、ダイエーの再建もこの人ならと見込まれた著者は、横浜市長就任後もその才能を遺憾なく発揮されている。
市役所の窓口に対する市民満足度は何と96.6%だそうだ(平成23年度)。これは、著者が「市役所は御用聞きビジネスです」とくり返し説き、職員の意識改革を続けた結果。
さらに、横浜市は現在保育所の待機児童数ゼロを達成しているという。これも、著者が経営者として培った力をフル稼働して成し遂げたものだ*2。
こんなすごい結果を出し続けているのに、書いてあることは全然むずかしくなさそうなのだ。ご近所の親切な奥さんが「あら、それはね…」と教えてくれているような文章で、つるっと読めてしまう。
この本を読んで私が感じたポイントは次の3つ。
- 「今日1日」「目の前の仕事」に真剣に取り組む→「型」は武道のように毎日続けることで力になる
- 「助けてください」と言う→人間らしさを見せる。弱くてもいい
- 無駄話はムダじゃない→聞き柄相手の気持ちを察する
女性経営者というと「男性と互角に闘ってきた」というガツガツしたイメージがあるが、著者にはまったくそんなところがない。誰とでも親しく話し、さりげなく相手の本心や隠れた要望を察知してそれを叶える、ということをずっと続けてこられたのだと思う。
女性の先輩として、働く女性に向けて書かれた本なので、男性よりは女性の方が、読んで得られるものは多いと思う。
文中にあった「いい仕事ができるのは、いい感じの人」という言葉が印象に残った。相手を気分よくさせながら自分も気分よく仕事をするのが、結局は一番長続きして結果も出せるのだろう。
読みながら「こういう感じの話を前にも読んだ気がするな」と感じていたが、思い当たった。プルデンシャル生命のトップセールスマン・川田修さんの『仕事は99%気配り (朝日新書)』。こちらは男性だが、高額商品を売ってずば抜けた成績を残しているおふたりは、考え方がとてもよく似ていると思う。
※残念ながらまだ読書日記が書けていませんが、近いうちにUPします。
頑張っているのになかなか結果に結びつかない人や、戦い続けて心身ともに疲労しているというビジネスウーマンはぜひ読んでみてください。
私のアクション:「助けてください」と言ってみる
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