毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

『ストーリーとしての競争戦略』のサブテキスト☆☆☆

 

タイトルに興味を持って図書館で予約したら、びっくりするほど分厚い本だった。

 

◆目次◆
まえがき
序 章 時空間縦横無尽の疑似体験
『ストーリーとしての競争戦略』楠木建
第 1章 疾走するセンス
『元祖テレビ屋大奮戦! 』井原高忠
第 2章 「当然ですけど。当たり前ですけど」
『一勝九敗』柳井正
第 3章 持続的競争優位の最強論理
『「バカな」と「なるほど」』吉原英樹著
第 4章 日本の「持ち味」を再考する
『日本の半導体40年』菊池誠
第 5章 情報は少なめに、注意はたっぷりと
『スパークする思考』 内田和成著
第 6章 「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の戦略思考
『最終戦争論』 石原莞爾
第 7章 経営人材を創る経営
『日本の経営を創る』三枝 匡、伊丹敬之著
第 8章 暴走するセンス
『おそめ』石井妙子
第 9章 殿堂入りの戦略ストーリー
Hot Pepperラクル・ストーリー』平尾勇司著
第10章 身も蓋もないがキレがある
『ストラテジストにさよならを』 広木隆著
第11章 並列から直列へ
レコーディング・ダイエット決定版』岡田斗司夫
第12章 俺の目を見ろ、何にも言うな
『プロフェッショナルマネジャー』ハロルド・ジェニーン著
第13章 過剰に強烈な経営者との脳内対話
成功はゴミ箱の中に』レイ・クロック著
第14章 普遍にして不変の骨法
『映画はやくざなり』笠原和夫
第15章 ハッとして、グッとくる
『市場と企業組織』O・E・ウィリアムソン著
第16章 日ごろの心構え
『生産システムの進化論』藤本隆宏
第17章 花のお江戸のイノベーション
『日本永代蔵』井原西鶴
第18章 メタファーの炸裂
『10宅論』隈 研吾著
第19章 「当たり前」大作戦
『直球勝負の会社』出口治明
第20章 グローバル化とはどういうことか
『クアトロ・ラガッツィ』若桑みどり
第21章 センスと芸風
『日本の喜劇人』小林信彦
特別収録:ロング・インタビュー「僕の読書スタイル」
付  録:読書録(2008年11月11日〜2013年5月31日)

著者の楠木建さんは、一橋大学教授で、『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』がベストセラーになった先生だ。

ja.wikipedia.org

失礼ながら、私が著者の本を読むのは初めて。ネットでの対談を何度か読んだことがあり、この本でやっと「ああ、あの人ね」とつながった。

 

まず、タイトルに裏切られる。その意図は、まえがきに書いてあった。

 「読書の戦略」とか「戦略的な読書法」についての本ではない。
 かといって、経営戦略についての書、いわゆる「戦略本」について解説したものでもない。
(中略)
 戦略や経営の本質を抉り出すような本を厳選している。これらの本に触発されて僕が考えたことを、読者の方々にストレートに伝えるべく、自由気ままに書いている。……戦略をストーリーとして構想し実行する経営とはどういうことか、そのために必要となる思考のセンスとは何か、そうしたことの本質を浮かび上がらせることができれば、という目論見である(P2-3)。

そうだ。「戦略的読書について書かれた日記」なのかと思って借りたので、ちょっと調子が狂う。

取り上げてある本は21冊だが、1冊目が自著『ストーリーとしての経営戦略』なのだ。
この章を読んで、さらに本書の意図が明らかになった。

実は『ストーリーとしての経営戦略』は、読後の感想で圧倒的に多いのは「実践的でない」「役に立たない」というクレームだったのだそうだ。
つまり、世の中は手っ取り早いスキルを求める人が多くなっているのだと思う。

 

そこで、著者は戦略のセンスを磨くために読書を勧めていて、自らが「どんな風に本を読んでセンスを培ってきたか」をこの本で開示しているのだ。
目次を見ていただければわかると思うが、ジャンルはバラバラだ。経営戦略を知るために読む、と言って納得できるのはユニクロの柳井社長の『一勝九敗』ほか、数冊ではないだろうか。

この本の内容はサブタイトルに集約されている。「本質を抉り出す思考のセンス」をどうやって身につけるか、を知るための本だと言える。
もちろんこの本も、いわゆる「簡単にスキルが身につく本」の体裁ではない。
ただ、こういうものの見方をするのか、とかこんな事例からこんな普遍的なルールが導き出せるのか、という実例を知ることができる。

著者が書いていた、「センスのいい人をよく見て、『なぜその人はそうするのか』を考える」という方法を、即試せるのだ。

 

『一勝九敗』以外に読んだことのある本は『レコーディング・ダイエット 決定版』だけだったのだが、「なるほど、こう読めるのか」ととても面白かった。

 

単なる読書好きが読むにはかなり荷が重い本だが、巻末に著者の読書方法に関するロングインタビューが載っていて、それは楽しく読めた。
著者は日記好きで、いろんな人の日記からさまざまなものを得たそうだ。伝記や日記、インタビューが好きな私にとってはその理由がわかった気がしてうれしくなった。

タイトルにしたように、本来この本は『ストーリーとしての経営戦略』が役に立たなかった、と感じた人が読むべき本だと思う。
ただ、「いかにして本質をつかむか」のヒントがぎっしり詰まっているので、分厚い本が大好きな人は挑戦してみてください。
私のアクション:戦略として日々のルーティンを見直す

 

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以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。

スキルとセンスの違い(P14)

スキルがビジネスのベーシックス、「国語算数理科社会」の世界だとすれば、センスというのは課外活動、「どうやったらモテるか」という話である。「こうやったらモテるようになりますよ」という標準的な方法論は存在しない。それでも、「モテる人」と「モテない人」がいることは厳然たる事実。実際に「モテる人」を見ればすぐにわかることだが、「なぜモテるか」は人それぞれ千差万別。モテている人にはその人に固有の理由がある。センスとはそういうものだ。

センスを磨くには(P16)

誰でもいいので、まずは自分の周囲の人でセンスがよさそうな人をよく見る。そして見破る。「見破る」というのは、その背後にある論理をつかむとということだ。センスのいい人をただ漠然と観察したり真似するのではなく、なぜその人はその時にそうするのか、「なぜ」をいちいち考える。これをくり返すうちに、自分と比較してどう違うのか、自分だったらどうするか、と考えるようになる。自分との相対化が起こる。そうして自分の潜在的なセンスに気づき、センス磨きが始まる。疑似場数を踏むとはそういうことだ。

「情報のインプットを増やしていけば、自然とアウトプットが豊かになる」ことは絶対にない(P72)

情報と注意のトレードオフを考えると、実体はむしろ逆。

人が情報をインプットする目的はふたつ(P68)

ひとつはインプットそれ自体のため。もうひとつはアウトプットを生むため。前者を「趣味」、後者を「仕事」といってもよい。
趣味は自分のためにやること、仕事は人のためにやること。どちらのためのインプットなのかで、情報の意味はまるで違ってくる。

企業や人の能力も、日々の習慣的な行動の産物(P463)

日常の生活ルーティンにその人の持ち味や能力の正体がある。挨拶の仕方、食事の仕方、メモの取り方、一挙手一投足にその人の本質が反映されている。