探書リストを整理した時に、思い出して読んでみたくなり、図書館で借りた。
さすがは本の目利きの勧める本*1、読みやすくて即効性があった。
◆目次◆
はじめに――積極人生を「今日から始める」法
1章 今日から「迷わない」──人生の成功法則
2章 自分に「負けない」──心の成功法則
3章 人に「求めない」──幸福の成功法則
4章 むやみに「恐れない」──ここ一番の成功法則
5章 心「乱されない」──逆境の成功法則
6章 とにかく「ぶれない」──集中力の成功法則
7章 多少のことでは「疲れない」──健康の成功法則
主要参考文献
中村天風氏といえば、心身統一法で著名な人だ。
信奉者は松下幸之助さん、宇野千代さん、広岡達朗・元西武ライオンズ監督など、各界に広く浸透しているという。
宇野千代さんは天風氏の教えで長年の書けないスランプを脱したそうだ。
この本で教えるのはいかにして「積極精神」を持つか。
普通の人は消極精神しか持ち合わせていないという。それを「絶対積極」の精神に変えていくのだ。
できると信じれば、できるようになる。
運がいいと信じれば、幸運がやってくる。
成功すると信じれば、成功する。積極的な態度を取れば、人は颯爽とプラスの人生を歩むことができる。
たとえ失敗しても、それを失敗とは考えずに、成功へのプロセスだと受け止めることだ(P19)。
確かに、そう思い続けることができれば、成功は近づきそうだ。
でも、いついかなる時でもそう思い続けるのは簡単ではない。
この本では、具体的にどんな風に考え、どんな行動を取ればそれが可能になるのかを、ていねいに説明している。
中村天風氏自身にも著書は多いが、この本は間接的にその教えを学んだ*2著者が、ご自分の経験も踏まえて書かれたものなので、とてもわかりやすく、バランスがいい。
前半は天風氏が独自の哲学を身につけるまでを中心に、その人生が綴られている。
もともと剛胆な人だったそうだが、重症の結核にかかってしまう。治る方法を求めて世界のあちこちを巡ったが目的は果たせず、もう日本に帰ろうと思った時にヨガの師に出会い、インドに渡る。
そこで教えを受け、結核は完治する。その教えを元に作り上げたのが「天風哲学」と呼ばれる独自の方法だ。
後半生はその普及につとめたという。
その経緯を読むだけでも面白い。特に、インドで師から教えを受ける過程にはたくさんの気づきがある。
やり方は、基本的には「ポジティブシンキング」とそれほど変わらない。鏡を使ったアファメーションもある。
だが、西洋文化そのままの受け売りではないので日本人にはなじみやすいし、読んでいるだけで前向きな気持ちになるのだ。
特に印象的なのは「クンバハカ法」という、独自の姿勢・呼吸法。
といっても基本はむずかしくなく、
1.肛門を締める
2.肩の力を抜く
3.下腹に力を充実させる
さらに、いざという時には
4.瞬間に息を止める(止息)
の4つだけ(P147)。
試しにちょっとやってみたら、すごく楽に集中力が増した気がしたので、続けたいと思って本を買ってしまった*3。
「上虚下実」(=上半身を楽に、下半身を充実させる)というのが白隠法師の呼吸法にあったが、これが簡単にできてしまう(注:個人の感想です)。
唯一難点があるとすれば、いろいろなことに全部名前がついていて、それがすべて古風な漢字の羅列になっていることくらいだろうか(例:「積極性把持」「自然法則順従」「養動法」「逆動仮我境」など)。なかなか覚えられない。
ただ、それも本を見ながらやるなら覚えてなくてもそれほど問題はなさそう。
ポジティブシンキングやアファメーションなど、やってみたけどしっくり来なかった、という人には特におすすめです。
常に積極的な自分でいたいなら、ぜひ読んでみてください。
私のアクション:クンバハカ法を日々やる
■レベル:守 天風哲学の実践書として、わかりやすい本です
以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。
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※呼吸法に特化して書かれた本です