毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「仕事をしたつもり」をやめて仕事をしよう☆☆☆☆

仕事をしたつもり (星海社新書)
海老原 嗣生
講談社(星海社新書)(2011/09/22)
¥ 861
以前読んだ瀧本哲史さんの『武器としての決断思考*1の中で紹介されていた本。
さらりとタイトルが書いてあるだけだったので、てっきり瀧本さんの本だと思っていたら、別の著者で驚いた。
読んでみたら、なかなか核心を突いた本だった。対象は会社勤めのビジネスパーソンだが、それ以外の人にも学ぶべき大切なことがあると思う。


◆目次◆
はじめに いつも忙しいのに成果が出ない。なぜだ!
第1章 何十枚も資料を作って、それで仕事をしたつもり?―「量の神話」を突き崩せ―
第2章 流行のビジネスモデルを学んで、それで仕事をしたつもり?―中身より形にこだわる「ハコモノ志向」―
第3章 みんなで一緒に考えて、それで仕事をしたつもり?―大義が引き起こす「本末転倒」―
第4章 業界トップの真似をして、それで仕事をしたつもり?―過去の自分までもが加担する「横並び意識」―
第5章 「お客様は神様です」とへりくだって、それで仕事をしたつもり?―商売の原則を無視した「過剰サービス」―
第6章 新しいことにチャレンジしないで、それで仕事をしたつもり?―「安全策」や「奇策」に逃げるな―
終 章 「仕事をしたつもり」からの抜け出し方

著者の海老原嗣生さん*2は、雇用ジャーナリスト。リクルートグループで雇用関係の仕事を経験し、現在は「人事・雇用のカリスマ」として活躍されている人だ。

この本は「あなたのしている仕事は、実は“したつもり”になっていませんか?」と問題提起してくれるのだが、これが笑うしかないくらい鋭い。

  1. 量の神話……たくさんあれば仕事をしたように見える              例)資料を山ほど作る
  2. ハコモノ思考……“とりあえず形だけやっておこう”という行政と同じ     例)「200件電話をかける」ノルマ、電話すれば仕事は終わり
  3. 本末転倒……本来の目的が消失                       例)タクシーで5分なのに、規約があるから電車で40分かけて移動
  4. 横並び意識……ひとつ成功するとよく考えずに真似する             例)あらゆる番組にサイトを作る
  5. 過剰サービス……「お客様は神様です」は間違い               例)クレームに泣く泣く過剰にサービスし、客の怒りを収める

実際に読んでいただければわかるが、一般的な仕事の半分以上は「したつもり」ではないだろうか。

著者は、「仕事をしたつもり」から抜け出すための方法は「考えること」と「保身をやめること」だという。
ところが、これが簡単ではない。この本にも、“効率化を進めて仕事が速く終わり、会社にとっても利益が出る方法を考えた結果、正社員から非正規雇用となり、自らの首を絞めてしまう”という例が紹介されている。「仕事をしたつもり」の方が自分の身を守れるという皮肉な状態が、日本の企業ではまかり通っているのだ。

では、右にならえ、長いものに巻かれろでいいのか?
著者は楽で安全で自分の身を守れるからといって「仕事をしたつもり」を続けていると、その結果自分の「人材市場価値」を失うことになるという。
ひとつの会社で一生を送ることがむずかしい現代、それはあまりにリスクが高い。

著者の答はこうだ。

まず、「仕事をしたつもり」を半分にする(ゼロにはできっこないから)。
残りの半分は、「仕事をしたフリ」をする。
「つもり」と「フリ」の違いは、前者は無駄な仕事を無駄と気づかず、一生懸命行うことであり、後者は、無駄と気づいて手を抜き、周囲に対して「しているように」ポーズをとり、その実、さっさと仕事を終えることです。
(中略)
これで浮いた時間を、半分は余暇に費やします。たとえば会社近くのスタバでコーヒーでも飲んで、疲れを癒すのです。
そして、残りの半分の時間を、真剣に考えることに費やす(P226)。

おそらく、これが現在の最適解なのだろう。


いま会社勤めをしている人以外は、「半分は仕事をしたフリ」などする必要がない。
それでもこの本をいいと思うのは、著者の本質を見抜く目が素晴らしいからだ。ふだんやっていることの何が無駄で、どうすればそれが改善されるのか、いくつも例を挙げてあるのだがこれがとにかく鋭い。この「目」はおそらくどんな仕事にも役に立つはずだ。
著者は考えることをくり返しすすめているが、この「考える」だって実はむずかしい。読んでいくうちに「考える」がどういうことなのかわかってくる。


小玉歩さんの『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』では「会社で残業やつき合いはしなくていい。無理に好かれようとしなくても、仕事で成果を上げれば、上司や会社はその社員を切れない」とあった。
なるほど、とは思ったものの「成果を上げるって何?」と困った人は多いのではないだろうか。
「成果を上げる仕事のやり方」は、この本を読めばわかります。
私のアクション:「この仕事の目的は何?」と自問する癖をつける
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読書日記:『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

ハコモノ思考」を打ち破る方法(P88)

1.数字を疑う
まず、ノルマや目標といった「目安となる数字」が出てきたら、疑ってかかる。形だけの仕事を促進する影の主役が「数字」。
「本当にその数字は妥当なのか?」「その数字の裏にあるそもそもの理由は何なのか?」と考える。
2.本当にそれだけをやっていたら成果が上がるのか?
と立ち止まって考える。

「横並び意識」の連鎖を断つ方法(P140)

1.何も考えずに「右へ倣え」するのではなく、「なぜそれがうまくいったのか」という理由を考えてみる。
2.「それは他の場面でもうまくいくのか」を考えてみる。

客も取引先も目上の人間も神様ではない(P181)

あくまでも「商品・サービス」と「対価」の交換であり、対等関係だ。
必要以上に媚びる必要はないし、無理なことは断る。
度を越えた要望が続くなら、取引を見直す。
ただしそのためには、対価に釣り合う商品・サービスを提供していなければならない。

*1:すみません、読書日記はまだです

*2:ご自身の会社サイトにプロフィールがなかったため、インタビュー記事をリンクしています