毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

「グズ」の原因は無精じゃない?☆☆☆☆☆

グズの人にはわけがある
Dr.リンダ・サパディン/ジャック・マガイヤー
ネスコ(1998/02)
¥ 1,944
※文庫版あり→『グズの人にはわけがある (文春文庫PLUS)

先日読んだ『タスクシュート時間術』で触れられていた本。
タイトルが面白かったので、軽い気持ちで図書館で借りて読んでみた。

ところが、実は人生を変えるくらいすごい本だったのだ。


◆目次◆
第1章 あなたの先のばし癖、グズ人間のタイプは?
第2章 完璧主義者タイプのグズ人間―「でも、完璧にしたい!」
第3章 夢想家タイプのグズ人間―「でも、あんな面倒なことをするのは嫌だ!」
第4章 心配性タイプのグズ人間―「でも、変わるのが恐い!」
第5章 反抗者タイプのグズ人間―「でも、なぜ私がしなければならないんだ?」
第6章 危機好きタイプのグズ人間―「でも、ギリギリまでやる気になれない!」
第7章 抱えこみタイプのグズ人間―「でも、ほかにすることが多すぎて!」
第8章 自己変革
訳者あとがき

私はグズであります。自覚はちゃんとある*1。それは、自分が怠け者だからだと思っていた。
ところが、この本はそれを真っ向から否定する。

 グズ人間は無精であると思いこまれているが、けっしてそうではない。ふつうには十分なエネルギーをもちあわせている。ただそれが心の準備段階からスムーズに実行されず、エネルギーの大部分が心のなかにとどこおってしまっているのだ
(中略)
 グズ人間に必要なのは、各段階に適切な時間とエネルギーを割りあて、心の準備から実行へ、自然に、スムーズに進めるよう努めることだ(P18)。

あなたは生まれたときからのグズ人間ではないのだ。先のばしをどこかで身につけてしまったのだ。考え方、話し方、行動様式、これらは幼少期の教育によって作られている。その時の相手は両親や幼いときに世話をしてくれた人たちである(P25)。

つまり、育った環境によるものだというのが著者の主張。それによって、グズには6つのタイプがあるという。

それぞれ、象徴的なセリフが挙げられている。これを見ただけでも、自分がどのタイプか見当がつきそうだ。

「今していることを終わらせたい。でも、完璧なものにしなければやめられない!」
「それを始めたい。でも、面倒で細かいことが多すぎるのでできない!」
「やればできる。でも、変わるのが心配なのでやらない!」
「やればできる。でも、どうしてそうしなければならないの?」
「今すぐでもできる。でも、ギリギリにならないとその気になれない!」
「今すぐでもできる。でも、ほかにやることが多くてできない!」
(P19)

6つのタイプは次の通り(上のセリフはこの順序に対応しています)。

  1. 完璧主義タイプ:「でも、完璧にしたい!」
  2. 夢想家タイプ:「でも、あんな面倒なことをするのは嫌だ!」
  3. 心配性タイプ:「でも、変わるのが怖い!」
  4. 反抗者タイプ:「でも、なぜ私がしなければならないんだ?」
  5. 危機好きタイプ:「でも、ギリギリになるまでやる気になれない!」
  6. 抱え込みタイプ:「でも、ほかにやることが多すぎて!」

「グズ人間度自己評価テスト」もついているので、自分がどのタイプかわかるようになっている。
ただ、ひとつのタイプだけというのは珍しいそうで、ふつうはいくつかのタイプの混合なのだそうだ。

私はテストの結果、「抱え込みタイプ」が突出して多かったが、「完璧主義タイプ」「夢想家タイプ」もその次に多かった。


各タイプの特徴を理解しやすいように、解説にそれぞれ典型的パターンであるクライアントの育ってきた環境がくわしく紹介されている。これを読めば、「テストの点数がそれほど高くなくても、実は自分に当てはまるタイプ」があぶり出せる*2

というのも、「完璧主義タイプ」の人が子どもの頃親に言われたという言葉が、私とまったく一緒だったからだ。
――完璧主義のせいでグズになるなんて、今まで夢にも思わなかった。
でも確かに、「たすくま」に入れたタスクが夜になっても山ほど残っていたり*3、やることに追われて息も絶え絶えになっているのは、「あなたは『完璧主義タイプ』ですよ!」と指摘されたようなものだ。


