毎日「ゴキゲン♪」の法則

自分を成長させる読書日記。今の関心は習慣化、生産性、手帳・ノート術です。

偶然を大切にする☆☆☆

なるほどの対話
河合 隼雄/吉本 ばなな
日本放送出版協会(2002/04)
¥ 1,620
※文庫版あり→『なるほどの対話 (新潮文庫)』(¥ 562)
探書リストの整理をしていて、思い出した本。ずいぶん前に入れたままになっていたので、この機会にとすぐ図書館で借りた。
河合先生と吉本さんの対談――その期待を裏切らない、深くて面白い本だった。


◆目次◆
1 若者のこと、しがらみのこと、いまの日本のこと。
2 往復書簡「質問に答えてください」
3 仕事のこと、時代のこと、これからの二人のこと。
対談を終えて

もともとはNHKの番組で対談したのがこの本のきっかけだそうだ。
評判がとてもよかったので書籍化の話が出て、追加で何度か対談を行い、1冊の本にまとめられた。


河合先生の対談と言えば、やはり『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』が印象に残っている。吉本さんもあとがきでそのことに触れ、自分も河合先生の前では心を開いてしまうのではないか、と心配されていた。
確かに、今まで読んだいろいろな小説やエッセイと同じことを話されているはずなのに、「えっ、そんな意味だったの?」とびっくりすることが多かった。
それがきっと、「心を開く」ということなのだろう。

それが顕著なのが、「高校時代、学校で寝てばかりいた」という吉本さんのエピソード。いろんなところで何度も読んだことがあると思う。
私は文字通りに受け取っていて、それ以上に何も考えていなかったのだが、この本で初めていかにそれが「危機的状況」だったのか、ということを知って驚いた。

それが、つるつるっとしゃべって出てくるところが河合先生なのだ。「凄み」すら感じた。世間話のように何げなく、そういう話が進んでいくところがすごい。


河合先生の「アイデンティティ」の話も面白かった。当時、吉本さんが海外を題材にした小説を連作していた時期だったのもあるが、西洋と日本の違いや、関東と関西の違いといった話が興味深い。
長い間、日本人のアイデンティティについて考えてきた河合先生。吉本さんに触発されていろんな話が出てくるのは化学変化のように感じた。
そこが、ひとりで書く文章とは違う、対談のよさだと思う。


後半では、心理療法家としてのありかた、といった話になり、これも本当に面白かった。「自分が治した思ったらアカン」「自分の仕事はただ偶然を待っているだけの偶然屋さん」という言葉は、こういった仕事に携わるすべての人に読んでほしいくらいだ。

分野は違っても、心を扱うおふたりの話にはとても説得力があった。
「自分をたのみにする」と「偶然にふわっと乗る」という、一見相反するふたつのことを、うまくバランスを取りながらやる、という話が印象に残った。


世の中が生きづらい、という人にとって癒される本ではないだろうか。
心理療法とはどういうものか、いろいろと具体例も出てくるので、参考になる。
そういう人に寄り添う立場の人もぜひ。
私のアクション:考えすぎず、偶然に思い切って身を任せてみる
■レベル:破 ※内容は面白いのですが、おふたりの仕事がある程度わかっている方がより深く読めます

関連記事
読書日記:『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
読書日記:『職業としての小説家』


以下は私のメモなので、興味のある方はどうぞ。※メモに関してこちらをご覧ください。