Eテレの回し者みたいで恐縮だが、「グレーテルのかまど」という番組も好きでよく見ている。
物語(最近では映画や小説も含む)に登場するお菓子を実際に作りながら、関連するエピソードなどを紹介してくれる。いろんな楽しみ方ができる番組だ。
その中で、先月「よしもとばななのロールケーキ」という回があった。
元になっていたのがこの本の最初におさめられている、「幽霊の家」という作品だ。
読んだことないな、と思って図書館で借りてみた。
◆目次◆
幽霊の家
「おかあさーん!」
あったかくなんかない
ともちゃんの幸せ
デッドエンドの思い出
あとがき
5つの作品からなる短編集だ。
とても不思議なのだが、この本は長年読んだつもりになっていた*1。
でも、初めて読む話ばかりで、とても気に入った。
どれも心にぽっと明かりがさすような、あたたかい気持ちになれるのだ。
村上春樹さんの作品について、以前こんなことを書いたと思う。
長年作品を書き続けている作家さんの場合、どうしても“自分の好み”が出てくる。「好きな方の村上春樹(作品)」「苦手な方の村上春樹(作品)」という風に。
よしもとさんの小説からは長年離れていて、去年ふと借りた『体は全部知っている』も、読んでみて初めて小説だと知ったくらいだった。
なので、自らすすんで「小説作品を読む」のは本当に久しぶり*2。
読んでみて、「好きな方のよしもとばなな」だったのでうれしくなった。『キッチン』のような初期の頃の感じを思い出した。
でも、出版年を確認してみたら、そんなに昔ではない。もう、「よしもとばなな」表記だし。
「グレーテルのかまど」でも触れられていたが、この作品を書いていた頃、ばななさんは妊娠中だったそうだ。だから、独特のあたたかみがあるのだろうか。
幽霊が出てきたり、亡くなった人の思い出についてのくだりがあったりするのに、怖さや暗さは不思議に感じない。
タイトルに「最高傑作」と書いたのは、アマゾンの紹介ページに出版社のコメントとしてそう書いてあったから。
私にとっても「よしもと」表記になってから一番の作品になった。
冬、こたつに入って読むのによさそうな本です。
お正月にぜひどうぞ。
私のアクション:他の作品も読む
※この本のメモはありません
*1:実はブクログにも登録していました。2012年2月9日の日記を見ればわかります
*2:エッセイや対談などは、ちょこちょこ読んでました