※文庫版あり→『気の発見 (学研M文庫)』(¥ 620)
五木寛之さんの「発見シリーズ」(と勝手に命名)、3冊目は“気”がテーマ。
“気”はわかるようなわからないような…くらいの私だが、非常に気持ちよく読めた。
◆目次◆
見えない世界への旅のはじめに
第一章 気の存在
第二章 気の力
第三章 気と想念
第四章 気と治療
第五章 気の思想
第六章 気と呼吸
第七章 気とヨガ
第八章 気といのち
第九章 気の声
あとがきにかえて
お相手の望月勇さんは、ロンドン在住。20代の頃世界各国を放浪した経験を持つ人だ。ロンドンでヨーガ気功教室を開かれている。
五木さんが無邪気な子どものように気についてあれこれ質問し、それに望月さんが丁寧に答える形で進んでいく。
写真は載っていないが、行間からなごやかな雰囲気が伝わって来るようだ。
望月さんのニュートラルさがとても印象に残った。
手の施しようもないと診断された重病の患者さんが世界中からやってきて、奇跡的な回復をした人も多くいるのに、おごったところがまったくない。気を送られた時の人の反応はさまざまで、効果の程は「やってみなければわからない」そうだ。
気がどのような働きをして、どんな効果があるのか、内容が深いところに至っても、望月さんの言葉は変わらない。宗教がかった話になることも、オカルトっぽくなることもなく、読んでいるとごく普通に「あるんだろうな」と思える。
おそらく、それは科学至上主義のヨーロッパで気功やヨガを扱われているからだろう。実際、怪しいと思っている人は多いそうだ。それでも、心は閉じていても効果が出る人もいるというから面白い。
後半はヨガや呼吸法についていろいろ説明されているのだが、これがとてもわかりやすい。こんな先生になら習ってみたいと思った*1。
著書を探してみたらうれしいことに何冊か出ている。さっそく読んでみよう。
気について興味のある人も、疑わしいと感じている人も、どちらにもお勧めの本です。
私のアクション:望月さんの著書を読む
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
細胞をみずみずしくするイメージ(P64)
五木 つまり、自分の体の中の細胞がみんなかちかちに固まって、にぎりめしみたいになっている状態が今の自分の体だとします。そこへ、たとえば望月さんが気を送ってくださることで、こわばって固くなった細胞一つひとつに水が注がれて、瑞々しさを取り戻し、一つひとつがサーッといっせいに起きあがってくる様子を想像するんです。
気を送ると、宇宙から気が注がれる(P66)
望月 私も、いろいろな人に気を送って、空っぽになると、さらに強く熱い無限のエネルギーが送り込まれて、自分自身、癒されているのだという実感があります。
五木 …中国のように、気を使うことで、使った方が疲れて、弱って損をしていくというのは、考え方が違うと思う。…本来は、相互に、循環しているものではないでしょうか。
相手をコントロールしない(P85)
※五木さんがタクシーに乗る時に、必ず運転手にイメージを送って安全運転をさせている、ただしとても疲れる、という話を受けて
望月 相手をコントロールしようとしないで、ただよい想念を自分の頭というか、心の中で描くだけで大丈夫だと思いますよ。
(中略)
ただひたすら、「私はベテランで安全運転の運転手さんに、身をまかせ、無事、早く目的地に着くことができました」と心の中で念じるのです。そして、スムーズに予定より早く目的地に着いて、「運転手さんありがとう。うまい運転のおかげで、早く着いたよ」と言って、お金を払っているところをイメージしちゃうんです。そうすれば、不思議とうまくいきます。
わきあがる不安を打ち消す方法(P88)
心の中で自分に「NO」と言い、大丈夫、すべてがうまくいくと念じる。
イメージする時に大切なこと(P89)
強く、リアルに、細部に至るまで丁寧に描写すること。それを毎日、そして1日のうち何度となく、自分の確信になるまで行う。と同時に、結果を手放す。
(中略)
よくイメージができ、確信が持てるくらい、リアルになってきて、それでも、結果が自分の希望と違っていた場合、不思議とあきらめがつく。そして、ああ、こうならない方がきっといいんだろうと考えることができる。
先天の気は変わらないけれど、後天的なものは治療や自己管理で変えることができる(P112)
川で考えてみると、川幅は変わらないけれど、中に流れている水をきれいにすることができるのと同じ。
自分特有の「気のキャラクター」を活かす(P114)
自分の持っている気…を自分らしく発揮して生きていくようにすればいいんじゃないかと思うんです。
(中略)
自分の気のいいところをよくわかって、それを自分らしくあらわしていくようにしていったら、人生、生きていく上で、もっと楽にできると思うんですよ。
(中略)
その方が、気の滞りがなくスムーズに流れて行くんではないでしょうか。
ヨガの本当の狙いは副交感神経の働きを高めて、心地よく、深くリラックスすること(P208)
そのためにも、しなう、柔軟な体を作るということがとても大事。
力を抜かないと気は流れない(P208)
筋力があって、緊張しちゃうと、気の流れはそこで止まる。首、肩が凝っている人は、無意識のうちに、首、肩に力が入っている。日常生活の中で気がついたら、ムダな力を抜けばいい。
たとえば電車に乗って吊革をつかんだ時、強く力が入る。その時、あっ、こんなにいらない。必要最低限でいい、と力を抜く。そんなことを折に触れてやっていくと、体がだんだん力を抜くことを覚えていく。
副交感神経を強くするには(P210)
あるお医者さんが、息を吐く時に副交感神経が強くなり、息を吸う時は交感神経が強くなると言っていた。
ヨガの呼吸法に従って、息を吐く時だけ意識して、感謝の気持ちを込めて行うと、副交感神経を強くできる。
*1:残念ながら教室はロンドンなので、なかなか機会はなさそうですが