これらのグズを改善するには、「考え方」「話し方」「行動様式」の3つを、別々に変えていく努力が必要になる。読めばすむというものではなく、何ヶ月とか何年にもわたって、地道に続けていくものだそうだ。

ただ、私は自分が「完璧主義タイプ」をはじめ、どのタイプの傾向が強いのかがわかっただけでも、グズグズしなくなった気がする。まるで、“何の病気かわからなかった不安が、病名を診断されただけで楽になった”ようなものだ。
怠け者でもないし、生まれつきでもない。育った環境が原因なら、辛抱強くそれを変えていくプロセスを経て改善できる(はず)。
そう思っただけで、希望の灯がともった気になるのは私だけだろうか。


具体的には、それぞれのタイプによって対処法が違うのだが、たとえばこんな感じ。
「でも」要因(抵抗と妨害)を「では」要因(結びつけと決意)に変える。

 「でも」の道
…でも、これはしたくない! …では、これを終わらせよう!
…でも、むずかしくて!  …では、それなりの時間とエネルギーをかけよう!
…でも、テレビが見たい!  …では、今仕事をして、そのあとでテレビを見よう!
…でも、完璧にしたいんだ!  …では、細部まで完璧でなくてもちゃんと期限内に終わらせよう!
(P30)

アファメーションなどと同じく、言い方を変えることによって自分の考え方に働きかける。
人にはそれぞれ言い方のクセのようなものがあり、それを変えるだけでも変わってくるのだそうだ。


自分の過去や内面に働きかけるワークがあるので、気軽にできるとは言えないが、著者のクライアントがグズを克服して人生が開けているのを見ると、やってみようという気になる。

これを読んでハッとした方は、ぜひ一度読んでみてください。
私のアクション:罪悪感を持たずに休憩する
関連記事
読書日記:『タスクシュート時間術』
読書日記:『グズをなおせば人生はうまくいく』斎藤茂太さんの本


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

先のばしするのは内面の葛藤が原因(P17)

人は欲求が生じて何かをしたいという気持ちになると同時に、それを実行することに対して抵抗を感じる。このふたつの感情が対立すると、自分の中で自然なエネルギーの流れが停止する。

どの状態も人生にはすべて必要(P241)

こうした対立的な対話(=心の中の「できる!」「できない!」や、怠惰な「私は怠け者だ」とエネルギッシュな「やるぞ!」といったせめぎ合い)に耳を傾けよう。そしてそのまま、破壊的な道を進まないよう平和的に解決しよう。どんな自分にも注意を向ける必要がある。遊ぶ時も仕事の時も、不安な時もがんばる時も、怠惰な時も元気な時も、すべて必要なのだ。意識して、よく納得して、これらすべての時に生活の中で自分にふさわしい場所を作り出せれば、バランスよく、心地よく共生できるのだ。
※ここから先は「完璧主義タイプ」に対応した改善方法です

「すべき」と言わずに「してもいい」に変える(P60)

たとえば「今晩レポートを書くべきだ」とは言わず、(あるいは言ってしまったすぐあとに)「今晩レポートを書くのもいい」と言ってみたらどうだろうか。カレンはこの簡単な言葉の置きかえを実施するとすぐに、「こうすべきなんでしょう。でも…」という言い訳ではなく、選択をするようになった(「この方法でもいいし、あの方法でもいい」)。

簡潔で実用的な毎日の「すること」リストを作成する(P73)

したいと思うことをすべて書き込むと、自分に余計なプレッシャーをかけることになるのでやめる。自分にとって重要なこと、最優先事項だけを書く。最優先事項もたくさん書いてはいけない。そして毎日リラックスして、人生を楽しむための「休憩時間」も忘れずに取るようにしよう!

*1:ありがたいのかどうか、あまり人から指摘されたことはありませんが

*2:人によると思いますが、質問の内容によっては判断がむずかしい場合があるので、診断結果にゆらぎがあると思います

*3:やりたいことを全部入れてしまうとか、適切な優先順位がつけられないのは「完璧主義タイプ」の特徴だそうです