「超簡単」かどうかはさておき、とてもシンプルな本だった。
◆目次◆
はじめに
第1章 超簡単お金の運用法の具体的な手順
第2章 超簡単お金の運用法をめぐるあれこれ
第3章 NISAと確定拠出年金の運用方法
第4章 お金のあれこれ簡単レクチャー
おわりに
私のマネーリテラシーはそれほど高い方ではない。10年ほど前の一時期、熱心にマネー雑誌や株の本を読んだりしていたが、おそらくそれ以来。こういう本は久しぶりだった。
それでもまあ何とか読めた。
というのも、この本は入口を特に広く設定して書かれた本だからだ。
本書は、現役世代のビジネスパーソンや主婦に幅広く役立つように書いたつもりだが、同時に、個人的には、遠くに住んでいろ老親に1冊渡しておくと安心な「お金の取扱説明書」であることを意識して書いた(P5)。
うちの親がこの本を読んで理解できるかは心もとないが、著者は実際にご両親に送るつもりだ、と書かれていた。非常に「基本的な知識」を大切にしている印象だ。
というのも、世の中にはだまされている人がとても多いからだ。
……世の中にある運用商品の99%以上が、購入の検討にすら値しない「明らかに損な」商品だ。……「うまい話」を見つける能力よりも、「明らかな損」や「怪しい話」を見分ける能力こそが、マネー・リテラシーの本質だ(P5)。
著者曰く、「人が勧めてくるものでいい商品はない」。
だまされないためにどこを見るのか、大事なポイントは何か、ということをていねいに教えてくれる。
「運用法」の結論は冒頭に出てくる。
<超簡単 お金の運用法>※ファンドの説明など、一部省略
1.当座の生活に必要なお金(たとえば生活3か月分)を銀行の普通預金に置く。
2.残ったお金を、リスクを取ってもいいと思う「リスク運用マネー」と、元本割れを想定せずにすむ「無リスク運用マネー」に分割する。この場合、「リスク運用マネー」は「無リスク運用マネー」よりも平均すると5%利回りが高いが、最悪の場合、1年で3分の1が失われる可能性があると考えて、好きな金額を割り当てる。
3.リスク運用マネーは「TOPIX連動型上場投資信託」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」に半々に投資
4.「無リスク運用マネー」は「個人向け国債」(10年満期タイプ)または「MRF」で持つ。あるいは1人1行1000万未満なら銀行預金でもよい(ただし、外貨預金はダメ)。
5.大きな支出の必要が生じたら、「リスク運用マネー」あるいは「無リスク運用マネー」のいずれかを「躊躇なく」部分解約してこれに充てる。
5.NISA及び確定拠出年金を最大限に利用する。
(P16)
むずかしく考えるのがイヤな人、資産運用に時間も頭もさく余裕がない、という人はそっくりこのままやればいい。
そもそも、そういう人に向けて書かれた本だ。
「全面改定」とあるのは、第3章の「NISAと確定拠出年金の運用方法」が新たに加えられたからだそうだ(もちろん運用方法なども、全体に改訂してあります)。
私もその内容が一番知りたくて読んだが、意外に面白かったのは第4章だった。
生命保険・医療保険は入る必要なし。家を買うのも店子が自分というだけで、リスクは不動産投資とお同じ。FXは投資ではなく、ギャンブルと思った方がいい。金額の多寡、目的にかかわらず、お金はお金、淡々と扱う(例:退職金だから、といって運用方法を変えるのはおかしい)。使用目的を限定される商品は避ける*1。
などなど、とても明快でわかりやすい。
お金に対する根拠のない恐怖感や、妙な緊張感が少し減らせるのではないだろうか。
ちなみに、実家の両親が証券会社に見事にカモられていたことが、この本で判明した。絶対に買うな、と書いてある商品を複数、勧められるままに購入していたのだ。
転ばぬ先の杖として、ご自分で読み、周囲の人が間違った金融商品を勧められていたらぜひ止めてあげてください*2。
もちろん世界経済の動向によってリスクはつきものですが、「それでもこの運用法は他のファンドを買うよりもいい」そうです。
興味のある方は、ぜひ読んで著者の主張が正しいか、判断してください。
私のアクション:「確定拠出年金」を扱っている証券会社について調べる
■レベル:守/破(の中間?) 投資方法はシンプルですが、証券会社に口座を開くとか、専門用語が出てくるなど、まったくの初心者には少しハードルが高いかも。
※この本のメモはありません